「『食べないで』を文字で伝える」の「を」は格助詞ですか?接続助詞ですか?何の用法ですか?
を
〔助詞〕(広辞苑)
➊(間投助詞)種々の語を受け、その語を確かに肯定し、承認する意を示す。主に奈良・平安時代に行われた。
①自己の願望・意志、他への希求・命令などを表現する文中で、連用修飾語に付いて強調する。古事記下「迎へ―ゆかむ待つには待たじ」。万葉集3「この世なる間は楽しく―あらな」。万葉集9「漁あさりする人と―見ませ草枕旅行く人にわが名は告らじ」。古今和歌集恋「恋しくは下したに―思へ紫のねずりの衣色にいづなゆめ」。古今和歌集秋「立ちとまり見て―渡らむもみぢばは雨と降るとも水はまさらじ」
②文末で文の内容を確認する。多く、強い詠嘆の余情が含まれる。「ものを」の形が多い。古事記上「あなにやしえをとこ―」。万葉集1「草枕旅ゆく君と知らませば岸の埴生ににほはさまし―」。万葉集12「あしひきの山より出づる月待つと人には言ひて妹待つ我―」。万葉集17「かからむとかねて知りせば越こしの海の荒磯ありその波も見せましもの―」。閑吟集「人買舟は沖を漕ぐ、とても売らるる身―、ただ静かに漕げよ船頭殿」。「そんなに欲しかったならあげたもの―」
③文中で下の「…み」という表現と呼応して、「…が…ので」の意を表す。万葉集1「山―繁み入りても取らず」。古今和歌集雑「笹の葉に降り積む雪のうれ―重み」
➋(格助詞)体言またはそれに準ずるものを受ける。
①対象を示す。現代語では、他動的意味の動詞と対応して目的格的な働きをするが、奈良・平安時代には、自動的意味の動詞や形容詞の前でも使われた。心情・可能の対象を示す「を」は、古くは「が」が一般的であったが、現代語では「人を好き」「故郷を恋しい」「字を書ける」など、「を」も広く使われる。万葉集1「紫の匂へる妹―にくくあらば人妻故に我恋ひめやも」。古今和歌集序「花―めで、鳥―うらやみ、霞―あはれび、露―かなしぶ」。古今和歌集秋「女郎花多かる野辺に宿りせばあやなくあだの名―や立ちなむ」。源氏物語玉鬘「うるさきたはぶれごと言ひかかり給ふ―煩はしきに」。栄華物語月宴「碁・双六うたせ、偏―つがせ」
②そこから離れる所・人を示す。万葉集15「はしけやし家―離れて」。万葉集20「たらちねの母―別れて」
③動作の移動する場所、持続する時間を示す。万葉集5「霞立つ長き春日―かざせれどいやなつかしき梅の花かも」。土佐日記「宇多の松原―行き過ぐ」。「空―飛ぶ」「道―急ぐ」「一日―歩き続ける」
④動詞と同じ意味を表す体言に付き、全体で一種の慣用句をつくる。土佐日記「まして女は船底に頭をつき当ててね―のみぞ泣く」。源氏物語明石「昼は一日寝い―のみ寝くらし」。「夢―夢見る」
➌(接続助詞)多く、活用する語の連体形を受け、次に続く動作・感情の原因・理由などを示す。順接・逆接を決める機能はなく、そのいずれにも用いる。
①下の句に対する順接条件を表す。…のだから。…ので。源氏物語桐壺「若宮のいと覚束なく露けき中に過し給ふも心苦しう思さるる―とく参り給へ」。徒然草「藁一束ありける―夕には是にふし、朝にはをさめけり」
②逆接関係を表す。…のに。口語では多く「ものを」「ところを」などの形をとる。古今和歌集夏「夏の夜はまだ宵ながらあけぬる―雲のいづこに月やどるらむ」。古今和歌集秋「白露の色は一つ―いかにして秋の木の葉を千々ちぢに染むらむ」。発心集「僧ありけり。本は清かりける―、年半たけて後、妻めをなんまうけたりける」。「折角でき上がったもの―、こわされてしまった」「お忙しいところ―おいでいただき恐縮です」
No.3
- 回答日時:
➋(格助詞)体言またはそれに準ずるものを受ける。
①対象を示す。
という用法に該当します。
・内容=『食べないで』(という意志・願い・言葉など)
です。
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