No.3
- 回答日時:
補足です。
縁組での家格の事ですが、基本、上の家格から下の家格へと嫁します。
何故なら、下から上に行くには持参金の準備が大変なのが一つ。
さらにもう一つ、上の家格から貰えば、貰った方の家格も上がりやすくなる事が上げられます。
これは嫁も婿も養子も同じで、更に養子に入る場合も持参金は必要でした。(双方の取り決めで決まるので、旗本程度の家格では両家の裁量でどうにでもなりますが)
貧乏大名から(上の家格へ)嫁や養子を出すのは、狭い道でした。(と言うより無理)
上杉鷹山の様に先祖からの繋がりからの養子等の例は、時代が下れば多く出てきますが、基本は上記の通りです。(鷹山は仮養子と言う制度?で上杉家に養子に入っています。仮養子とは予め、他家から男子を養子にするべく公儀に提出しておく事で、当主や次代の世継に何事もなければそのまま生家で部屋住みですごします)
大っぴらに嫡男がいる所に落下傘養子(私の造語です、こんな言葉はありません)を送ったのは、11代家斉の時代位です。
将軍家の子供の生存率・成人率はどうも低くて(鉛中毒説あり)、通常ばら撒く様な事はとてもとても出来ませんでした。
ですので、直系ではない傍系から養女を取り、嫁がせたほどです。(島津家22代当主島津継豊の正室が徳川綱吉の「養女」竹姫等)
No.2
- 回答日時:
>6代家宣以降で大名家から申請された婚姻を幕府が禁止した例はありますか。
寡聞にして知りません。
>誰と誰が結婚せよと幕府が決めるのですか。
幕府の役人が仕事として決めることはありません。
変な言い方になったのは、徳川家と幕府の関係がややこしい為です。
幕府というのは、現在の官庁とは性格が異なります。
大名が統治する藩というのは、現在の独立した国家と同じ性格のものでした。
その藩の中で一番大きかったのが徳川家でした。
徳川家が各大名を統制する権利を朝廷から与えられていました。(征夷大将軍)
徳川家が大名を統制するために設けたのが幕府という管理機構です。
この管理機構の役人が、大名の婚姻にまで仕事として口出しはしなかったということです。
お互いに独立した国家ですから、内政に立ち入ることはできません。
幕府といえども、大名家の内政には口出しができません。
>「私に婚姻を結ぶことの禁」は、ずっと守られたのですか。
形式上守られました。
江戸時代というのは何事も前例第一主義です。
前例に反する行為はそれだけで糾弾された時代です。
形式化しようがどうしようが、守り続けられました。
幕府という管理機構の役人は同時に徳川家の家臣でした。
各大名が婚姻関係を結んで軍事同盟化して一つの集団となって徳川家に対抗することを禁じたのが、武家諸法度などにみられる私的婚姻の禁止です。
徳川家存続のための禁止令です。
これに違反するということは、徳川家に敵対することを意味します。
戦が無くなって百年以上経った平和な時代に徳川家に歯向かってメリットがある大名はどこにもいませんでした。
形式的な書類手続きで済むのであれば一向に手間を惜しみませんでした。
江戸時代の初期には、徳川家の勢力拡大策の一つとして外様大名との間で婚姻関係を結びました。
外様大名も。下手に敵対して取り潰されないように、徳川家と親戚になることを望みました。
徳川家と婚姻関係になると親族共通の苗字として松平を名乗るようになります。
実は薩摩も長州も松平という苗字を持っていました。
正式な書名にも松平を使っていました。
江戸の古地図を見て頂くと。
松平薩摩守斉彬
(島津 七十七万八百石)
松平大膳太夫慶親
(毛利 三十六万九千石)
と記載されています。
武家は「家」の存続継承を最も重要視しました.。
江戸時代は医療技術が未発達だったために幼児死亡率が非常に高い時代でした。
「家」の後を継ぐ子供が成人する前に死んでもいいように沢山生むようにしました。
生き残った誰かが後を継いでくれれば良いという考え方です。
徳川家でも沢山子供が生まれました。
大切に育てた結果、徳川家を継ぐことができない子供が沢山成人してしまいました。
この子供たちを御三家とか御三卿と呼ばれる「家」へ嫁入りさせたり、婿入りをさせたりしました。
御三家や御三卿に適当な相手がいない場合には、大身の大名家へやりました。
この仕事を徳川家の家臣であり幕府の役人でもあった人達がセッセとやりました。
あくまでも、徳川家のためであって幕府という統治機構のためではありません。
これが江戸時代中期以降の姿です。
各大名同志の場合には、家格の釣合というのを重要視しました。
大名は朝廷から従四位とか従五位という官位を貰っていました。
石高の多寡よりもこの官位の上下で家格というものを決めていました。
お正月に将軍に挨拶する際に座る場所もこの官位で決められていました。
江戸城に登城した際に使う部屋もこの官位で決められていました。
大名同志が婚姻関係を結ぶ場合には、この官位が同格からそれに準じる家同志が婚姻関係を結びました。
形式第一主義の時代に、極端に家格の違う家どうしの間で子供が生まれた場合、その子供の処遇がおそろしくややこしいことになってしまいます。
江戸時代の婚姻というのは、あくまでも「家」同志の婚姻関係です。
本人の意向が入り込む余地はありません。
武家の女の子の場合には、「家」同志の繋がりを深めるために極めて早い時期から嫁入り先探しが行われました。
結果として十歳前後でお嫁に行くというのは珍しいことではありませんでした。
その為の教育を徹底的にしました。
女性の人権無視と怒らないで下さい。
お芝居にあるような恋愛は庶民の独占でした。
すまじきものは宮仕え、です。
>大名家は大名家同志で結婚するケースが圧倒的に多いと想像しています。
中には京都のお公家さんからお嫁さんを貰うケースもありました。
奥州津軽家は近衛家の傍流と豪語していました。
>江戸中期以降はほとんどの大名家は、遠い親戚関係になるのではないかと思うのですが、そう言えますか。
「ほとんど」というのをどの程度と考えるかによりますが、そこらじゅうに親戚が多かったのは事実です。
側室関係まで入れたら、江戸の豪商にも親戚筋にあたる人が沢山いたでしょう。
商家の女性の場合には、いったんしかるべき武家の養女となって、その武家の「家」からお城へ上がりました。
いつも詳しく分かり易いご回答をありがとうございます。
>「ほとんど」というのをどの程度と考えるかによりますが、そこらじゅうに親戚が多かったのは事実です。
このことを確認したかったのです。
よく解りました。
「各大名同志の場合には、家格の釣合というのを重要視しました」ということについて、あれこれ考えている内にお礼が遅くなってしまいました。
もちろん、家格の釣合が重要視されることはよく解りますが、実際そんなにうまく同じ家格同士で見つかるのか、という新たな疑問です。
以下、つまらぬ想像ですから無視していただきたいのですが、
大名の絶対数が少ないですから、同じ家格の大名のグループは何十家くらいでしょう。
大身の大名の場合、上位の将軍家、御三家、御三卿から嫁を割り当てられることが多いでしょう。
嫡男がいるのに将軍家等から婿養子を迎えるようなことになりかねないのかなど、つまらぬことを想像していました。
同じ家格の家同士で婚姻できればよいですが、家格が上位の家から順繰りに下位の家に娘を嫁がせるという状況にならないのかなと。
結局、いくら想像してもどうなるのか、よく解りませんでした。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
私の勉強不足かもしれませんが、幕府に婚姻を否定された例は聞いた事がありません。
元々大名家自体が熟考の上で決める訳ですし、婚姻の許可もイキナリ公儀に提出する訳ではなく、根回しを十二分に行ったことでしょう。
その様な江戸での公儀との繋がりや大名間での情報のやり取りに「江戸留守居役」があり、また「寄り合い」が行われていました。
婚姻の相手は公儀が斡旋する事や、将軍の娘や縁戚を押し付ける事はありましたが、その様な事を除けば相手を決めるのは大名家自身です。
しかし将軍家からの輿入れならば持参金が期待できましたし、親藩に連なる訳ですから、積極的に断る大名は少なかったか、・・・いなかったか?ここはわかりません。
調べた訳でもないので勝手な意見ですが、乱暴な事を言えば、ひょっとしたら全員家康の子孫かもしれません。
まぁ、側室の子が藩主になる場合もあるので全員はオーバーですが、何処かしらで徳川家と繋がりのあるのも確かですし、積極的に姻戚関係を望む(願い譜代)事もあり、徳川親藩や譜代大名が増えるのに対して、外様は減る一方ですから。
ちなみに例として島津家の公式家格名は「松平修理大夫」ですので、表向きは完全な親戚です。
ご回答ありがとうございます。
>乱暴な事を言えば、ひょっとしたら全員家康の子孫かもしれません。
これは面白い! 俄然調べてみるファイトが湧いてきました。
ほとんどの大名が親戚関係になるかも、と予測していましたが、「ひょっとしたら全員家康の子孫かもしれません」とは痛快!
身内ばかりの集まりである幕閣が、身内に指図するという構図が見えてきました。
道理で幕閣が決めた細かな規則に従わない大名も出てくるはず、と納得しました。
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