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部分安定化ジルコニアについて(熱力学的を含め)教えて下さい。なぜ、安定化(強化)しているのか、どうしてジルコニアなのか。他の金属では見られないのか、どうしてか?
遷移金属、典型元素(非・金属)の強度について興味を持ち調べています。
化学(科学?)とは縁遠かったため、専門用語はほとんど分かりません。できれば、基礎的なことを中心にお願いします。
また、これから勉強していきたいと思っています。お勧めの本やHPがあればおねがいします。

A 回答 (2件)

この付近がご参考になるのではないでしょうか。



参考URL:http://mori.nc-net.or.jp/fSearchTop.php?cid=0
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
早速 拝見させて頂きました
興味深い内容の質問と回答が多数あり、今後の勉強(趣味なのですが)に活用が期待できました。
本当にありがとうございます

お礼日時:2004/07/31 22:50

安定化ジルコニア(stabilized zirconia)で、安定化されているものは金属ではありません。

ジルコニア中に意図的に混入させた金属「が」(母材の)ジルコニア「を」安定化させているのですが、その点はよいでしょうか。ご質問のタイトルに「金属による安定化」でなく「金属の安定化」とありましたのでちょっと気になりまして。

ジルコニア(ZrO2)はセラミックスの一種で、化学式で明らかなようにジルコニウムの酸化物です。構造部材のほか酸素センサーにも使われています。
ジルコニアは温度によってその結晶構造が変化します。専門的な言葉で言えば単斜晶、正方晶、立方晶の3種の構造相互間で変わります。ところがこの構造変化は無視し難い体積変化を伴うので、温度を上げたり下げたりを繰り返すとジルコニア部材は最後はボロボロになってしまいます。

そこで、温度が変化してもこの構造変化が起こらないようにする方法が研究され、その結果考え出されたのが「安定化」と呼ばれるプロセスです。具体的にはジルコニア中にイットリウム、セリウム、カルシウム、マグネシウムなどの元素(安定化剤)を数%(モル比)加えます。こうすると温度が変化しても結晶構造が変化しなくなり、温度を上げ下げしても体積変化が起こらず、安定してジルコニア部材を使うことができます。
繰り返しになりますが、これらイットリウムやカルシウムがジルコニア「を」安定化させているのであって、イットリウムやカルシウムがジルコニア「によって」安定化されているのではありません。

安定化ジルコニアについては以上のことを知れば取りあえず十分だと思いますが、参考までに「完全安定化ジルコニア」と「部分安定化ジルコニア」の違いについて説明しておきます。
完全安定化ジルコニアは十分な量の安定化剤を加えて、結晶構造変化をほぼ完全に抑制している材料です。これに対して部分安定化ジルコニアは安定化剤の量を減らして、一部結晶構造変化が起きるようにしている材料です。
ここまで説明しますと「構造変化が起きない方がよいではないか、ならなぜ部分安定化ジルコニアなどというものが存在するのか」という疑問が出てくると思います。これは次のように説明されます。

材料の特性の一つに「靱牲」(toughness)と呼ばれるものがあります。これは「粘り強さ」などと説明されます。例えば金属などは、ちょっと傷を入れてそこから折ろうとしてもそう簡単には折れません。金属は「靱牲の高い」材料ということになります。これに対しセラミックスは通常、傷を入れて力をかけると、そこから簡単に折れてしまいます。セラミックスの靱牲は金属に比べ、一般に低いものです。(強度とは違った概念ですからご注意ください。破壊が一気に進行するのかゆっくり進行するのか、ということです)
とは言え金属よりセラミックスが適した部品というものもあるわけで、ならば同じセラミックスでも靱牲をなるべく高めて使いたいというのは当然の発想です。その一つが以下に述べる、応力誘起変態による強靱化です。
セラミックスの破壊は通常、き裂が材料中を進行することで起こります。き裂の先端では応力の集中が起こるため、一度き裂が生じるとさらにき裂は進みやすくなります。

┌───────┐
│       │
│ き裂    │
┝━━━ 先端 │
│       │
│ジルコニア部材│
└───────┘

図1 ジルコニア部材中のき裂

ところが部分安定化ジルコニアの場合、き裂先端にかかった応力のため、き裂先端の近傍の領域で正方晶から単斜晶への構造変化が起こります。この際に体積膨張が生じ、き裂を閉じようとする方向に力が働くのでき裂は進みにくくなります。つまり靱牲が向上することになります。

┌───────┐
│       │
│  ↓↓   │
┝━━━ 先端 │
│  ↑↑   │
│       │
└───────┘

図2 部分安定化ジルコニアにおける応力誘起変態

完全安定化ジルコニアではまったく構造変化が起こりませんので応力誘起変態による強靱化効果は得られません。また安定化しないジルコニアではそもそも、冒頭で述べたように構造変化とそれによる体積変化が激しくて構造材料としての使用に堪えられません。
一部だけ構造変化の余地を残した部分安定化ジルコニアのみで、この強靱化効果が発揮されるというわけです。

後半は申し訳ないのですが質問の趣旨がよく分かりません。例えば「他の金属では見られないのか」の目的語はなんでしょうか。また「遷移金属、典型元素(非・金属)の強度」というのは、その元素から構成される部材の強度と、それらの元素を添加したジルコニア材の強度とどちらを意図されているのでしょうか。前者だとしたら私の知識ではとても説明し切れないところです。後者であれば、そこまで幅広く添加元素の探索を行った報告はちょっと聞いたことがないです。

ジルコニアはセラミックスの世界では有名な材料ですから、セラミックスの入門書を読めば必ず載っています。元素添加による安定化や、応力誘起変態による靱牲向上についても触れられていることでしょう。

[1] オンライン百科事典"Wikipedia"
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%AB% …
[2] 原子力百科事典"Atomica"
http://sta-atm.jst.go.jp/atomica/dic_1512_01.html

参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%AB% …
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この回答へのお礼

大変詳しい回答 ありがとうございます

「金属による安定化」なんですね。
しかも、ジルコニアはZrの酸化物、つまりセラミックス(金属酸化物=セラミックスと認識しておりますが、よろしいのでしょうか?)の名称なんですね?!
Umada様の回答と紹介して頂いたサイトを参考に休日は勉強していきたいと思います

お礼日時:2004/07/31 23:05

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