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No.3ベストアンサー
- 回答日時:
「転移」 は確かに 「腫瘍細胞の移動」 ですが、「腫瘍細胞の移動」 すなわち 「転移」 ではありませんから、お間違いのないように。
「転移」 の説明は No. 1 の方の説明であっていますが、「腫瘍細胞の移動」 にはもう一つの形態 「播種」 があります。これは、腹腔内でよく見られる現象ですが、腹腔内表面に現れた腫瘍細胞が脱落して物理的な空間移動をして、そこで増殖するケースで、卵巣腫瘍でのダグラス窩への播種が比較的有名です。腫瘍細胞の発現機序は、正確にはまだ明確になっていないと考えた方が無難でしょう。正常細胞は一定の周期で分裂増殖を繰り返し、細胞そのものに着目すれば、年中死んでいます (アポトーシス)。この繰り返しが一定の周期 (組織、細胞によって異なりますが) を維持していることで生体の維持ができていますが、この周期が狂った結果が主要化で、では何故狂うのか、が明確になりえていないのです。細胞表面 (糖鎖の変化、膜タンパクの変化、いずれもあります) の変化は結果として起きるときもあり、さらにその結果として、細胞付着性が変化して正常細胞にくっつきやすくなり、くっついた結果変異遺伝子が正常細胞に入り込むことは、一概に否定はできませんが、すべての事例で起こる、と言うことではありません。
二重ガンとは、単純に別の種類の腫瘍が二箇所以上で起きることを言います。また、ここで敢えて腫瘍と書き、ガンと書いていないのは、細胞が異常増殖するものを腫瘍といい、その中には限局性で生命には殆ど影響しない良性腫瘍と、問題となる悪性腫瘍があり、悪性腫瘍の中で上皮性組織由来のものをガン、結合織由来のものを肉腫、というのが正しいからです。
Web 上にある情報は、はっきり言って玉石混交です。出所を確認した上で活用してください。
大変詳細な回答有り難うございます。
「細胞工学」に国立がんセンター研究所の田矢洋一先生が『ここまでわかった細胞癌化のメカニズム』という中に以下のような記述がありました。
http://www.watsonkun.com/shujunsha/200301.html
癌細胞の基本的な性質というのは、RB 経路が変異して G1期で増殖停止しにくくなり、そのうえに p53 経路のどれかに変異が生じてアポトーシスで死ににくくなったものと筆者は考えている。ただし、癌の転移などは別の問題であり、これには細胞表面の接着タンパク質などの変異が主な原因であろうと思う。このように、発癌のメカニズムは今や 70%くらいは説明できる状態になったと筆者は感じている。
癌化のメカニズムは,小生にはとても理解できるものではないと思います。p53カスケードさえ難しすぎますし… 今回は癌の転移は別の問題だという点が質問の原点です。どう別なのか知りたかったわけです。有り難うございました。
No.2
- 回答日時:
1は転移
2は転移ではなく 二重癌
と思います。
この回答への補足
早速に有り難うございます。
実はWebで雑誌を見ていましたら,細胞表面(糖鎖の変化でしょうか? 膜タンパクの変化でしょうか?)が変化しガン化するとあったものですから,ガンがあると正常細胞もガン化するのかと思ったわけです。二重ガンとはどのようなものか知りませんが,ガンが正常細胞に影響を及ぼすのでしょうか。出来ましたらご教授下さい。
No.1
- 回答日時:
(1)です。
がん細胞自体が移動します。最初に正常細胞ががん化した場所のがんを原発巣、そこから細胞が泳ぎだして移動して、定着した別の場所のがんを転移巣と呼びます。がん細胞は、ある組織から流れ出すと、体液の流れに乗って流されながら移動します。通常の組織からは大抵リンパ管がつながっており、リンパ管の下流には、リンパ節がありますので、がんの最初の転移場所は、原発巣の下流に位置するリンパ節である場合が多いです。また、静脈を通して全身のどこか遠くに転移する場合も、血流の流れを考えると理解できることがあります。たとえば、肝臓のがんは、肺に転移しやすい、などです。肝臓からの血流は心臓に戻った後、次に肺に行きますので。がん細胞が肝臓から流れ出て、心臓を通り過ぎて肺に行き、そこで血管が細くなったところに侵入し、増え始める様子が想像できます。
ちなみに、がん細胞は、正常細胞のもっていた性質のうちのある部分を失っている細胞ではありますが、ある程度の性質は残っています。たとえば、乳がんのがん細胞は、乳腺の細胞の特徴をある程度もっています。ですから、転移巣のがん細胞も、どの臓器の細胞の性質をもっているのかを調べると、原発巣がどこなのか(どこの細胞が流れ出してきたのか)、逆に判断できる場合もあります。
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