
■白髪は抜いてもいい?
白髪を発見した瞬間に抜いてしまう人も多いと思うが、これはどうなのだろう。
「一般的に白髪は、年数を重ねると徐々に増えていくものです。しかし、髪の毛の生える回数はある程度決まっていると考えられており、抜き続けていると新しい髪の毛が生えてこない可能性もあるのです。髪の毛は貴重な財産なので、個人的には抜かないで欲しいとアドバイスしています」(茂木さん)
茂木さんは抜かないようにアドバイスしているということ。ついでに、「白髪は抜くと増える」という都市伝説の真偽についても聞いてみた。
「白髪は、気になったときに数本抜いただけのつもりでも、繰り返すとかなりの本数を抜いていたりします。抜くことが色素の供給などに影響することはないので、白髪が増える可能性は低いと考えられます。白髪が気にならないときに抜かずにいると、一気に生えてくるため、増えたような気がするのではないでしょうか」(茂木さん)
茂木さんによると、「白髪は、メラニン色素がなくなった部分に空洞ができて空気が入り込むため、黒髪より張りがあって強く、立ち上がりやすいです」とのこと。白髪は立ち上がりやすいことからつい目がいってしまい、その度に抜くことで相当な本数を抜いていると思うとゾッとする。
抜くという選択肢は今後ないとして、では白髪は染めるとよいのだろうか……?
■白髪は染めればいい?
一度白髪染めをすると、新たに生える度に染めなくてはならず、手間もお金もかかる上、傷みそうでもある。茂木さんはその点をどう考えているのだろう。
「基本的に、白髪染めもおしゃれ染めもアルカリ性のカラー剤です。しかし、白髪は染まりにくい性質があるため、白髪染めにはおしゃれ染めよりも多くの染料が入っています。」
頭皮がデリケートな人は白髪染めすることで、頭皮にダメージを与えてしまいそうだ。
「皮がデリケートな人は、ヘナカラーやヘアマニキュアなどもオススメですよ(茂木さん)
ヘナカラーとは、ヘナという木の葉が原材料の草木染めのこと。ヘアマニキュアは、酸性の染料を髪の表面に付着させる方法なので傷みにくいようだ。
「昔に比べ、白髪染めの種類は豊富になりましたが、お客様の求める仕上がりによっては白髪染めにこだわらなくてよい場合もあります。白髪の量やご要望によっては、白髪と黒髪を一緒におしゃれ染めするなど、さまざまな染め方があります。地の髪色や地肌環境なども確認しながら、最適な方法をご提案させていただけるため、ヘアサロンで相談してほしいですね」(茂木さん)
特に40代以降は、ホルモンバランスの乱れにより急に地肌が敏感になることがあるため、染めるにも注意が必要とのことだった。
■放置がよい?
抜くのも染めるのも面倒だと放置する人もいるが、放置はどうなのだろうか。
「素敵なグレイヘア(白髪)を楽しんでいる方もたくさんいらっしゃいます。必ずしも染めて白髪隠しをすることがおしゃれとは言い切れません。ご自身のお好みやライフスタイル、地肌環境などに合わせ、お選びいただいてはいかがでしょうか」(茂木さん)
ある程度の年齢になったら、白髪があるのは当然である。自然に任せてナチュラルなロマンスグレーを楽しむのも潔く素敵かもしれない。
最後に白髪が生えやすい部分について聞いた。
「多くの人は、分け目や生え際から白髪になります。白髪は細胞の損傷が原因のひとつと考えられているため、直接紫外線の当たりやすい頭頂部や顔周りから生えてきやすいといえます」(茂木さん)
髪や頭皮のUVケアも白髪予防に有効のようだ。日傘や帽子など有効活用してほしい。
●専門家プロフィール:茂木 あかね
都内サロンなどに在籍し、サロンワークのほか、ヘアショーやブライダル、映画、アーティストのヘアメイクなどを担当。2008年からは阿佐ヶ谷balanceにてサロンワークのほか、ブライダルヘアメイクや講師活動を精力的に行う。