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現存しない昔の建造物、建築物や乗り物の写真を利用するとなると、どこまで可能なのでしょうか?

私は戦艦大和の写真を用いていくつかTシャツを作ろうと考えています。
なので許可を取るにも誰に、もしくは何処にとればいいのかわかりません。
自分用に一枚だけの予定ですが、出来をみて友人等に売ることも頭に入れています。
印刷会社には頼まずすべて一人で作ります。

対象が人の場合、故人であれば肖像権および著作権がなくなることだそうなのですが、
現存しない建造物などはどういう扱いになるのかわかりません。(強いて言えば戦艦大和は海底にいますが・・・。)
教えてください。

(1)建造物、建築物や乗り物の写真を利用することは可能か。
(2)現存の有無は関係あるか。
(3)撮影者が死亡している場合の許可等はどうすればよいか。
(4)商用利用可能か。
(5)個人での利用は可能か。

よろしくお願いします。

A 回答 (4件)

著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)


(以下、「新著作権法」と呼ぶことがあります)は、
古い著作権法(明治三十二年法律第三十九号)
(以下、「旧著作権法」と呼びます)の
全部を改正して制定された法律です。
新著作権法は昭和45年(1970年)に公布され、
昭和46年(1971年)1月1日に施行されています。

> 現存しない昔の建造物、建築物や乗り物の写真を利用するとなると、
> どこまで可能なのでしょうか?
> 戦艦大和の写真を用いていくつかTシャツを作ろうと考えています。

戦艦「大和」は
昭和16年(1941年)に竣工し昭和20年(1945年)に沈没していますね。
沈没する前にその姿を撮影した写真については、
次に掲げる要件が満たされるならば、
当該写真に係る、旧著作権法による著作権は、
すでに新著作権法の施行より前に消滅していると考えられます。
◇ 当該写真が
  文芸又は学術の著作物のために特に撮影されたものではないこと。
◇ 当該著作権を第二次世界大戦における連合国又はその国民が、
  日本国と当該連合国との対日平和条約が発効した日の前日までに
  取得したことがないこと。

ただ、たとえば、一枚の写真を切り貼りして用いると、
著作者人格権の一つである同一性保持権の侵害になる可能性があります。

> 一般に、パブリシティ権侵害の争いと言われています。
> (回答No.3より抜粋)。

最高裁判所は、
競走馬の名称を使用したゲームソフトを製作し販売した会社を
馬主らが提訴した事件の判決(平成16年2月13日最高裁第二小法廷判決)
において、物の名称等についてのパブリシティ権を否定しています。
この司法判断を準用すれば、
戦艦「大和」が著名でありその姿に顧客誘引力があるからといって、
そうした経済的な価値を何者かが独占する権利は無い、
ということになります。

パブリシティ権は、
著名人の名前や肖像等の経済的な価値(顧客吸引力等)を
排他的に利用する権利です。
なお、パブリシティ権は所有権とは性質が異なる権利です。
所有権は民法に定められた物権です。
パブリシティ権は法律で明記された権利ではなく、物権でもありません。
最高裁判所は、
著名なデュオ歌手が、その姿態の写真を無断で雑誌に掲載した出版社を
提訴した事件の判決(平成24年2月2日最高裁第一小法廷判決)
において、パブリシティ権が人格権に由来する権利であると判断しています。

> 対象が人の場合、故人であれば肖像権および著作権がなくなることだそうなのですが

写真に係る著作権は原則として、
まず撮影者が撮影した時点で取得します。
この著作権は、他者に譲渡される可能性がありますが、
撮影対象である個人の死亡によって消滅することはありません。

肖像権は、
個人がその容貌や姿態を無断で撮影又は描写されたり
その影像を無断で利用されたりしないという権利です。
個人を撮影対象とする写真の利用に関しては、
当該個人の肖像権に留意する必要があります。
肖像権はこれを有する個人の一身に専属する権利であると
考えられますので、
当該個人の死亡によって消滅すると思います。

肖像権とパブリシティ権については、
法律で明記された権利ではないこと、
物権ではないこと、
そして人格権に由来する権利であることが共通しています。

> (3) 撮影者が死亡している場合の許可等はどうすればよいか。

著作権が譲渡可能な権利であることから、
写真の著作者(撮影者)と著作権者が異なる場合があり得ます。

個人の著作権者である著作者が死亡したことに伴う相続により、
当該著作権が相続人に譲渡される場合があります。
特定の一人の個人が唯一の著作権者である時に当該個人が死亡して、
かつ当該著作権を承継する者がいないと、当該著作権は消滅します。

著作権法による著作権者人格権
(第十八条:公表権、第十九条:氏名表示権、第二十条:同一性保持権)は、
著作者の一身に専属し、かつ譲渡することができない権利であって
(第五十九条)、著作者が死亡すると消滅します。
ただ、著作者が存しなくなった後においても、
著作物を公衆に提供し又は提示する者は
著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為を
してはならない、という原則(第六十条本文)があります
(例外は同条ただし書きの場合)。
著作者の遺族(又は、著作者が遺族に代えて遺言により指定した者)が、
そのような侵害の停止又は予防を請求したり
そのような侵害行為によって損なわれた著作者の名誉や声望を
回復するための措置を請求したりする可能性があります
(第百十六条、第六十条、第百十二条、第百十五条)。

> (2) 現存の有無は関係あるか。

写真に係る著作権は、
その写真に写っている建築物や乗り物が現存するか否かとは無関係です。

> (1) 建造物、建築物や乗り物の写真を利用することは可能か。
> (4) 商用利用可能か。

写真に係る著作権が存続していれば、
当該写真の使用に関して当該著作権の効力が及びます。

また、ラッピング電車に見られるように
著作物である作品が建築物又は乗り物に描かれていて、
当該作品が当該建築物又は乗り物と一緒に写真に写っていると、
当該写真の使用に関して、当該作品に係る著作権の効力も及びます。

写真を衣服のデザインに使用することに関しては、
それが商用利用でないことを理由として
上記各著作権が制限される場合は無いと考えられます。
(たとえば、あなたが友人に無償で譲渡するつもりで、
写真を利用したTシャツを作成して、実際に無償で譲渡すると、
このような利用は、あなたにとっては商用利用でなくても、
当該写真に係る著作権者による、又は、その許諾に基く他者による
同様なTシャツの販売を通じて
著作権者が得る可能性がある利益を損ねることになります。)

ある建築物が建築の著作物として著作権で保護されている場合において、
当該建築物を写真に撮影することや
当該写真を衣服のデザインに使用することは、
当該建築物に係る著作権の侵害にならないと考えられます。
艦船や電車といった乗用に供され得る構造物であって
著作物として著作権で保護されるものが仮にあった場合においても同様です。

> (5) 個人での利用は可能か。

著作権で保護された著作物を複製する目的が
著作権法第三十条第一項にいう
「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」
(「私的使用」)であれば、
同条同項各号に掲げる場合を除いて、当該著作権の効力は当該複製に及びません。
但し、私的使用以外の目的のために、
当該複製物を頒布し、又は当該複製物によって当該著作物を公衆に提示した
場合には、当該複製には著作権の効力が及んでいたものとみなされます
(著作権法第四十九条)。
複製権以外の著作権に関しては、
この第三十条第一項の規定と同じ趣旨の制限規定はありません。

あなたが、
家庭内の人目に付かない場所で着用するTシャツを作成する目的で
著作権で保護された写真をまるごと複製して、
当該複製物をそのままTシャツの前面に印刷した場合には、
当該複製の目的は私的使用であると考えられますので、
もし、あなたが当該複製の目的に従って
そのTシャツを家庭内の人目に付かない場所のみで着用するならば、
当該複製は複製権の侵害にはならない可能性が高いと思います。
他方、
もし、あなたがそのTシャツを着用したままで繁華街に出ると、
私的使用以外の目的で
Tシャツの前面に印刷された当該複製物によって
当該写真を公衆に提示することになる結果として
当該複製が複製権の侵害とみなされる可能性もあると思います。

なお、
美術の著作物に係る著作権や建築の著作物に係る著作権は、
著作権法第四十六条に定める条件が満たされる場合において制限されますが、
写真の著作物に係る著作権に関しては、これと同じ趣旨の制限規定はありません。

また、著作権を制限する規定は著作者人格権に影響を及ぼしません
(著作権法第五十条)。

□ 公益社団法人著作権情報センター:著作権Q&A
 :著作物が自由に使える場合は?
http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html
□ 公益社団法人著作権情報センター:著作権データベース
 :著作権法
http://www.cric.or.jp/db/domestic/a1_index.html
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どのような考え方をすれば良いか基本的な回答をします。



建造物、建築物や乗り物の写真などについては、まず、二つの観点があります。一つは物の所有権であり、他の一つは著作権です。所有権については民法に規定があり、所有権者の権利が(写真撮影を含めて)認められています。

1. 所有権について:例えば、神社仏閣、公告用気球、クルーザー(船)、天然記念物の特別な鶏、街並み、などについてその写真を撮影し配布することが権利侵害かが、従来、国内外問わず争われています。一般に、パブリシティ権侵害の争いと言われています。多くは権利侵害が認められませんでしたが、「公共の場所」からの写真撮影の範囲です。例えば、私有地など、神社仏閣に入り込んでの撮影は権利侵害となっています。
戦艦大和の所有権者は国ですが、一般的な写真は公共の場での撮影なので、権利侵害にはならないでしょう。
所有権には、著作権の50年保護期間は適用されません。
まとめると、画像利用にかかわる所有権の侵害は問われないでしょう。

2. 著作権について:ご質問の場合には写真そのものについての著作権が問題になります。戦艦大和は1940年8月8日に進水してから、1945年4月7日の沈没まで、存在(公共の場で)したと考えられますから、写真撮影はその間に行われたものです。最も新しくて1945年4月撮影となります。撮影者不明の場合は、これの公表後50年間保護されます。また、1945年4月撮影・公表とすれば、起算日は翌年1946年1月1日から50年間です。
撮影者が判明すれば、その死後50年ですが、現在の平均寿命からすると、存命中の確率が高いでしょう。
したがって、写真の利用については著作権者の許諾が必要です。
一般的な戦艦大和の写真は、艦体のみを単純撮影しているわけではなく、海上で波の形、艦首が波をかき分けている状況、煙突からの煙の状況、背景、空の状況、など様々な特定の画像になっていることが多いのです。言い換えれば、写真と言えども個性的です。したがって、誰が撮影しても同じということにはなりません。
まとめると、著作権の許諾が必要と考えられます。

(1)建造物、建築物や乗り物の写真を利用することは可能か。
  上に述べたように、著作権は問題になりませんが、所有権が関わる場合があります。写真に写る被写体の問題です。
(2)現存の有無は関係あるか。
  所有権については現存しなければ所有権も存在しません。
(3)撮影者が死亡している場合の許可等はどうすればよいか。
  これは写真の著作権の問題です。撮影者が死亡して50年未満なら、相続人が権利を継承します。
  ご質問の場合の写真をどのように入手されたかに寄ります(ご自身が撮影したわけではありませんよ  ね)。例えば、雑誌や書籍なら、出版社に問い合わせます。  
(4)商用利用可能か。
  著作権は営利(商用)かどうかを問いません。無料でも許諾がなければ侵害になります。逆に許諾があれば商用も可能です(利益の分配などは別の話)。
(5)個人での利用は可能か。
  著作権法では許諾無しで可能です。ただし、私的使用と言うのは厳密には、家庭内のように限られた範囲ですから、街の中を着て歩くことは想定されていません。例えば、屋外で第三者(公衆)がそれを撮影   し、写真をアップロードしたり、配布する可能性もあります。

著作権者が不明なので許諾無しに複製した、という理由づけは、著作権者からの告訴があってからでは全然対抗できません。差止請求や損害賠償請求があると完全に負けます。
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著作権法 - e-gov


http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html

(1) 写真の著作権が発生しているので、存続していればライセンスしてもらう必要あり
(2) そもそも、この場合、撮影対象物は「著作権法」の「著作物」ではない(著作権法2条)

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
(二号以下略)

(3) 写真の著作権の相続を受けている場合、その相続人からのライセンス
(4) 商用できるライセンスが必要
(5) 個人としてライセンスを受ければ可能

ネコにもわかる知的財産権 - 知的財産権・著作権ってなに?
http://www.iprchitekizaisan.com/

写真著作権と肖像権 | 公益社団法人 日本写真家協会
http://www.jps.gr.jp/rights-2/
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一般的な話をすると長くなるので、戦艦大和について限定して回答します。


戦艦大和という実物は著作物ではないので、それ自体に著作権があるわけではないです。
しかし戦艦大和の写真には著作権がある(存続している)可能性があります。

著作権は著作者の死後50年で消滅することになっています。戦艦大和って第二次大戦の時代に存在した物だから1945年以前ということで、来年で70年経過しますね。戦艦大和の撮影者が誰でまだ存命なのかどうか分からないと著作権が存続しているかどうかは判断できません。

ということで(1)から(5)まで回答すると、
(1)他人が撮影した写真を利用するには、写真の著作権が存続してる場合には著作権者の許諾を得る必要があります。許諾を得ていれば利用することは可能です。
(2)著作物は写真であって、戦艦大和そのものではないので、戦艦大和の現存の有無は関係しません。
(3)撮影者が誰か判っているなら、死後50年間権利が存続していて、遺族が著作権を相続している可能性があります。権利が存続している場合は、権利者側に連絡して交渉し、Tシャツへの利用を許諾してもらうことになりますね。
(4)商用利用に関する許諾を権利者から得ていれば、商用利用は可能です。何に利用するのか(他の目的では使用しない)、利用したらいくら対価を払う、等を契約で細かく決める必要があります。
(5)私的利用、つまり自分が着るTシャツにプリントするだけなら著作権の侵害となりません。ただしこれを他人に売るということになると、とたんに個人での利用ではなくなるので、(4)と同じ判断になります。

撮影者が誰か判らない状況だと、許諾は得られませんので、その写真を使用することは原則できません。
でもどうしても、というなら方法はありますよ。

オプトアウトというやり方です。とりあえず商品にその写真を利用してしまい、あとで著作権者からクレームがついてから権利処理する(許諾してもらう)、という方法です。この方法なら著作権者の方から名乗り出てくれるので、誰が著作権者か判ります。もちろんどういう条件で許諾を受けられるか判らないままビジネスをするので、リスクは残ります。許諾が得られない場合はその商品の販売を中止したり、商品回収する必要が生じたりするかもしれません。

オプトアウトをお勧めするわけではないですが、権利処理できないために前に進めない状況を打破するには一つのやり方かなと思います。例えばグーグルやYouTubeはサイト内の情報に大量の他者による著作物を含んでいますが、それらは掲載前に許諾を得ているわけでなく、あとからクレームを受けて削除する、というやり方を採っています。それと同じアプローチです。
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