以前下記の質問がありました。
【読点について】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8415350.html
短時間に20以上の回答がついて……。
論理的な回答がほとんどないんですね(泣)。
書籍でもサイトでもいいのですが、もう少し論理的なものを教えていただけませんか。
ちなみに、『日本語の作文技術』(本多勝一)は相当読み込んでいるつもりです。できればそれ以外のものでお願いします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
私も本多氏、井上ひさし氏など、数冊読みましたが、
本多氏のものがいちばん論理的だと思いましたね。
これ以上を求めるのは難しいのでは・・・と思います。
新たな回答にならずにすみません。
本多氏の本で納得いかない部分があるなら、
教えていただけると参考になります。
よろしくです。
コメントありがとうございます。
やはり『日本語の作文技術』ですかね。
>本多氏の本で納得いかない部分
あえて言うなら……という意味合いです。
No.2のお礼で書いたものが、『日本語の作文技術』以外の代表的な考え方とします。
これさえも、『日本語の作文技術』にかかると2つの原則に集約されそうです。
そこからさらに話を進めます。
2)【第2章 4 句読点の打ち方】 難物
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-45.html
以下は一部の抜粋(重言)。
==============引用開始
■個人的な「意見」を少々1──2つの原則だけじゃ読みにくい文になる
文部省案13項目42の例を1つずつ〈検証〉したあと、本多読本は次のように書く。
【引用部】
以上の検証によって、二大原則さえあれば文部省案の一三項もの基準は不要であることが理解された。すなわち構文上必要なテンはわずか二つの原則によって律することができる。むろんこれは狭義の文法的な「規範」や「規則」ではない。あくまで「わかりやすい(論理的な)文章」のための構文上の原則である。(p.112)
論理的に間違っていないが、小さな欠点がある(「重大な欠点」かもしれない)。論理的に必要のないテンを使わないと、テンの数はどんどん減っていく。語順などを工夫すれば、さらに減る。それでも論理的に正しいからわかりにくくはならないが、読みにくくなる。そのことは、この引用部を見ればわかる。4つの文の中に、テンが1つしかない。1つだけあるテンは〈逆順〉に従ったもので、次のように書きかえれば、このテンさえ必要なくなる。
【テンを削除した例】
二大原則さえあれば文部省案の一三項もの基準は不要であることが以上の検証によって理解された。
こうなると相当読みにくい。「思想のテン」は個人的な趣味の問題になるのを承知で書くと、このぐらいの長さの一文にはテンがあったほうが読みやすい。元の文章に戻り、少し「思想のテン」を加えてみよう。それだけで、多少読みやすくなる。
【「思想のテン」を加えた例】
以上の検証によって、二大原則さえあれば文部省案の一三項もの基準は不要であることが理解された。すなわち構文上必要なテンは、わずか二つの原則によって律することができる。むろん、これは狭義の文法的な「規範」や「規則」ではない。あくまで「わかりやすい(論理的な)文章」のための構文上の原則である。
なんのことはない。「主語のあとに打つ」「文頭の接続詞や副詞のあとに打つ」って話に戻っている。
だからといって、2つの原則が無意味ってことではない。最優先されるのは2つの原則で、それだけでは不足なら〈思想のテン〉を打つってことだ。その場合には、一般的なテンの打ち方に従えばいい。ふだんはあまり意識しなくてもいいが、微妙な判断をするためには非常に有効だ。
==============引用終了
No.9
- 回答日時:
#8です。
> 名著として広く知られる『日本語の作文技術』の記述も、文法に詳しいかたが見ると不備があるということですかね。
:
「不備がある」といったニュアンスとは次元が異なります。
そもそも、「数式を使わない物理学」とか「音符が読めなくても歌える音楽」といったノリで、「文法を知らない人にも分かりやすい句読法」といったハウツーもの狙いのイメージです。
ですから、小難しくて役に立つとは思えない国文法らしきものなしで、明解な文章の作成が叶うのだという期待を抱く人たちにはとても有り難いガイドだと思います。
ただ、そのためにかなりのデフォルメや割愛が成されているという側面を忘れないでおきたいものです。
例えば、質問者ご自身が「この文部省の試案は同書のなかで執拗なまでに批判され、なんの論理性もないことにされていることはご存じでしょうか。」とばかり、断固思い込んでいらっしゃる箇所についても、結局は誤りとしての批判ではなく余計な項目が多すぎて煩雑であり、ために肝心な点を分かり難くさせている──だから二大原則を基本にして「いいかげんなテン」「ならぬテン」「余分なテン」を撲滅しよう、「わかりやすい(論理的な)文章」を目指そうという程度の相違でしかないとみることもできます。
そもそも、実にこの「試案」の意図そのものでもあることはその「付記」からも窺えます。
「この項(「テン(をうつ)」)の趣旨は、テンをはさんだ語句を飛ばして読んでみても。一応、文脈が通るやうにうつのである。これがテンの打ち方におけるもっとも重要な、一ばん多く使はれる原則であって、この原則の範囲内で、それぞれの文に従ひ適当に調整するのである」、「くぎり符号の適用は一種の修辞でもあるから、文の論理的なすじみちを乱さない範囲内で自由に加減し、…。なほ、読者の年齢や知識の程度に応じて、その適用には手心を加へるべきである。」と、その参考資料を目指したことを伝えています。
参考資料として、想定される様々な文書のあり方や読み手側の事情を考慮し条件を網羅しようと意図している「試案」と、御座なりにされがちだった語順と読点に問題を絞って読み手に分かりやすい作文技術を先鋭にしようと挑んだ本多勝一との、それぞれの置かれたスタンスの異なりでしかないものと見てとれます。
細かい事ですが、本多勝一が引用したこの「試案」では、「(4)の[参照一]」が原本では本則の「マル」なのに、勝手に「テン」と誤読しています(106頁)。それは同書の後の「実戦・日本語の作文技術」でも訂正はなされていません(39頁)。
何より、百冊もの「参考にした本」を列挙するやり方はいただけません。
このうちの一冊「悪文」だけでも実に多くの示唆に富んだ記述がありますし、ほかのものも大いに学べる著作が揃っているようですが、それが殆ど反映しておらず、紹介されている三上章にしても、学習や引用ではなく「私なりの補足をしながらの解説をしてみよう」と述べていますが、そのおかげでむしろ三上章自身の切れのいい構文論がネグレクトされてしまっているきらいさえ覚えます。
それもこれも「できることなら、文法のことになど私はふれたくなかった。そんなことはさまざまな仮説でしのぎを削る学者にまかせておけばいい。」というスタンスのせいで百冊もの文献の成果が凍結されてしまったものでしょうか。
実際の所、かくも国文法がきらいな本多が、「これまでも名が出てきた三上章という文法家(といっても、最初からの国語学者ではなく、もともと理科系だったが、中年から文法を研究しはじめた人)」とサラッと語っているのも如何にも残念です。
若くして哲学を志した三上章は、まず数学を学ぶため東京大学工学部建築科に入学、卒業後は数学教師の職にありながら哲学書を渉猟していた生粋の理系理論派ですが、アラフォーに至って国語学と言語学の調和を目指し、その国語文法の理論化に大きく貢献した一大傑物と称えるべきお人なのですが、文法が嫌いな彼にとってはその程度の扱いなのでしょう。
参考:「高校生のみなさんへ」青山学園大学文学部日本文学科
http://www.cl.aoyama.ac.jp/japanese/highschool/g …
申し訳ない。
回答は、本題に絞ってもう少し平易にお願いできませんか。
本多勝一氏の執筆姿勢全般は、「読点の付け方・打ち方」と〝直接は〟関係が薄いと思います。
三上章氏の話も、「読点の付け方・打ち方」には関係ないと思います。
>それぞれの置かれたスタンスの異なりでしかないものと見てとれます。
当方にはそうは読めません。もしそうなら、本多氏も別の書き方をしたはずです。ただ、この解釈の相違は本題に関係ないと思うのでこれ以上書く気はありません。
>細かい事ですが、本多勝一が引用したこの「試案」では、「(4)の[参照一]」が原本では本則の「マル」なのに、勝手に「テン」と誤読しています(106頁)。それは同書の後の「実戦・日本語の作文技術」でも訂正はなされていません(39頁)。
これは「この真心が天に通じ、人の心をも動かしたのであろう」のあとの句点と読点の話ですね。貴重なご指摘ありがとうございます。
No.8
- 回答日時:
#5です。
>とくに前者には相当問題を感じます。
『日本語の作文技術』をお読みなら、そのことはご理解いただけますよね。
:
その「日本語の作文技術」にも「相当問題を感じます」のですが…。
その基本とされる「第二章 修飾する側と修飾される側」を取り上げると、
まず「分かりにくい文章の実例」において、その「修飾する言葉と修飾される言葉のつながりが明白でない」として挙げた「つながり」の関係マップに疑問があります。
その章末[注1]の「修飾語」に関する説明や[次章45ページの注]などの記述は何とも分かりにくいものです。
たとえば、「「初めてでした」という述語に次のような五つの修飾語がかかっている」のような点です。
想えば、→
講義に類することは→
私にとって→ 初めてでした。
これが→
生まれて→
「想えば」の接続助詞「ば」は、人の動作・観念活動を表わす動詞(「思う」「聞く」「言う」)の仮定形に付いて「後件の話題を引き出すために使う。「思えば心細い限りだ」」(岩波国語辞典))のであって、「初めてでした」を修飾しているとは言い難いのです。その後の話題としての文章そのものを受けた形ですから、しいていえば「思えば~「講義に関することは…生まれて初めて」<なの>「でした」という、体言化の「なの」が省略された係り結び的な予告副詞の構文に当たります。
「講義に類することは」は条件節として「初めてで(「~だ」の連用形)」につながります。
「私にとって」の条件節は「生まれて初めて」につながります。
指示語「これが」は「初めて」につながります。
動詞「生まれて」は「初めてだ」につながります。
以上から、
想えば、→ (なの)でした。
講義に類することは→ 初めて
私にとって→ 生まれて初めて
これが→ 初めて
生まれて→ 初めてで(「~だ」の連用形)
「想えば「私にとって講義に類することはこれが生まれて初めて(だ)」なのでした。」となります。
「第三章 修飾の順序」においても、
白い紙
横線の引かれた紙
厚手の紙
の三つの修飾語をひとつにまとめて、
「白い横線の引かれた厚手の紙」とした上で、「以上の六通りの並べ方ですべての例がそろった。」としています。
しかし、普通であれば用言の活用性を生かして、次のような書き方をしますから、必ずしも修飾語の長短がキーになるとも言い切れません。
「白くて横線の引かれた厚手の紙」
「横線の引かれた厚手で白い紙」
「厚手で白くて横線の引かれた紙」
「実践・日本語の作文技術」の「一、読点の統辞編」でも、
a.東京都立航空工業高等専門学校の生徒
b.熱心な生徒
c.いい生徒
「ここで「生徒」にかかることばをまとめて一つにするとき」に「語感上最も抵抗が少ないばかりか、わかりやすく誤解が少ないのは2 aであろう。」
2a 東京都立航空工業高等専門学校の熱心ないい生徒
理由は「2 aは物理的に単に「長い順」に並べたからである」としています。
しかし、この例では「b 熱心な生徒」「c いい生徒」にはただ短い例をとっただけで、そもそも形容の意味が不分明です。
これを、
d.東京都立航空工業高等専門学校の生徒
e.勉強の熱心な生徒
f.態度のいい生徒
とすれば、
「勉強が熱心で態度のよい東京都立航空工業高等専門学校の生徒」の方が落ち着いており、長さだけで並べた場合、
「東京都立航空工業高等専門学校の勉強が熱心で態度のよい生徒」となってむしろ分かりにくくなります。
それは、単に「修飾語」の長短の問題ではなく、「修飾語」としてその性質を問わずに一括りにしたせいでもあります。
挙げていけばきりがないのですが、要は「参考とした本」として「悪文」を始め百冊近くの国語文章論や国文法のテキストを掲げていること、それなのにこのような基本的な箇所で「悪文」の課題さえ生かされていないことが残念です。
往時、彼の「ニュージニア高地人」の体を張った連載記事は毎日楽しみにしていたファンの一人だったのですが、このような朝日カルチャーセンター市民講座でのこの記述には理論性を飛ばしたアトラクティブな要素が勝ち過ぎたきらいが窺えてなりません。
名著として広く知られる『日本語の作文技術』の記述も、文法に詳しいかたが見ると不備があるということですかね。
「修飾語の長短」のほかに、「親和度(なじみ)の強弱」というキーワードもあったと思いますが。
当方はこのあたりの分析に関しては「なんとなく」理解している程度なので、コメントは控えます。
『わかりやすい論⽂の書き⽅』と『日本語の作文技術』とでは、「問題」が本質的に違っているので、同列に扱うことはできないと思います。
いずれにしても、句読点に関しては『日本語の作文技術』の引用?でしかない文献をなぜわざわざご紹介くださったのか……は謎のままです。
No.7
- 回答日時:
No.3,6です。
本多氏の主張は「わかりやすく、論理的な文章を心がけて、
不要な読点は打たない」ということでしょう。
でもそれだけだと読みにくくなる場合もあります。
このへんは好みもあるのでしょうね。
私は本多氏の「読点や接続詞はできる限り少なくする」
という考えに賛同します。
私自身もそう心がけています。
でも強調したいときや読みやすさを考えたとき、
「なくてもいいのかなあ」と思いながら入れることがあります。
論理だけでは説明できないということなのではないかと
理解しています。
説明不足で申し訳ないです。
私の力量だとこの程度です。
「接続詞はできる限り少なくする」と言ってましたか?
まあ、あの文体なら少なめでしょうね。
さらに言うなら、〈「逆接」の接続詞以外は……〉でしょう。
基本は少なめでよいと思います。
本多読本が教えてくれるのは「必要最低限」の読点の打ち方でしょう。
それは最優先すべき読点とも言えます。
ただし、それだけだと相当読みにくいので、適宜加える必要があります。
このあたりは、No.3の「お礼」に書いたつもりですが……。
No.6
- 回答日時:
No.3です。
本多氏のものが最高だと言えるほど私は日本語の達人ではありませんが、
かなり論理的に整理してあると思います。
他の方の回答で「本多氏のものは噴飯もの」とありますが、
本多氏の思想が気に入らなくて目が曇っているのでしょう。
その方の文章自体が稚拙なのがそれを表していると思います。
蛇足ですみません。
「その方の文章自体が稚拙」か否かは当方には判断できません。
一般には名著とされる『日本語の作文技術』であっても、批判するのは別に構わないと思います。だた、もう少し具体性なり論理性がないと、当方には何がなんだか……。
で、No.3の「お礼」で当方が書いた〈論理的に間違っていないが、小さな欠点がある(「重大な欠点」かもしれない)〉は、どのような印象でしょうか。
No.5
- 回答日時:
#4です。
>ただ、この書籍は句読点に関してふれていますか? 目次を確認しましたが、見当たりません。何ページにあるのでしょうか。
:
4番目の章「文の途中での切り方」(執筆:高橋太郎)です。
なぜ読点が必要になるのかという側面から「中止法」のあり方を説いています。
また、
3番目の章「文の切りつなぎ(旧題:文の続き方)」(執筆:宮地裕)
ここでは句読点や接続詞の使い方で生じる文章の検討が具体例で挙げられています。
5番目の章「文の筋を通す」(執筆:野元菊雄)
主語・主題と述語との相関の有無、副詞や助詞へのおさめの悪さの角度から句読法にも及んでいます。
6番目の章「修飾の仕方」(執筆:宮島達夫)
かかり方の分からない修飾語の問題を取り上げて、文の流れのあり方を論じています。
以上は、それぞれ読点をめぐる基礎的な問題を考えるに当たっての文法的な要因を捉えるための示唆に富んでいると思います。
コメントありがとうございます。
たしかにそういう読み方もできるかもしれません。
P.107~のテーマはズバリ「句読法」ですね。
ただ、「読点の付け方・打ち方について」どの程度具体的にふれているのかはちょっと疑問です。
要点を箇条書きにしようとして頓挫しました。おそらく、「連用形による中止法のときに読点を打つ」ということなのかと。
これは『日本語の作文技術』の二大原則のうちのひとつに含まれますよね。
いずれにしても、もう一度『悪文 第3版』は再読してみようと思います。
ヒントをありがとうございます。
ところで、
>⻘⽊ 宣明「わかりやすい論⽂の書き⽅」
>佐藤政光「日本語の読点について─規則の再検討─」
に関してはあまり役に立たないということでよろしいでしょうか。
とくに前者には相当問題を感じます。
『日本語の作文技術』をお読みなら、そのことはご理解いただけますよね。
No.4
- 回答日時:
文章論としての句読法については次の本が著名です。
岩淵悦太郎「悪文 第3版」日本評論社 (1979)
http://www.panoramic-view.info/2014/03/04/3695/
論理的な文章の句読法については、
⻘⽊ 宣明「わかりやすい論⽂の書き⽅」
http://panoramic-view.info/pdf/Stylebook.pdf
こちらに「推奨図書」のリストもあります。
http://www.logicalskill.co.jp/jwriting/books.html
これまでの句読法の流れをまとめたものとして、
佐藤政光「日本語の読点について─規則の再検討─」
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/ …
この回答への補足
あまりの衝撃に当方は相当動揺していました。書き方がムチャクチャですね。
お詫び申し上げます。
↑の〈しかも[10] ではなく[9] です。 〉は完全に当方の勘違いです。[10] で間違いありません。
筆者は〈修飾語を並べる順序の原則を文献[10]から引用しておく〉と断わっています。
しかも巻末の記述は「参考文献」ではなく「引用文献」です。
ただ、「引用文献」とし、「引用しておく」と断わったからといって、あのような書き方が許されるか否かは疑問です。
この点についても、もしかすると版元と筆者から特別な許可を得ている可能性もあるので、安易に「丸写し」などと書いてはいけないのかもしれません。
軽はずみな書き方を重ねてお詫び申し上げます。
コメントありがとうございます。
>岩淵悦太郎「悪文 第3版」日本評論社 (1979)
昔読みました。たしかに著名ですね(個人的には異論もあります)。
ただ、この書籍は句読点に関してふれていますか? 目次を確認しましたが、見当たりません。何ページにあるのでしょうか。
>⻘⽊ 宣明「わかりやすい論⽂の書き⽅」
↑の紹介ブログもこのかたのものですね。
このかたは本当に東北大学で助教?なんでしょうか。非常に驚いています。この『わかりやすい論⽂の書き⽅』の「4.1 修飾の順序」「4.2句読点のうち方」は『日本語の作文技術』の丸写しです。『日本語の作文技術』を読んだことはある人ならすぐにわかるほどの丸写しです。
この『わかりやすい論⽂の書き⽅』が2003年から毎年版を重ねて世に出ている(らしい)ことが驚きです。こんなムチャクチャなことがまかりとおっているのですね。
おそらく、メールマガジンか何かなので、バレなかったのでしょう。「参考文献」などというレベルではなく丸写しです。〈詳細な説明は文献 [10] の第二・三章を参照されたい〉などというレベルではありません。しかも[10] ではなく[9] です。
『日本語の作文技術』の内容をネット上で読める、という意味では価値が高いかもしれません。
>「推奨図書」のリスト
貴重な情報ありがとうございます。
このリストの何冊かは読んでいます。しかし句読点に関して『日本語の作文技術』以上のことを書いてあるものは見たことがありません。
>佐藤政光「日本語の読点について─規則の再検討─」
以前読みましたが、あまり役に立ったとは言えません。
当方のおおざっぱな感想は下記です。
8)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび4 】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2719. …
以下は一部の抜粋(重言)。
【2】日本語の読点について
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/ …
とんでもない重量級を見つけてしまった。
論文だよね。あんまり悪口は書きたくないけど……。
疑問点をあげていく。
●高信太郎のエッセイの特殊性
P.3で、読点の少ない例として高信太郎のエッセイをあげている。この手法は初めて見たかも。長くてもわかりにくくない例として吉田健一の文章をあげるのと同様だろう。最初に結論を書いておく。そういう特殊な文体をあげてもあまり意味はない。「作文」の教室でこんな文章を書いたら叱られる。
読点が異常に少なくて済んでいる理由として下記をあげている。
1)漢字と仮名が混在して語句の切れ目に暖昧さがほとんどない
2)四か所のカギ括弧の使用
3)文の長さ
4)文型の単純さ
こういう点に注意すれば「読点がなくても決して読みにくい文章とはならないということがわかる」そうだ。
ということは読点など必要ない……そんなわけないでしょ。
たいていの日本語の文章は1)だと思うけど、やはり読点は必要だろう。2)~4)はそのとおりだけど、そういうことをすると別の問題が出てくるんですけど。そこは無視ですか?
●案の不備&具体性の欠如
読点の打ち方のついてこれまで出ている案をあげている。
1)文部省教科書局調査課 国語調査室(1946)
2)広田栄太郎(1959)
3)樺 島 忠夫(1979)
4)日本語教育学会(1982)
1)は、本多読本にボロボロに書かれている。読点に関しては「化石」なのでは。
2)~4)は、真っ先に「主語(主題)の後」をあげている段階で、疑ってかかる必要がある。
このあとに、本多読本についてもふれている。
================引用開始
ところで,このような煩雑な規則に対して,本多勝一(1982)は原則を二つに統合し,それ以外は「思想の最小単位を示す自由なテン」とした。その「二大原則」とは,
第一原則 長い修飾語が二つ以上あるとき,その境界にテンをうつ。
(重文の境界も同じ原則による。)
第二原則 原則的語順が逆順の場合にテンをうつ。
というものであり,「思想の最小単位を示す自由なテン」とは,文部省案の2,3,4,6,7が該当する。本多案は,構文上必要とすぺきテンとそれ以外の(単なる分かち書き的な役割の)テンとを区別しない,これまでの煩雑な規則に対する強い批判の上にできたものであり,その意味で十分に評価されるべきものであると思う。けれども,たとえば,第二原則における原則的語順をどう考えるかはむずかしいところである(5)。また,日本語教育への応用を考えた場合には,具体性に欠ける点が問題となるであろう。
================引用終了
「煩雑な規則」は×だけど、たった2つにしたのも×ですか。
「原則的語順をどう考えるかはむずかしい」……そのとおりだと思う。でも、本多読本はそれを解説するためにクドいほどいろいろ書いてあったけど、それでもダメかな。当方も完全に理解したとは言えないのは、理解力不足とハンカチを噛み締めている。
「日本語教育への応用を考えた場合には,具体性に欠ける点が問題」……だから本多読本はそれを解説するためにクドいほどいろいろ書いてあるんですけど。もう少し具体的に書いてくれないと、ホントに「具体性に欠ける」か否か判断できませんが。
本多読本の理論に欠点がないとは言わないが、それはまったく別の話だと思う。具体性を示すために、長めの引用をする。
2)【第2章 4 句読点の打ち方】※これは最後に回すのがオススメ
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-45.html
(略)
※ No.3への「お礼」をご確認ください。
●これが結論?
P.15~に「まとめ」がある。
================引用開始
これまでの議論を踏まえて,試案として次のように読点の規則を整理してみる。
○構文上のテンとして
1文頭の接続語のあとに打つ。
2文の中止を示すために打つ。
3限定・条件を示すために打つ。
※以上のテンは,文が短かったり単純だったりして意味が明らかな場合は打たなくてもいい。
○語句の並列を示すテンとして
4並列する語句を示すために打つ。
※中テン,括弧など,他の符号を用いる方法もある。
○読み誤りを防ぐテンとして
5語句の意味的まとまりを示し,語句と語句の関係を分かりやすくするために打つ。
※5は一続きの語句の区切りを示すためのもので,引用文,文の倒置,挿入などを他の部分と区別する。1,2,3,4は,適切な例を示せば,ほぼ誰にでも打つことができるテンであり,5はある程度訓練を積んで習得させる必要があるテンの用法である。
テンの打ち方についての問題を考え,その規則の整理を試みたが,テンの位置については,依然として確たる規則を持つには至っていない。しかしながら,論述文作成において,文章のリズム,作者の息づかいを示すものとしてのテンはその重要性が減じ,論理的構成のためのテンが重要性を増しつつあることは否定し得ない事実であり,句読法も文構造をより分明にするために少しずつ改良が成されて行くであろう。
本稿では,とくに日本語教育の観点を念頭に読点の原則を整理してみたが,規則の普遍性が重視される言語教育上の問題として読点を考えることは,テンの規範を作り上げていく上で役に立つと考える。
================引用終了
ウーン。なんかずいぶん平凡な結論になったような。このテの心得の是非に関してはさんざん書いてきたのでスルーしておく。
つまり、「1」~「3」は原則として打つが、「意味が明らかな場合」はなくてもいい、と。「2」は打つべきだし、「1」も打つほうがいいと思う。「3」はケースバイケース。
「5」を論理立てて解説したのが本多読本だと思うのだが、本多読本を否定して始めた論が、最後に本多読本によりかかるのはどうなんだろう。
さらに言うと、「5」の解説中に大胆な意見がある。アンマリだと思う。
「こうした暖昧さは,もし次のような分け書き(いわゆる「分かち書き」ではない)が許されるなら,解決されることも指摘しておきたい。」
「これらも分け書きを行えば問題が解決するものであり,わざわざ読点を用いるほどのこともないものであるが,そ うした表記上の工夫が進まない間は,具体的な例を出してテソの打ち方を工夫させるといった教育上の訓練が必須である。」
No.2
- 回答日時:
もっと手軽で、日常参考にするのに便利なのは、「共同通信の『記者ハンドブック』」です。
大手新聞社、出版社でも、「用語の手引き」などの表記基準の社内規範を公刊しています。公刊していなくとも多くの新聞社等は社内文書のかたちで規範を持っています。
書名は何であれ、朝日・読売・講談社・時事通信あたりから表記の基準書が公刊されていると記憶しますが、共同通信のが信用されています。
(自社では規範を取り決めていない小さな出版社や小さな新聞社の編集者・記者、ライター、広告関係者、そういった人達のなかではこの記者ハンドブックを規範にする人が多い)
125ページ当たりに句読点の項目があります。
きちんと追究するには前の方のおっしゃった通りですが、日常手軽に参考にするにはこれです。
それから、誠に失礼ながら、本多勝一のは、これは全く人それぞれの趣味や文章観の、個人個人の好みと考え方次第ですが、私は本多勝一のは噴飯ものだと、この人は文について語る資格はないとみています。私の判断です。
コメントありがとうございます。
手元の『記者ハンドブック』(共同通信社)を確認しました。
根本的な基準になっているのは、「息の切れ目や読みの間(なるべく20字以内)」です。これが「論理的」な説明になっていますか?
>きちんと追究するには前の方のおっしゃった通り
まったく基準にならないことは、すでに書いたとおりです。
当方は『日本語の作文技術』を別にすれば、『説得できる文章・表現200の鉄則』(日経BP社出版局監修)あたりかな、と思っています。
詳しくは下記をご参照ください。
【句読点の打ち方/句読点の付け方──簡略版】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n140029
以下は一部の抜粋(重言)。
==============引用開始
本多読本以外の文章読本では、テンの問題をどのように扱っているのか。いろんな書き方をしているが、内容や例文の適確さを考えて『説得できる文章・表現200の鉄則』(日経BP社出版局監修)のp.49~50の例を紹介する。原典が2色刷りだった関係もあり、体裁はかなりかえている。
【引用・抜粋部】
●読点の打ち方1) 誤解を避けるために打つ
1)-1 修飾語と被修飾語の関係をはっきりさせる
【原 文】きれいな赤い服を着た少女
【修正文】きれいな、赤い服を着た少女
【注】読点を打つことによって、「きれいな」が「赤い服」に係るのではなく、「少女」に係ることが分かる。
1)-2 修飾語と述部の係り受けをはっきりさせる
【原 文】今朝早く完成が待たれていた船の進水式があった。
【修正文】今朝早く、完成が待たれていた船の進水式があった。
【注】読点を打つことで、「今朝早く」が「進水式があった」に係ることが分かる。
1)-3 対等な関係にある2つの語句を等しく修飾する
【原 文】都市通勤者が多く住むA地区とでは長時間保育が課題となっている。
【修正文】都市通勤者が多く住む、A地区とでは長時間保育が課題となっている。
【注】読点を打つことで、A地区とのいずれも都市通勤者が多いことがはっきりする。
1)-4 漢字やカタカナが続くとき、名詞の区切りをはっきりさせる
【原 文】従来価値が高いと見られていたのは次の物件である。
【修正文】従来、価値が高いと見られていたのは次の物件である。
【注】「従来価値」という名詞があると誤解されないように読点を打つ。
●読点の打ち方2) 読みやすい文にするために打つ
2)-1 列挙する語句の間
【例】このシステムは、メールサーバー、ファイヤーウォール、DNSサーバー、WWWサーバー、FTPサーバー、プロキシサーバーを搭載している。
2)-2 主語の後(ただし、短い文には打たなくてもよい)
【例】公社債型を含めた投資信託の純資産残高は、今年6月に過去最高を記録した。
※厳密に主語の定義をするのはむずかしいので、いわゆる「主語」くらいの意味。
※「短い」は「文全体」のときと「主語の部分」の両方がある。詳しくは下記参照。
2)-3 文頭の接続詞や副詞の後(ただし、短い文には打たなくてもよい)
【例】または、~ しかも、~ 主に、~ 結局、~
【注】「また当社は、」のように、すぐ後に読点が続くようなときは接続詞や副詞の後の読点を省略する。
2)-4 理由、条件などの語句または節の後
【例】結論から先に言えば、人材を活用している企業ほど成長している。
~によって、~ ~のため、~ ~に関して、~ ~ので、~
【注】読点が続くような場合は、特に読みにくくなければ省略してもよい。
2)-5 挿入句のある場合の前後
【例】トラブルの原因は、一般化して言えば、インターネットという新しい効率的な手段を受発注に用いたにもかかわらず流通プロセスが従来型だったことにある。
2)-6 複文や重文の結合部
【例】営業スタッフは6割増え、売上計画は前年度の2倍なった。
==============引用終了
>私は本多勝一のは噴飯ものだと、この人は文について語る資格はないとみています。
当方は、「読点の付け方・打ち方」以外にふれる気はありません。いずれにしても、なんの具体例も示さずにこのようなことを書かれても……。
もし「読点の付け方・打ち方」に関して「本多勝一のは噴飯もの」とお考えなら、具体的にお願いします。
No.1
- 回答日時:
統一ルールはないようなので、個人(言語学者)・法人(出版社等)の見解が回答としての精一杯になりそうですが。
下記に「読点の打ち方」の参考URLを貼りましたので、参考にどうぞ。
文部省教科書局調査課国語調査室基準案
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/bunkasingi …
類似質問に関する回答
http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrde …
「文部省教科書局調査課国語調査室基準案」
↑に書いたように、当方は『日本語の作文技術』(本多勝一)は相当読み込んでいるつもりです。
この文部省の試案は同書のなかで執拗なまでに批判され、なんの論理性もないことにされていることはご存じでしょうか。多くの文章読本も、そのことを認めているようなのですが……。
「レファレンス事例詳細(Detail of reference example)」
これは初めて見ます。情報ありがとうございます。
ただ、これは主として句点の話に見えます。
当方の質問は「読点の付け方・打ち方について」です。
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