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共有結合をしていない,イオンのCl-や,希ガスのArなどの最外殻電子が8個のものでも,
電子の軌道は,S2,P6ではなくて,SP3混成軌道に変わっているのですか?
それとも,Cl2や,CH4のように,共有結合になっているものだけ,SP3混成軌道に
なっているのですか?
よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

>電子の軌道は,S2,P6ではなくて,SP3混成軌道に変わっているのですか?


最初に注意しておきますが、電子軌道のモデルは電子が一つしかない「水素類似原子」にしか適用できません。あとはヘリウムでさえ何が何だか分からないのです。数値計算してもその結果を目で見て理解は出来ません。
さて、sp3を考えたのは二十世紀中期の天才の二人の天才の一人、ライナス・ポーリングです。ちなみにもう一人はリチャード・ファインマンで。ポーリングは物理学から生物学までやたらに守備範囲が広く、もう一歩でワトソンとクリックに先んじて二重螺旋の解析に成功するところまで行きました、でも多分むり。
それはともかく化学者が本業であったポーリングは、量子論の成功を有機化学に導入するにはどうしたら良いか考えました。有名な「化学結合論」という化学者向けの量子論の本も書きました。
ポーリングが悩んだのは2s、2px、2py、2pzの軌道そのままでは正四面体のメタンや、二重結合、三重結合を説明しがたいと言うことでした。
ここからがポーリングの天才で、2sと2pのエネルギー差と化学結合エネルギーとを比較すると、後者が圧倒的に大きいことに気付いたのです。
2px、2py、2pzは三つに分けて書くのは都合上で、実際には三つでまん丸になっています。そこでポーリングは2sと2px、2py、2pzの「線形結合」を作れば正四面体方向に向くことを提案しました。
純数学的で無矛盾です。そこでできたのがsp3つまりsが一つとpが三つという表現です。sp2はsが一つとpが二つそして使われなかったpがπ結合を作ります。spも同じでsとpからspを、残りの二つのpで二つのπ結合を作ります。
長くなりましたが、結合していない原子の場合sp3を考えるのは誤りで、sとpに分けるべきです。ですが、些細なので多くの化学者はこだわりません。
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この回答へのお礼

歴史的な観点から,幅広い説明をいただき,ありがとうございます。了解しました。

お礼日時:2018/07/22 15:31

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