No.1
- 回答日時:
下記のURLの分析法を見る限り、あなたが疑問に思われていることが、思い当たりませんが、『反応中の過マンガン酸カリウムの濃度がかわり、酸化率が変化する』と書いてあるあなたの文献名をお教えください。
兵庫県の環境分析化学実験(COD)より、引用しました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4.2 化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand, CODMn)
概要
CODとは、試料水に対して、強力な酸化剤を反応させることによって、被酸化性物質の量を求めるものである。・・主に有機物量の指標として扱われている。特に海域や湖沼の水質汚濁に関わる環境基準で「生活環境の保全に関する環境基準」の項目として重要である。河川の指標はBODを用いるが測定に日時を要することからCODを代用することもある。 BOD値とCOD値には相関があるが、同一になるとは限らない。
一般に、酸化剤としては、過マンガン酸カリウム、ニクロム酸カリウムの二種類が用いられている。前者は、酸化率は必ずしも高いとは言えないが、簡便であって、再現性が良い。後者は、酸化率が高いが、クロムを扱う点から、廃液の処理に注意を要する。COD法は化学物質の種類により酸化率が異なり、ほとんど酸化されない有機物もあることから触媒を用いて燃焼させ、その時出てくる二酸化炭素量から有機物の汚濁を評価するTOC(Total Organic Carbon)を測定する方がより好ましい。
ここでは、過マンガン酸カリウム(酸性)法を用いたCODMn測定を行う。なお化学的酸素消費量と呼ばれることもある。
注: 環境基準は河川についてはBODを用い、湖沼および海域についてはCODで測定することになっています。これは、河川は流下時間が短くその間に川の水の中の酸素を消費するような微生物によって酸化されやすい有機物を問題にすればよいのに対し、湖沼は滞留時間が長く有機物が微生物によって分解される時間は長期になることから、より多い有機物の量を問題にしなければならないという立場にたっています。また、湖沼には光合成によって有機物を生成し、溶存酸素の生成と消費の両方を行う藻類が大量に繁殖しているためBODの測定値の意味が不明確になりがちなことも理由の1つです。また河川であっても微生物に害をなす毒性物質を含む試水の場合はCODで評価することとなります。
原理
KMnO4は酸性溶液で次のように反応し、被酸化性物質を酸化する。
MnO4- + 8H+ + 5e- → Mn2+ + 4H2O
O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O
1molの過マンガン酸カリウムは(5/4)O2相当となり32x5/4=40g(O2)
酸性にした試料水に一定量のKMnO4を加え、一定温度・時間で試料水中の被酸化性物質を酸化する。
反応後の試水に過剰量のシュウ酸ナトリウムを加え、未反応のMnO4-を分解する(この時、MnO4-の紫色は、無色になる)。
2MnO4- + 5C2O42- + 16H+ → 2Mn2+ + 10CO2 + 8H2O
JIS K 0102 「工場排水試験方法」では滴定法が用いられているがその他に紫外線吸収法、電量滴定法、過マンガン酸カリウムの吸収を測定する吸光光度法もある。
COD測定における酸化率は酸化剤の濃度、酸濃度、被酸化物の濃度、反応時間によって影響を受ける。硝酸銀や硫酸銀の添加は反応速度を増大させる効果がある。試水に含まれている有機物の種類によって酸化率が異なってくることがある。
液中に残存しているシュウ酸イオンをKMnO4標準溶液で滴定し(無色から紫色に変わるところが終点)、計算によって試料液中に含まれる被酸化性物質と反応したMnO4-の量を求める。
塩分量が多い試料(河口等の汽水域の試料等)の場合は、必ず硝酸銀を加え(5ml)、塩化物イオンの妨害を抑制する。
器具
ビュレット(50 ml), ピペット(5 ml, 10 ml), 駒込ピペット(5 ml), 三角フラスコ(200ml)、100mlメスシリンダー
試薬
0.025N-シュウ酸ナトリウム標準溶液(0.0125mol/l) 市販特級シュウ酸ナトリウムを150~200℃で40~60分間乾燥し、デシケータ中で放冷した後、その1.675gを量りとる。これを蒸留水に溶かし、メスフラスコを用いて1とする。
0.025N-過マンガン酸カリウム標準溶液(0.005mol/l) 市販過マンガン酸カリウム(KMnO4)1gをビーカーに採り蒸留水1.1に溶かし、これを沸騰している水浴上で2時間以上加熱し、一夜放置後ガラス濾過器で濾過し、褐色瓶に保存する。または純度の良いKMnO4を0.8gとり蒸留水1に溶かし、褐色瓶に保存する。ファクターは1.0を超えないようにする。
硫酸(1+2)溶液
硝酸銀(20 w/v %)溶液(または硫酸銀)
0.025N-(0.005mol/l)過マンガン酸カリウム標準溶液の標定する場合は以下の操作を行う
蒸留水100mlを200ml三角フラスコにとる。
↓
硫酸(1+2)5mlを加える。
↓
0.025N(0.0125mol/l)-シュウ酸ナトリウム標準溶液10mlを加える。
↓
60~80℃に加温する。
↓
0.025N-KMnO4(0.005mol/l)標準溶液で滴定する。 溶液が無色からわずかに淡紅色になった点を終点とする。
滴定にml要したとすれば、そのファクターは、次式で求められる。
操作(標定が終了後はここから行う)
試料水100mlを200ml三角フラスコにとる。CODが高い場合は10ppm程度になるように希釈する。
↓
硝酸銀5ml(AgNO3として1g)を200ml三角フラスコに加える。塩化物イオンが200mg以上共存する場合は5 X Cl-gとなるよう添加。
↓
硫酸(1+2)10mlを加える。から試験のために、蒸留水100mlを同様 に三角フラスコにとり、硫酸を加える。
↓
0.025N-KMnO4(5mmol/l)標準溶液を、10mlピペットで加える。
↓
直ちに沸騰水浴中に入れ、30分間加熱する。
↓ ここで過マンガン酸イオンの赤紫色が消えないことを確認
水浴から出して、0.025N-Na2C2O4(12.5mmol/l)標準溶液10mlをピペットで加え、よく振り混ぜる。
↓ 赤紫色が消える
0.025N-KMnO4標準溶液で滴定する。 溶液が無色からわずかに淡紅色になった点を終点とする。同様の操作手順で、から試験(ブランク試験)における逆滴定値を求める。
(注)過マンガン酸カリウムのファクターが1より大きくシュウ酸を加えて反応させた場合に過マンガン酸カリウムの紅色が残る場合がある。この時はシュウ酸の量を10xfmlを小数点切り上げた程度の量とする(例えば11mlとする。ホールピペットで取れる量にする必要有り)。この様なことのないため過マンガン酸カリウムはわずかに少な目で良い。
計算
試料水 V mlを用いた場合に滴定に要した0.025N-KMnO4標準溶液の量をml、から試験のそれをbmlとし、0.025N(0.0125mol/l)シュウ酸の添加量をcml(ここでは10ml)、試料水を用いた場合のKMnO4が消費された量をx meq、から試験におけるそれをy meqとすれば
x(meq) = f x 0.025 x (10 + ) -0.025 x c
y(meq) = f x 0.025 x (10 + b )- 0.025 x c
であり、試料水中の被酸化性物質と反応した量(x - y)は、次のようになる。
(x - y) = f x 0.025 x ( - b)
したがって、次式によってCODを算出できる。
1N-KMnO4標準溶液(0.2mol/l)の1mlは酸素相当量は8mgとなる。
0.025N-KMnO4標準溶液(0.005mol/l)の1mlは酸素相当量は0.2mgとなる。
meq(1/1000 equivalent、ミリ当量) 酸化還元反応や酸塩基反応において、反応する物質の相当量を当量(equivalent)といい、溶液1dm3中の当量数を当量濃度すなわち規定度(nomality,記号N)と表す。例えば硫酸のような二プロトン酸なら1moldm-3の溶液は2規定(2N)と表す。SI単位には採用されていないがよく使われる。過マンガン酸カリウムの場合1molの物質量は5当量となる。
グルコース(C6H12O6)0.01676gを1リットルの水に溶かすと、CODとして10mg/l(10ppm)に相当します。理論値は約18ppmですがグルコースの酸化率59%を考慮すると上記の値となります。
(参考) 正確なCODを得るためには過マンガン酸カリウムの滴定量が約1/2(3.5~5.5ml範囲)になるように試料水の量を調節(希釈)する必要がある。これは有機物に対する過マンガン酸カリウムの酸化率の関係から濃度の比が一定の範囲になるようにするためである。但し試水のCODが低濃度で希釈する必要がないときは100mlとする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
表過マンガン酸カリウムと二クロム酸カリウムを用いた場合の酸化率の違い
CODの手法 CODMn(Ag塩共存) CODCr(Ag塩とHg塩共存)
物質 理論値に対する酸化率% 理論値に対する酸化率%
ギ酸 14 97.7
酢酸 7 96.3
プロピオン酸 8 96.0
ステアリン酸 0 91.8
クエン酸 60 81.5
酒石酸 93 99.1
ホルマリン 18 42.0
アセトアルデヒド 8 45.1
アセトン 0 86.0
メタノール 27 96.0
エタノール 11 95.2
グリセリン 52 96.7
酢酸エチル 4 78.6
ベンゼン 0 17.3
フェノール 63-73 99.2
アニリン 86-108 133
グルコース 59 98.0
可溶性でんぷん 61 86.9
グリシン 3 104
グルタミン酸 6 105
http://www.shse.u-hyogo.ac.jp/kumagai/eac/4_2.htm
参考URL:http://www.shse.u-hyogo.ac.jp/kumagai/eac/4_2.htm
この回答への補足
返答ありがとうございます。
「衛生試験法・注解2005」に、『反応中の過マンガン酸カリウムの濃度がかわり、酸化率が変化する』という記述があります。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
マンガンはKMnO4の正7価やMnSO4などの正2価の他に、正3価や正4価なども比較的安定です。
(よく知られている所では二酸化マンガン(IV)・MnO2)
そのため、過酸化マンガンの濃度が高くなりすぎると、Mn(VII)→Mn(II)の反応が定量的にならなくなる可能性が生じます。
(その場合の反応式は省略させて戴きますが)
滴定においてはこの「定量的反応」が大前提となりますので、これを確保するための目安として、ご質問のような滴定量が設定されています。
(滴定量がこれを著しく越える場合は、ホールピペットなどで希釈したものを滴定し、希釈率から逆算)
なお、これはあくまで上水試験法で指定されているサンプルの体積に対しての目安です。
滴定時のサンプル体積が同試験法の2倍体積だった場合は、10ml程度を目安に、ということになります。
(通常は、そういうことはしませんが)
この回答への補足
回答ありがとうございます。 MnO4-とMn2+が反応して、MnO2を生成する反応を見つけました。
これが理由なんですね。なるほど!!!!!ありがとうございます。
後一つ質問よろしいでしょうか?
5mlが目安とありますが、その目安はどのような根拠で決定されたかご存じなら教えていただけませんか??
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