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行政処分が違法であることを理由にして、国家賠償をする際に、あらかじめ行政処分につき取消又は無効確認等の判決を得ておく必要はない
とありますが、これはなんでですか??

A 回答 (1件)

 簡単にいえば,行政処分の有効無効と,行政処分の適法違法とは,直接つながってはいないということです。



 行政処分は,多くは公益を目的としてなされ,ひとつの行政処分の続行処分としていくつもの行政処分がなされたり,事実上他の法律関係に影響を与えることがあります。ですから,その有効無効が,明確な基準で一律に決まらず,場合場合で有効と判断する人がいたり,無効と判断する人がいたりすると,公共の利害にかかる法律関係が安定しません。そこで,日本の行政法では,行政処分は,重大明白な瑕疵があって明らかに無効なものを除き,抗告訴訟(主として取消訴訟)で取り消されない限り,違法かどうかはともかくとして,有効として扱おうという,そのような法制度が採用されていると理解されています。

 これを,行政処分の「公定力」と称しているわけです。

 公定力については,古い行政法学では,これと違った解釈をしていたこともありますが,現在は,この程度の解釈に止めることが多数の見解だと思います。(成文法に規定があるわけではなく,行政事件訴訟法が「取消訴訟」という訴訟類型を定めていることからの解釈論です。)

 そういうことで,有効として通用している行政処分であっても,それが適法か違法かは,行政処分が有効として通用していることから決めることができないということが導かれます。

 したがって,行政処分が違法であることを理由とする国家賠償請求を提起するについては,行政処分の取消が確定していたり,無効が確認されている必要はないということになるのです。

 講学上,ときどき設定される例としては,懲戒免職処分を受けたが,もう公務員に戻る気はないので,懲戒免職処分の取消まで求める気はないが,本来なら依願退職になるので,依願退職の場合の退職金相当額と,慰謝料を請求するという国家賠償請求訴訟を提起する,という例があります。

 こういったことを元に考えてみてください。
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