
「分光化学系列の後ろにあるものほどdd遷移のエネルギー差が大きく、吸収波長が短い。」
たとえば、分光化学系列
I<Br<S<F<OH<CN<CO (イオン価数省略)
において、Iは波長が長い波(=エネルギーが低い波)を吸収し、dd遷移のエネルギー差は小さくなる。COは波長が短い波(=エネルギーが高い波)を吸収し、dd遷移のエネルギー差は大きくなる。
dd遷移のエネルギー差が大きくなることと吸収波長が短くなることって矛盾してませんか?d軌道が分裂し、そのエネルギー差が大きければ、dd遷移において波長の短い可視光線(青とか緑とか)が放出されると習ったのですが、同時に波長が短い波が吸収されてしまったら放出する波はどうなるんですか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
高校生の方だったんですね、てっきり大学初年度の方のご質問だと思っていました。
「”遷移に関与する軌道間のエネルギー差が大きい(小さい)”ということは、”吸収される光の波長は短い(長い)”ということになるのは当たり前」
質問者さんは、光の波長とエネルギーの関係はご存知ですよね?
波長が長い光のエネルギーは低く、波長が短い光のエネルギーは高くなります。
光の吸収がどのようにして起こっているのか、どの程度まで勉強しておられるのか分かりかねますが、錯体が波長の長い(黄色~赤)光を吸収するということは、それに見合ったエネルギーの低い電子の遷移が対応しています。逆に、波長の短い(紫~青)光を吸収する場合は、エネルギーの高い電子遷移が起きます。
>色の三原色というものを習ったのですが、例えば[Fe(H2O)6]3+が黄色に見えるのはRGBのうち青を吸収しているからという解釈で合ってますよね?
我々の目に見えている色は、吸収された色の補色です。なので、黄色く見えるということは、青から紫のあたりの光を吸収していることになります。
>吸収している青は比較的波長が短い波(=エネルギーが高い)ですが、放出している黄色は比較的波長が長く、エネルギーが低い波です。この場合は軌道間のエネルギー差は比較的小さいということでしょうか?
上記の例だと、ある錯体が黄色に見えるということは補色の青色を吸収しているということでしたが、今度は「放出している黄色」と書かれています。これは全く別の現象です。補色で黄色く見えているのは、白色光(太陽など)から青~紫色の光が吸収されて抜けたことで残った光の成分が黄色に見えている現象です。いっぽう、「黄色く発光する」ということは分子自体が黄色の色の光を発していることになります。そこのところを混同されているために矛盾しているように感じているのと思います。
たとえば、蛍光発光性の分子で黄色い色をしたものがあります。
この黄色は、紫色を吸収していることで補色の黄色が見えているものです。
この分子の蛍光発光は、青~黄緑色に見えてきます。黄色ではありません。
No.1
- 回答日時:
分光化学系列とか以前に、光の吸収のことをきちんと理解されていないようです。
分子・錯体の最長吸収(一番長波長側の吸収帯)は、たいていは分子・錯体のHOMO-LUMO遷移に対応します。今回問題にされているd金属錯体の場合、中心金属のd軌道間の電子遷移が光吸収に対応することになります。
で、錯体がどうこうはおいておいて、そもそも分子・錯体の光吸収においては、”遷移に関与する軌道間のエネルギー差が大きい(小さい)”ということは、”吸収される光の波長は短い(長い)”ということになるのは当たり前のことです。ここがわかっていないのでは?
遷移エネルギーが大きく(小さく)なれば、吸収される光の波長は短く(長く)なることはわかりますよね?
なお、軌道エネルギー差と発光波長の関係をコメントされています。
上述したことから予想されると思いますが、吸収と発光の波長はしばしば相関が見られます。光を吸収して励起状態になり、励起エネルギーを発光として放出して基底状態に戻るというプロセスから、吸収と発光のエネルギー・波長はおおざっぱに近くなってきます。
ただ、発光のプロセスはもっとややこしいことが多いので、質問者さんの書いていることはかなり単純化された話です。
なお、コメントですが、質問文の以下の箇所が変なこと書いてます。
「I<Br<S<F<OH<CN<CO (イオン価数省略)
において、Iは波長が長い波(=エネルギーが低い波)を吸収し、dd遷移のエネルギー差は小さくなる。COは波長が短い波(=エネルギーが高い波)を吸収し、dd遷移のエネルギー差は大きくなる。」
この文章だと、ハロゲン原子や一酸化炭素が光吸収しているように書いていますが、これらの配位子が結合したd金属錯体のd-d遷移の話ですよね?不正確(というか単に間違いですが)。
全体的に、講義の上っ面だけを聞いたいい加減な理解をされているように感じます。
この回答への補足
ハロゲン原子や一酸化炭素が光吸収しているように書いたのはおっしゃるとおり単に間違いです。
講義(というよりは高校生なので授業)をあんまり理解していないのは重々承知なのですが、やはり
「”遷移に関与する軌道間のエネルギー差が大きい(小さい)”ということは、”吸収される光の波長は短い(長い)”ということになるのは当たり前」
という部分がよく分からないんだと思います。
色の三原色というものを習ったのですが、例えばを[Fe(H2O)6]3+が黄色に見えるのはRGBのうち青を吸収しているからという解釈で合ってますよね?
吸収している青は比較的波長が短い波(=エネルギーが高い)ですが、放出している黄色は比較的波長が長く、エネルギーが低い波です。
この場合は軌道間のエネルギー差は比較的小さいということでしょうか?
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
このQ&Aを見た人はこんなQ&Aも見ています
-
確定申告しなかった・無申告の人をどうやって見つけるのか元国税調査官に聞いてみた
無申告の方などを対象に税務調査を行う国税局の元税務調査官さんに、どう無申告を探すのか聞いてきました。
-
分光化学系列と配位子場分裂 高スピンか低スピンか?
化学
-
コバルト錯体についてです。
化学
-
吸収極大波長が2つ出てくる理由
化学
-
4
化合物のモル吸光係数データベースを教えて下さい
化学
-
5
ヘキサアンミンコバルト((3))塩化物の合成について
化学
-
6
コバルトの錯体について質問です。
化学
-
7
金属錯体の色の原理についての疑問です。
化学
-
8
π-π*吸収極大波長の長波長シフト
化学
-
9
ヘキサアンミンコバルト(III)塩化物
化学
-
10
コバルト(III)錯体
化学
-
11
副生成物
化学
-
12
実験のレポートで収率を書くとき…
化学
-
13
等吸収点
化学
-
14
金属錯体の特有の色について
化学
-
15
なぜ酢酸ナトリウム?
化学
-
16
アセトアニリドの合成
化学
-
17
コバルト錯体の合成法について
化学
-
18
共役の長大=長波長シフト?
化学
-
19
アセトアニリド合成法
化学
-
20
trans-及びcis-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物
化学
おすすめ情報
このQ&Aを見た人がよく見るQ&A
人気Q&Aランキング
-
4
最低励起エネルギーについて。
-
5
エネルギーが高いと不安定?
-
6
波長と共役について
-
7
CV、UV、DFT計算、HOMO-LUMO
-
8
セラミクスの変色
-
9
原子について
-
10
スペクトルについて
-
11
HOMOエネルギーの求め方
-
12
励起光と蛍光
-
13
配位子場分裂について。
-
14
励起電子が基底状態に戻る理由
-
15
吸収スペクトルと蛍光スペクト...
-
16
イオン結晶の結合エネルギー
-
17
バルマー系列やライマン系列に...
-
18
紫外・可視領域の分子の吸収ス...
-
19
NAD+とNADP+の違いを教えてくだ...
-
20
時計の蛍光文字はなぜ光るので...
おすすめ情報
公式facebook
公式twitter