自筆証書遺言において、相続対象となる不動産がたくさんある場合(山、畑で
各所に散在している)、どの不動産を誰に相続するという記述を膨大に自署
することになると思われます。
これは、遺言を書かなければいけないような高齢者には大変であることが
想像されます。
この場合でも、やはり自筆証書遺言においては全文を自筆でかかなければ
ならないのでしょうか?
例えば、相続不動産一覧のような添付資料(飽くまで遺言書の添付資料として)
をワープロなりで作成して、その一覧の項目番号と対応で、自筆証書遺言上で
「財産番号1は長男○○に相続する」と自署するのではいけないのでしょうか?
実は、わたしの友人からこの件で相談を受けました。
彼の父親が遺言書を自筆証書遺言で書くつもりになっているそうです。
彼に聞いたところによると、不動産は固定資産税課税明細書上でも4枚に
渡るぐらいあるそうです。
これを逐一手書きで自筆するのはどうみても大変で書き間違いも起こり
得るだろうし、それが後のトラブルを起こさないとも限らないので、
彼は父親に「ちょっと書くのは待て。書き方を調べてみるから」といって
あるそうです。
どなたか、自筆証書遺言の書き方、また一般に遺言書の書き方に詳しい方
お答えをいただけますと幸いです。
No.1
- 回答日時:
自筆証書遺言は、全文を自書しなければなりませんので、分量があまりに多い場合は適切ではないでしょう。
公正証書遺言をおすすめします。
別紙として、あらかじめ相続人ごとに不動産を分類しておき、例えばA、B。C グループに別けておきます。そして、相続人甲はAの不動産、乙はBの不動産というふうに特定するのが簡単でしょう。
どうしても、自筆でなければならないのであれば、次のように書きます。
私の相続財産は次のとおり相続するものとする。
1 相続人甲は、次の不動産を相続する。
以下、不動産の列記
これを必要なだけ繰り返します。
最後に日付と署名をし捺印します。
要件はこれだけですが、訂正箇所には、うしろの方に訂正場所を指示し、変更事項を記載して箇所ごとに署名し、変更場所には捺印します。
相続が開始し、実行する場合には、家庭裁判所の検認が必要となります。
公正証書の場合は、不動産の一覧表はだれが作成しても問題ありませんし、家庭裁判所の検認も不必要になります。ただし、手数料はかさむことになるでしょうね。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
>この場合でも、やはり自筆証書遺言においては全文を自筆でかかなければ
>ならないのでしょうか?
はい。自筆証書遺言は必ず自筆しなければなりません。
>相続不動産一覧のような添付資料(飽くまで遺言書の添付資料として)
>をワープロなりで作成して
だめです。
遺言の方式を満たしていないものは遺言とは認められません。
「遺言の添付資料」って考え方はありません。
あくまで「遺言か、遺言でないか」ですし、
遺言でなければ遺言としての効力は持ちません。
それだけ大変な遺言書なら、私も公正証書遺言をお勧めします。
そして、遺言書作成にあたっては、司法書士に相談することを合わせてお勧めします。
たしかに費用はかかるけど、あとあとトラブルになったときのコストを考えて
今かかる費用を保険と考えられるかどうか、でしょう。
(遺産相続でもめたときにかかるコストは半端じゃない…お金だけでなく時間等も含めて)
御回答ありがとうございました。
>だめです。
>遺言の方式を満たしていないものは遺言とは認められません。
>「遺言の添付資料」って考え方はありません。
私見で無理があるかもなとは思っていましたが、やはりダメですか。
友人にはその旨伝えてみます。
No.3
- 回答日時:
自筆証書遺言に関しては、民法第968条1項に「その全文、日附及び氏名を自署し」とあるため、
やはり全文を自署する必要があります。
自署しなくても良い遺言書としては、民法第970条の秘密証書遺言があります。
こちらでしたら遺言書をワープロで打つことも可能(署名押印は必要)ですが、
それだけではダメで、それを証人2人を伴って公証役場に持って行き、申述等をする必要があります。
ただ、これら2書類の遺言書では、相続開始後に家庭裁判所で検認の手続きをする必要があります。
また、専門家でない人が書いた遺言書では、
書き方の不備により、登記の手続きに使えないこともあったりするのです。
相続開始後のトラブルを回避したいのであるならば、
法律の専門家である公証人に遺言書を作成してもらう公正証書遺言によって
遺言書を作成されたほうが良いのではないでしょうか。
御回答ありがとうございます。
>また、専門家でない人が書いた遺言書では、
>書き方の不備により、登記の手続きに使えないこともあったりするのです。
具体的にはどんな不備がありえるのでしょう。
友人に伝えておきたいのでもしよろしくければ、再度の回答をお願いします。
No.4
- 回答日時:
そもそもの制度の背景として、自筆をもって自分の意志表示とするということでしょうから、ワープロ文書では誰が書いたものかわからないのでダメですね。
自筆なら筆跡鑑定が可能なので、自分が書いたことの証明にもなります。
自筆証書遺言の様式は、自筆・日付・署名があれば原則OKですが、書き方に注意点がいくつかあります。
一言で言ってしまえば、誰に何を相続・遺贈させるかを誰が見ても間違えようがないように正確に書くことです。
特に注意が必要なのが不動産で、土地は地番・地目・地積を、建物は住所・家屋番号・構造・床面積を必ず書くようにしてください。要するに評価明細書や登記簿謄本と同じように書けばOKです。後の相続登記の段階でも問題ありません。
預金等は金融機関名・支店名・預金種類・口座NOまで書いておけば間違いないでしょう。
あと注意点として、うっかり書き洩らした財産や、遺言を書いてから実際の相続までの間に増加した財産の相続人の指定もれがないように、必ず最後に「その他の財産は○○が相続する」と書き加えておきましょう。
いずれにしても、記述量が多いと自筆で書くのも一苦労ですね。でも書き方さえ間違わなければ、高い報酬払ってまでも専門家に任せる必要もないと思います。
そもそも自筆で書くことをご検討されているのが前提なんでしょうから、公正証書遺言を勧めるのは質問の趣旨を汲んでないことにも思えます。
公正証書遺言なら問題ないことくらいshoshiminさんも百も承知でしょうから、ここは敢えて自力で頑張るのを前提に回答いたしました。
御回答ありがとうごさいます。
わたしも、遺言の書き方に3種類あるのは知っていました。
今回の件は友人からの相談で、彼のお父様が自筆証書遺言を書く気になっていて質問させていただきました。
自筆証書遺言以外を勧めるのも一方法であるとは思いながら、書き方についても、遺言者の意思を尊重するのがスジかと思い、自筆証書遺言を前提に質問させていただきました。
No.5
- 回答日時:
#3です。
私の書いた「書き方の不備」というのは、
たとえば不動産の表示を住所で書いてしまうような場合です。
住所自体は不動産を特定するものではなく、
特に住居表示が実施されている地域では、住所と地番はまったく別のものであるため、
住所による不動産の特定は、実は特定になっていません。
そして、(法の規定により)形式的審査権しか持たない登記官は、
住所で不動産を表示されても、それが当該不動産なのか確認ができません。
それでもなんとか同一認定して登記をしたとしても、
結局地番でしか特定できない建物のない土地(道路や畑)に関して、
後日、裁判により登記が否認されてしまう、なんてこともあるんだそうです。
財産を表示するには、誰が見てもそれを特定できる表示、
たとえば不動産であれば登記簿に記載されている表示をするなどして、
(公正証書遺言ではそうしています)
後日、それを根拠に争うことがないように配慮すべきでしょう。
再度の御回答ありがとうございました。
御回答の内容は極めて実務的なお話でとても役に立ちました。友人にこの旨伝えさせていただきます。
ありがとうごさいました。
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