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著作権が切れている本をまるまる現代語訳して販売することは適法ですか?違法ですか?
(挿し絵や図表等についてもそのまま使用し、その中に文があればそれも現代語訳)
また、現代語訳したことで、その現代語訳版の著作権は誰になりますか?

A 回答 (5件)

◇ 著作者人格権は、著作者が死亡すると消滅し、


  著作権法第六十条の規定はその消滅後に関するものである。
◇ 著作物を同一体系の言語において訳すことは
  著作権法にいう「翻訳」には当たらない。
◇ 著作権が存続する期間について、
  「著作者の死亡後五十年を経過するまでの間」
  とは異なる規定が適用される場合もある。
◇ 同一の著作物の複数の現代語訳版の間で
  著作権に関する問題が生じる場合がある。
◇ 中世に創作された当時の『源氏物語』については、
  そもそも、著作者人格権や著作権に関する問題は生じない。

> 著作権が切れている本を…適法ですか?違法ですか?

その本の「著作権が切れている」とするご判断の根拠はなんでしょうか?

その本に、
主たる著作物とは別途に創作された著作物が掲載されていると、
それぞれの著作物について発生した著作権が
異なる時に消滅する場合があります。

次に掲げる具体的な事項について情報を補足してください。
□ その現代語訳版を、日本国外で販売すること、
  又は、日本国外にいる者に販売することを想定しているか否か。
□ 現代語訳で訳す前の言語と訳す後の言語はそれぞれ何語か。
□ その本が発行された年(←奥付で初版の発行年と当該版当該刷の発行年を見る)。
□ その本の著作の名義は? (←奥付で著者の名前を見る)。
□ その本に掲載されているいる全著作物の種類。
  (ただし、現代語訳版で用いないつもりであるものは除外。)
  例…主たる著作物は小説及び詩で、
  それ以外に絵及び写真が掲載されている。
□ 主たる著作物が創作されたと推定される時期。
□ 主たる著作物とは別途に創作された著作物又はその一部が
  その本に掲載されているか否か。
  掲載されていればその著作物の種類。
  例…主たる著作物で解説されている映画から
  幾つかの場面を切り取った画像が掲載されている。

こうした具体的な事項が不明ですと、
多様な場合を想定して記述する結果、
複雑でわかりにくい回答になるおそれがあります。

【著作物を現代語に訳すことについて】

> 現代語訳版の著作権は誰になりますか?

その本の内容を現代語に訳した者が
現代語訳版の著作者として著作権を取得する可能性が
高いと推察します。

> 著作権が切れている本をまるまる現代語訳して販売することは適法ですか?違法ですか?
> (挿し絵や図表等についてもそのまま使用し、その中に文があればそれも現代語訳)

その本に掲載されている全著作物の著作権が
完全に消滅していれば、
それらの著作物をまるごと、現代語で訳すことは、
基本的に適法です。

ただ、あなたが、仮に、
既存の現代語訳版であってその著作権が存続しているものを参考しながら
現代語で訳すとすると、
その訳の表現が当該既存の現代語訳版の当該部分の表現と酷似してしまうと、
当該部分を訳すことが「複製」にあたる結果、
当該既存の現代語訳版の著作権者の複製権を侵害する可能性があります。

なお、
著作権は譲渡されたり相続したりすることによって承継できることから、
著作者と著作権者が同一でない場合もあり得ます。

【著作者人格権及び著作者の死亡後の「人格的利益」について】

著作者人格権は、著作者が死亡することによって消滅しますが、
著作者が死亡した後についても、
著作物を公衆に提供し又は提示する者が
「著作者が存しているとしたならば」
その著作者人格権の侵害となるべき行為をすることは
禁じられています(著作権法第六十条本文)。
ただ、その行為が「当該著作者の意を害しないと認められる場合」は、
禁じられる対象からは除外されます(同法同条ただし書)。
この著作権法第六十条の規定は、
著作者の「人格的利益」を保護するものです。

日本の著作権法で定められている著作者の著作者人格権は、
公表権(第十八条)と氏名表示権(第十九条)と
同一性保持権(第二十条)です。
ただ、この3つの権利のいずれをも侵害しない行為であっても、
同法第百十三条の規定によって
著作者人格権を侵害する行為とみなされる場合があります。

<ご質問の例に関する検討>

1.その本に掲載されている全著作物が
  既に本を媒体として公表されていることから、
  その現代語訳版を発行により公表することは
  公表権の侵害となる(べき)行為に当たりません。
2.現代語訳版を作るにあたり、
  各著作物の著作者の名前が
  その本で表記されていなければ追記せず、
  その本で表記されていればそのまま転記することによって、
  氏名表示権の侵害となる(べき)行為を回避できます。
3.また、もしご質問にある「現代語訳」が
  日本語の古い言葉を日本語の現代共通語で訳すことならば、
  同一性保持権の規定(同法第二十条第1項)が禁じる
  著作物又は題号の改変に当たる可能性は、低いと推察されます。
  「著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らし
  やむを得ないと認められる改変」は
  この規定が禁じる改変から除外されている(同法同条第2項)
  からです。
  (題号に関しては、元の著作物が何であるかを明示するために、
  その題号をそのままで用いることになるかと思います。)
  一方、たとえば明治時代の小説を平成時代のギャル言葉で
  訳すなどして、原作品の作風や世界観を失わせた場合には、
  同一性保持権の侵害となる(べき)行為に当たる可能性が
  高くなります。
4.「著作者の名誉又は声望を害する方法により
  その著作物を利用する行為」は、
  その著作者人格権を侵害する行為とみなされます
  (同法第百十三条第6項)。
  日本語による表現を日本語で訳すことが
  このみなし侵害に該当する可能性は、低いと推察されます。

<著作者人格権の消滅>

著作権法第五十九条で
「著作者人格権は、
著作者の一身に専属し、譲渡することができない。 」
と定められていることから、
著作者人格権は著作者が死亡することによって消滅します。
(だからこそ同法第六十条には
「著作者が存しているとしたならば」との文言があるわけです。)
このことから、著作者が死亡しても著作者人格権は相続されません。
同法第六十条の規定は、
著作者人格権が消滅した後において
その「人格的利益」を保護するために設けられているものです。

<民事上の請求>

著作者人格権を侵害する行為又は侵害するおそれのある行為については
著作者が/
著作権法第六十条に違反する行為又は違反するおそれのある行為については
著作者の遺族(※)又は、著作者が遺言によって遺族に代えて指定した者が、
その行為者に対し、
その停止又は予防を請求することができ
(著作権法第百十二条第1項及び同法第百十六条)、
また、その行為者が現実に侵害/違反すれば、
これにより生じた損害の賠償や
著作者の名誉を回復するために適当な措置を
請求することができます
(著作権法第百十五条、同法第百十六条及び民法第七百九条)。

※: 
この「遺族」とは「配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹」(☆)で、
順位がより高い者が請求しない場合に順位がより低い者が請求することができる。
その順位は、著作者が遺言によって定めることができるが、
その定めが無い場合には☆の順位となる。

<刑事罰>

同一性保持権の侵害や、
著作権法第百十三条第6項で定める著作者人格権のみなし侵害(←前述)は、
同法第百十九条第2項の規定による罪になります
(法定刑は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はその併科。)
この罪は親告罪(=告訴がなければ検察官が被疑者を起訴できない罪)です。

著作権法第六十条の違反は、同法第百二十条の規定による罪になります
(法定刑は、五百万円以下の罰金)。
この罪は親告罪ではありません。
ただ、前述した民事上の請求権者が違反を主張していない場合には、
この罰則規定が適用される可能性は、低いと推察されます。
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補足質問に対して回答します。



質問者様が気にされているのは、2者の翻訳が同一または類似している場合に著作権上の問題が生じるか否かだと思いますので、その点に関して回答します。

著作権の場合、著作物がたまたま他人の著作物と同一または類似であったとしても侵害にはなりません。
著作権侵害となるためには、その著作物が他人の著作物に依拠して創作されたことが必要となります。依拠して創作とは、簡単に言えば、他人の著作物の内容を見て、それを改変等することにより自身の著作物を創作した場合を言います。
この点が特許権等の侵害と異なります。

したがって、自身の翻訳がたまたま他人の翻訳に類似していても、他人の翻訳に係る著作権を侵害することにはなりません。
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現在の著作権法に沿って回答すると、違法になる場合があります。



まず、ご質問の前提になる「著作権切れ」がどのように判定されたそれが妥当なのか、が不明ですが、それは正しいとして考えてみましょう。例えば、保護期間が経過した後と想定します。

著作権法では第21条~27条に、いわゆる著作権の支分権(複製権、等)が規定されていますが、その保護期間については第51条2項で著作者の死後50年とされています。著作権が切れていれば、許諾を得る必要もありません。

しかし、それとは別に同法第18~20条で著作者人格権を規定しています。

この著作者人格権には保護期間の定めは無く、すなわち、著作者人格権は著作者の死後も、(理論上は)永久に存続します。
著作権法第60条で「著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。」と規定されています。著作者人格権は、公表権/氏名表示権/同一性保持権が主なものですが、これらは存続します。著作者の人格権と考えると、死者には人格権は無いと考えるのが一般的ですが、著作権法では死後においても第60条のように、ある保護を認めています。その理由は、著作物が人類共有の永遠の文化遺産と考えることが立法上の根拠のようです。

問題となるのは上記の同一性保持権です。その侵害は、著作者の生前は親告罪ですが、死後は非親告罪となり、刑事罰の対象です。しかし、同一性保持権の侵害が認められたからといって、直ちに刑事罰が適用されるとは考えにくいところです。

従来も、例えば、源氏物語とか、著名作家や学者が翻訳し出版している事実はあります。問題として考えられるのは、人々が認める妥当な(正しい)翻訳になっているか、根拠の無い解釈で改変されていないか、で評価されるでしょう。人々が認めないものは翻訳とは見なせず、いずれ淘汰される(例えば、出版・販売しても購入されない)ことになるのかもしれません。

>現代語訳したことで、その現代語訳版の著作権は誰になりますか?
仮に、無許諾で翻訳しても、その結果は二次的著作物を創作したことになり、新たな著作権が発生します。元の著作権が保護されている場合は、新たな著作物に元の著作権も併せて生じますので、翻訳者のみが著作権者になるわけではありませんが、ご質問の場合は、元の著作権は及びません(翻訳者のみの権利)。

かりに、源氏物語の現代語訳版を新たに起こし、出版したとして、すでに存在する(実際に多い)同様の現代語訳版との間で権利上の問題は置きません。ただし、翻訳品質に関して比較・評価されることで、いずれかが淘汰されることにはなるでしょう。
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翻訳文の著作権者は翻訳者となります。



また、一般的に、翻訳文は元の著作物(本)を翻訳(翻案)したものであるため、著作物(本)を適法に翻訳し販売するためにはその本の著作権者の許諾等が必要となります。

ご質問の場合には、本の著作権が切れているとのことですので、その本を翻訳,販売しても違法とはなりません。

この回答への補足

例えば古本屋で購入した江戸時代の本、例えば近代デジタルライブラリーで公開されている図書を自分で現代語訳して販売したところ、他の人が既にそれを行い販売していた場合、何か問題は生じますか?

補足日時:2015/01/08 18:24
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翻訳は自由で適法。

翻訳は翻案の著作物であり、二次著作として翻訳者に「翻案」の著作物に対する著作権が生じる。
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