
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
Franck-Condonの原理は
電子の遷移の際には原子核は重いためにすぐには再安定配置には動けず、もとの状態の配置を保つ
というものです。
一般的に励起状態では電子が反結合性軌道に入るために結合が弱くなり再安定配置では基底状態よりも結合距離が長くなります。
しかしFranck-Condonの原理によれば電子遷移の間、結合距離は変化しません。そのため電子遷移により生じる状態は再安定配置よりもエネルギー的に高い状態に
なります(後でその分のエネルギーは熱として放出されて再安定配置に移行します)。
光吸収スペクトルとの関係で言えば、上の理由によりもっとも吸収が起こりやすい吸収波長は励起状態の再安定配置と基底状態の再安定配置のエネルギー差に当たる波長ではなく、励起状態のややエネルギー的に高い配置と基底状態の再安定配置のエネルギー差に当たるところになります。
この回答へのお礼
お礼日時:2004/07/31 10:37
ありがとうございます。ところで、Longifoleneさんの回答でまだ分からないところがあるのですが、「再安定配置」というのはなんですか?あと、「励起状態の再安定配置と基底状態の再安定配置のエネルギー差に当たる波長」というのもよく分からないのですが…。
No.2
- 回答日時:
再安定配置というのは、分子中の各原子の結合が最もエネルギーの低い結合距離、結合角をとっている状態です。
具体例としてエチレン分子(H2C=CH2)について考えてみますと、基底状態ではこの中央の2つの炭素原子の間は1.34Åの距離をとっている時が最もエネルギーが低い状態(状態1とします)です。結合はバネのようなものなので、この距離より伸ばしても縮めても張力が働いてエネルギーは高くなります。
一方励起状態では中央の2つの炭素原子の間は1.5Å程度で最もエネルギーが低い状態(状態2とします)です。
Franck-Condonの原理によれば励起された直後のエチレン分子の2つの炭素原子の間は基底状態と同じ1.34Åのまま(状態3とします)です。つまりこれは無理矢理バネが縮められているのと同じでエネルギーが高い状態になっています。
しかし状態3のエチレンはすぐに余分のエネルギーを放出して状態2に変化してしまいます。そこで励起状態のエチレンというと普通、状態2のものを指します。
そのため励起状態と基底状態のエネルギー差といえば状態2と状態1のエネルギー差(A)をいいます。
しかし、エチレンの光吸収スペクトルの吸収の最大の波長から求められる励起エネルギーは状態3と状態1のエネルギーの差(B)です。BはAより結合が無理矢理縮められている分のエネルギーだけ大きくなります。この違いに気を付ける必要があります。
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