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基本的な質問ですみません。電気学会編「新しい電気化学」(培風館)の防食に関する項で、「インヒビタ-は、電気化学的には腐食反応の過電圧を増大させていることになる。」という文章がありました。この「過電圧の増大」と防食(吸着抑制)との関係が分かりません。よろしく御教授お願いいたします。

A 回答 (2件)

自信ありにしておいてなんですが、以下の話が気に入った回答かは自信ないです。


「・・・電気化学的には・・」とありますが、今ひとつしっくりこない説明なのはこれが両者結果も原因も表してないからのような気がします。
電気化学において、電位制御はギブスの自由エネルギーを自由にコントロールすることに値します。つまり電位の変化によって通常起こらない反応を起こすことが出来ます。
吸着によって安定化された表面の、酸化還元反応における平衡電位が、無垢の表面と同じであると仮定します。その場合表面において反応が起きにくくなるのは、反応に対する活性化エネルギーが高くなるためです。ここで電気化学的に電位をコントロールして、反応を起こそうとすれば、防食前よりもより高いエネルギーを加える必要が生じます。例えば酸化させようと思えば、より高い正電位を印加しなければいけないわけで、逆に言えば電気化学的に安定な電位が広くなったことになります。このとき、対象である表面を持つ物質の電位と、反応速度の関係を図解すると以下のようになります。(A)は防食しない場合、(B)は防食後。

(A)
....../
_____/_____
..../
.../

(B)
........../
_ _______/_
./
/

X軸: 電位 Y軸: 反応電流(あるいは反応速度)
電位の中央が平衡電位とする
(...は図のスペースを作る都合上。無視してください)

(A)では電位を変えると比較的スムースに反応が進行します。一方(B)では、反応を起こすために平衡電位からある程度の電圧を加える必要があります。この平衡電位からのずれが過電圧なわけです。反応の活性化エネルギーが過電圧分に相当するわけです。つまり、
「防食は活性化エネルギーを上げることになる。電気化学的に表面で反応を起こすことが可能であるが、その場合にはより高い過電圧を必要とする。」
しかしながら、分子が吸着した場合には表面のエネルギーも、分子軌道と相互作用するために変化すると考えられます。つまり平衡電位そのものが変化することが予想され、インヒビターの役割は教科書が述べるほど単純ではないかもしれません。
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この回答へのお礼

picoscan様、早速の御回答ありがとうございます。
>反応の活性化エネルギーが過電圧分に相当するわけです。
とてもわかりやすく参考になりました。
ついでといっては失礼なのですが、同じ教科書に、「活性化過電圧(電極表面での反応が律速の場合)」、「濃度過電圧(反応物資の拡散が律速の場合)」という記述があり、この場合インヒビタ-がまさしく**吸着により反応阻害するもの**とすれば、活性化エネルギ-の大小(過電圧の大小)を決める因子は、後者の拡散律速によると考えてよろしいでしょうか?コメント頂ければ幸甚です。

お礼日時:2004/11/02 10:17

>同じ教科書に、「活性化過電圧(電極表面での反応が律速の場合)」、「濃度過電圧(反応物資の拡散が律速の場合)」という記述があり、この場合インヒビタ-がまさしく**吸着により反応阻害するもの**とすれば、活性化エネルギ-の大小(過電圧の大小)を決める因子は、後者の拡散律速によると考えてよろしいでしょうか?



拡散律速ということは,言い替えれば表面電荷移動反応が十分に速いということ.
インヒビターによって電荷移動速度が落ちていれば,それだけ拡散律速になりにくくなるわけで.
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この回答へのお礼

ご解答ありがとうございました。「表面電極での反応」を電極表面と酸素との反応と思い、また「拡散が律速」を酸素の拡散と思い込んでました。

お礼日時:2004/11/03 09:16

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