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甲は自己所有の不動産を乙、丙に二重譲渡した。登記は乙に移転されたが、乙は背信的悪意者だった。丙の所有権主張が認められる場合、乙は甲に対して債務不履行責任を追及できる。
ここでわからないのは、背信的悪意者である乙がなぜ甲に責任追及できるのか、です。
債務不履行責任の要件として債務者の帰責性が要求されますが、この帰責性を考えるときに、債権者側の事情は考えなくてもよいということでしょうか??
背信的悪意者であるならば、譲渡人の債務不履行責任を追及することは信義則に反すると思うのですが・・・
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
おっしゃる事例において、乙の「背信的悪意」とは、「丙に対する背信的悪意」であって、「甲に対する背信的悪意」ではありません。
ですから、乙は丙に対する関係で、不動産の所有権の取得について丙に対抗出来ないわけですが、甲に対する関係では乙は特に悪い事をしている事にはなりません。むしろ、甲の方が同じ不動産を、故意に二重譲渡しているのですから、甲乙間では、甲の方が責任が重いともいえます。ですから、乙が甲に対して、譲渡を受けた不動産の所有権を移転できない事による債務不履行責任を追及できる事は、むしろ当然だと思われます。「背信的悪意者」といっても、誰との関係で「背信的」なのかが重要なのですね。
甲と乙の間では有効に契約が成立していて、乙に不動産を取得させるという債務を負った以上、甲はそれを履行できなくしたことについて責任を取らなければならないということなのですね。
丁寧に回答していただき、とてもわかりやすかったです。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
こんにちは
民法418条は、過失相殺を定めて、損害賠償の責任をゼロにすることを認めています。
また、危険負担ではない以上、乙が依然として代金債務を負うことになりますが、それは不公平です。
つまり、乙が甲に対して債務不履行責任を追及できることの意味は、解除(543)を認める点にあると考えればいいのではないでしょか。
損害賠償まで認めるほど、乙は保護に値しないけど、解除を認めるぐらいはOKじゃないかな~
過失相殺・・・忘れていました。
そうですね。過失相殺が認められれば乙が債務不履行責任を追及したとしても不合理な結果にはなりませんね。
解除ができないとすると、今度は甲が不当に利益を得ることになりますしね。
「背信的悪意者」と聞いて「乙は悪いやつ」と短絡的に考えてしまい、純粋な権利義務関係を見ることができていなかったことが反省点ですね。。。
丁寧なご回答、ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
すみません。
便乗させてください。私は、乙の請求は権利濫用に当たり排斥されるような気がするのですが・・・。そういうことは考えられないでしょうか?丙に対して背信的であった以上、最終的に所有権を対抗しえなくなるであろうことは予測しえたはずです。にもかかわらず、甲に責任追及をすることが認められるというのは、利益考量上・・・?
先にお答えくださった方は実務家でいらっしゃるようですので、ご教示いただければうれしいです。
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