最近、電子債権等の話が話題となり、経済産業省が出している資料の中で、金融の仕組みの一つに一括決済という仕組みを知りました。
その中で、一括決済には、併存的債務引受方式という形式があるようです。
その場合、当該システムを利用している債権者(納入企業)が、第三者(納入企業の債権者)に債権を譲渡し、債権譲渡特例法により登記を行ったとします。
上記の通り、債権譲渡の第三者対抗要件を具備(債務者対抗要件は未取得)した後、原債権者(納入企業)と債務者(支払企業)と銀行が債務引受契約を行った場合、併存的債務引受契約の締結時点では債権者(納入企業)は実態法上の債権者ではない為、当事者間で引受を行っても引受契約自体に効力を有しないと譲受人から主張される恐れがあるようです。
仮に上記の場合でも、銀行が原債権者(納入企業)の割引依頼によりの弁済した場合は『第三者による弁済』として善意と看做され、有効となると考えてよいものでしょうか。
A 回答 (1件)
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No.1
- 回答日時:
結論から言うと、「第三者による弁済として善意と看做される」訳ではなく、「債権の準占有者に対する弁済」(民法478条)の問題となり、原債権者が債権譲渡により既に債権者でなくなっていることにつき、銀行が善意かつ無過失である場合は有効な弁済となる、と考えます。
本事案の場合、併存的債務引受が成立するなら、引受人(銀行)は連帯債務者となり、債権譲受人は債務者対抗要件を備えない以上、債務者たる銀行は原債権者に弁済して免責されます。
しかし、書かれている通り、併存的債務引受は無効で、銀行が連帯債務者として弁済することは不可能であり、第三者として弁済するしかないと思います。(何故そうなるかは結論を導く上で直接関係無いし、長くなるので割愛します)
そして、譲受人は第三者対抗要件を備えているのだから、第三者たる銀行は原債権者に弁済しても原則的に無効です。
ただし、弁済の相手方が弁済受領権者と見まがう外観を持つ者(債権の準占有者)だった場合には、そのことに善意かつ無過失で弁済すれば有効な弁済になります(民法478条)。
したがって、銀行が善意かつ無過失だったことが必要となるのです。
善意だけでは駄目です。また、看做されるものではなく、立証が必要です。少なくとも、割引依頼があったからと言って、録に調査もせず漫然と弁済したのなら、過失有りとされる可能性は高いです。
(ただし、ここに述べたのは、法理論からするとそうなると言うことであって、裁判になれば弁護士の腕次第で、裁判官に別の結論を採用させることも、絶対に不可能と言うわけではありません)
お礼が遅くなり申しわけありません。
大変参考になりました。
ご指摘を踏まえ、再度整理したいと思います。
ありがとうございました。
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