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以前ニュートリノの質問で少しお世話になってた者なんですが、新たに疑問がわいてきました。

太陽ニュートリノ実験では結果に大混合角解、小混合角解、低質量差解、真空振動解の4通りがあるみたいですが、これは得られたデータが4通りだったのでしかたなく4つの解を提示した、ということですか?つまり実験の精度に問題があったというだけなんですか?また理論的に1つの解に絞るということはできないのですか?

最後に関係のないことなんですがLSND実験でν(μ)→ν(e)が確認され、ここから3種類のニュートリノでは説明がつかずν(s)※不毛ニュートリノが必要となるそうなんですがこれは何故なんですか?(これは時間あればお答えいただくぐらいでいいです。)

A 回答 (3件)

  CERNのLEP(電子陽電子衝突型加速器)によれば ニュートリノの世代数は2.98程度という結果が出ています。


これは、電子と陽電子が対消滅してZ粒子を作り、 それが崩壊してニュートリノになるというモードを精密に解析して 得た結果で、非常に信頼が置けます!。

さて。最近ニュートリノに質量があるという話題があり非常にホットですね。
1998年にSuper-Kamiokandeが大気ニュートリノ振動を5σ以上の精度で 確認し、(99.9995%以上の確率ということ)ニュートリノに質量が あることは確実になりました。
ご存知のように大気ニュートリノというのは、宇宙線が 地球に降り注ぐ際に地球の大気と反応してミューオンを作り、その崩壊過程で 生成されていくニュートリノです。
その検出されたニュートリノの量が ニュートリノ振動抜きでは説明できなかったわけですね。

さてまた、2001年、SNOという実験で、
太陽ニュートリノ振動も5σで確認されました。
太陽は核融合反応でエネルギーを供給していますが、
その過程で ニュートリノを放出されます。標準的な太陽の模型を立てて ニュートリノの量を計算すると、どうしても実験とずれてしまい ニュートリノが振動していると結論せざるを得なかったわけです。

ニュートリノ振動は2つのニュートリノの質量が異なる場合に起こります。 つまりこの2つのニュートリノ振動の結果は、3つのニュートリノの質量が 異なっているということを意味していて、非常にLEPで得られた結果と うまくいっているように思えます。

ところが。やっかいな(逆に言うと非常に面白い)実験結果があります(LSND)。
LSNDは、大気、太陽ニュートリノ振動と全く異なる 質量領域でニュートリノ振動を確認した、という報告をしました。

この結果は5σで確認されていません!!。
将来Minibooneという実験が これが本当に正しいか否かを追試します。しかしもしもLSNDが 正しいのであれば、3つのニュートリノ振動があることになり、
それは 4つのニュートリノがないと説明がつきません
(LSNDが本当に正しいので去ればです!)!!

しかしLEPのZ粒子の崩壊実験からはニュートリノ数は3と決まってますので 新しいニュートリノはZ粒子と反応しない、弱い相互作用を行わない奇妙な ニュートリノであるということになります。
これを「sterile neutrino」と呼びます。

sterile neutrinoが存在するかもしれないという実験結果は非常に多くの 理論家を刺激して、多数のアイディアが生まれました。
extra dimensionを 用いて説明するアイディアがあったり、sterile neutrinoを用いて 宇宙のdark matterを説明したり、もうきりが無いくらいにありますね。

しかしこの4つめのニュートリノの存在の是非は実験で確認するしかないのです。


Minibooneはこのニュートリノの謎をきっと解き明かしてくれるでしょう。
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この回答へのお礼

返信遅れてしまいまして大変申し訳ございません。(ネットができる環境から遠ざかっておりまして・・)

わかりやすいご説明ありがとうございます。Minibooneですか。知りませんでした(勉強になりました)。
LSNDはやはり精度が低いのですね。しかし個人的にはsterile neutrinoが存在していてほしいような気がします。そちらのほうが何かとおもしろそうですしね。
Minibooneの結果が待ち遠しいです。

お礼日時:2002/01/07 00:02

先程の回答で書き忘れたのですが,LSND実験の結果は物理屋の間ではあまり信用されていない,というのが現状です。


LSNDの商売がたきのKarmenと言う実験ではLSNDの結果の半分ほどを否定しています。全部は否定しきれていません。
この問題を解決するためにアメリカでMiniBOONEという実験がもうすぐ始まります。どうなることやら、待ち遠しいです。
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毎度。

jimihennさん専属回答者(ウソ) u13 です。

太陽ニュートリノ問題ですが,観測データが4通りあるわけではなく,一組の観測データがあって、これをニュートリノ振動で解釈するのに4通りのどれでも解釈できてしまう、ということです。
ちなみにスーパーカミオカンデで観測された太陽ニュートリノの昼(太陽ニュートリノは上から飛んで来る)と夜(地球を突き抜けて飛んで来る)の観測量の違いを使うとほぼ大混合角解だけに絞られます。
スーパーカミオカンデは(特に太陽ニュートリノの観測は)しばらくお休みしますがもうすぐ観測がスタートするカムランドが大混合角が正解かどうか明らかにすると思われます。

LSNDについてですが,LSNDの結果だけならばニュートリノは2種類(以上)で良いのですが太陽ニュートリノの結果と大気ニュートリノの結果とを全部説明をつけようとすると3種類では都合が悪くなります。
具体的に言うと,3種類のニュートリノの重さをm1,m2,m3とすると大気ニュートリノでは| m3^2 - m2^2 | = 千分の1ないし百分の1eV^2、太陽ニュートリノは | m2^2 - m1^2 | = 1万分の1eV^2以下で、ニュートリノが3種類だとするといくら大きくても百分の1eV^2(+1万分の1) 以上の質量差がひねり出せないのでLSND実験の結果の質量差の数eV^2以上というのを説明するためには4つ目が必要となります。
ちなみに、ヨーロッパのCERNのLEP加速器によるZ0ボゾンの崩壊様式から,アクティブ(不毛でない)ニュートリノの数は3つしかあり得ないことになっていますから,4つ目は相互作用をしない不毛ニュートリノでなければなりません。

なんだか、とってもわかりにくい説明になってしまったような気がしますが,jimihennさんならわかってくださるかな?
わからなければ補足ください。
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この回答へのお礼

返信遅れてしまいまして大変申し訳ございません。(ネットができる環境から遠ざかっておりまして・・)

毎回お答えいただきありがとうございます。
不毛ニュートリノは質量差の矛盾から推測されたものということですね。
最後のほうは難しかったですが素粒子の本をめくりながらなんとなく理解できました。
知ろうとすればするほど疑問が湧いてくるものですね。
もしかするとまた質問来るかもしれませんがその時は是非是非。

お礼日時:2002/01/06 23:50

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