ちくま学芸文庫版、『存在と時間』上巻、142pについて質問があります。
『現存在自身において、現存在自身にとって、この存在構成はつもすでにある仕方で知られている。ところがそれを認識しようとすると、あたかもこのような課題のなかで表立ってくる認識が、自分自身をー世界についての認識としてー「心」の世界への関係の範例にすることになる。それゆえに、世界の認識や、あるいは「世界」を呼び「世界」について語る言説が、世界=内=存在の原義的な様態としての役割をひきうけるようになり、世界=内=存在そのものは理解されなくなる。』
とありますが、「心」の、世界への関係の範例となってしまう認識とは具体的にはどのようなものでしょうか?また、そのような“認識”は「世界=内=存在」といった認識とどのように違うのでしょうか?
ご回答お待ちしております。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
世界内存在 = 共存在でしたね。
それは“気遣い”により既に存在している。これは自分を含めた“みんな”で既に存在することでしたね。その現存在に対して、言葉によってこの世界構成を語ることは、共存在への “気遣い”が薄れることになり、次に出てくる本来的自己の解釈が、独我論に偏りかねないからではないでしょうか?たとえば自分だけは特別だとか。
心の中の真実なんて、受け取り方ひとつで、独我論にも心身二元論にもなりうるほど、いいかげんなものなのではないでしょうか。
「キミは心の壁が消え去って、みんなと混ざり合って、自分の思い通りになる世界、疑いや心配など無い世界、all or nothing な世界を望んでいたんじゃないの?」
「ち、ちがう・・・そんな世界、ぼくは望んでなんかいない。」
「ぼくの心は通じなかったけど、うまく噛み合わなかっただけだ。」
「みんなの心に壁があったっていい、ぼくはそれでいいんだ。」
「まあまあ、キミがそう思うなら、この世界も捨てたもんじゃないわね。」
「現存在の世界へようこそ。」
ハイデッガーはどうも、「世界」を客体として捉える。つまり「心」(主観)と“関係”する対象として
捉えることに反対しているようです。
まだこの本を通読していませんので、回答者さまの「共存在」といったことがどういうものかわかりませんが、参考にさせていただきました。
ご回答ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
わたしはハイデッガーというひとをよく知りませんが
「ある」、と認識するには見たり聞いたり触る必要がありますね。
それらの視覚・聴覚・触覚(手や舌など)の信号は脳に伝達されて処理された”情報”でしかありません。
「ある」、と思って見ている映像は実は眼球を通して脳が処理した「映像」でしかありません。
寝てるときに見てる夢も映像です。でも夢の映像はファンタジーですよね。でも見てる本人が気がつきません。
ということは、いま自分が見てるもの、こと、ひとを、ほんとうに存在するかをだれも証明できません。
でも ちょっとまて!同じものを見てるジャン
と言っても、「共有」してるから実在するとは限りません。
おたがい夢を見てるのかもしれません。
なんてね・・・
No.4
- 回答日時:
人は認識を軸に考えていきますから、例えば
自分にとっては臭い(と認識)→臭いのは嫌いだ→誰しも臭いのは嫌いだ
と範例が作られてしまいます。
道徳において考えてるほうが、分かりやすいかも知れませんが。
ある程度成長した人は、その経験と経緯を持って
すべてにおいて認識したことを手がかりに、範例を持ちえていると思います。
つまりは、それが思い込みであろうと常識であろうと何でもいいのです。
その人が手にしている範例が何であれ、「普通そうでしょ」や「常識」「当たり前」という言葉で
表現されることを耳にすることもあるかと思います。
その世界で生きている人は、世界=内=存在そのものは理解されなくなるのですから
「自分の認識として、それらを手にしているだけ」という認識は、存在していません。
認識を認識として自覚、もしくは知覚できない。自分の認識から一歩離れて、それそのものを認識できない。
つまりは、自分自身を捉えることができない。
その違いではないでしょうか。
ハイデッガーは、「客体」として捉えられた「世界」についての認識が、「世界=内=存在」としての人間のあり方の原義的な範例にすりかわってしまうことを注意したのですね。
大変具体的なご回答、どうもありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
認識は常に経緯の中にある、という事などに気付けず、
確信・断定し、更にその後また新たに疑問を感じ認識が
広がれば、またそこでも確信・断定し、
これ実は?ある重要な節目・壁を越えられない限界を示
す性質の1つ・一面のようなのですが、この場合どんな
に認識・理解を深めているように見えても、実は止まり
への陥りのようなんです
「世界=内=存在」というのが、どの程度の事なのか分
かりませんが、認識の確信・断定ばかりではなく、そも
そも本質的な事を理解出来る素養・性質が備わっていな
い・用意されていない、という事を感じます
確かに認識には回答者様のおっしゃるような性格がありますね。そのあり方自体、われわれの積極的な特徴だとハイデッガーは考えているようです。
ご回答どうもありがとうございました。
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