「コウモリが超音波を出している」 ということは、
1940年代に、アメリカのG・W・ピアースという人が、弱い超音波を探知する装置を作り、それを使って明らかにした、
と本で読みました。
そこで疑問に思うことは、
ピアース氏がわざわざ超音波を探知する装置を作って、わざわざその装置をコウモリに向けたということは、「コウモリが超音波を出している可能性が高い。」 と事前に思っていたということですよね?
一体どういう根拠で、事前にそう思ったのですか?
それ以前に、そういう推論がなされていたという事ですか?
「コウモリが超音波を出している可能性が高い。」 と、誰がどうして思い付いたのですか?
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
明確な回答はできませんが・・・
イタリアの生物学者ラザロ=スパランツァーニ(1729~1799)が、鳥類(当時はコウモリも「鳥」だったのでしょう)の夜間飛行に興味を持ち、この能力について解明しようといろいろと実験をしたそうです。
この実験で、ふくろうなどは目隠しをすると飛ぼうともせず止まり木から地面に落ちてしまうのに対し、目隠ししたコウモリは巧妙に障害物を避け飛行したようです。
また、同じ飛行実験を口や耳を塞いだコウモリで行うと、まともに飛ぶことも出来ず地面に落ちてしまったそうです。
このことから、コウモリはふくろうのように夜目がきき(人間の数10倍から100倍ぐらいの光に関する感度があるそうですが)、夜間で微小な光によってものを目視して飛んでいるのではないと突き止めたそうです。
が、当時はエコロケーション(反響定位)や超音波の概念はなかったのでしょう。ラザロ=スパランツァーニらにとっては「人知を超える能力」だったようです。
関係のありそうな、ドップラー効果の証明が1845年ごろ、超音波の認識は20世紀にはいってからのようですのでいたし方ありません。
ただ、この実験のことと超音波の認識とから、コウモリの飛行能力の機能に、「超音波」がかかわっているかもしれないということが、大きなひとつの要因として推測されても不思議ではないと思うのです。
G.W.ピアース氏の実験が「ビンゴ!!」ってところでしょうか(んな簡単なものではないでしょが・・・)。
ご回答ありがとうございました。
大変に詳しいご説明をしていただき、大いに勉強になりました。
18世紀にそのような実験を行った方がおられたという事ですね。
非常に参考になるご回答でした。大変感謝致します。
No.4
- 回答日時:
こうもりが光なしでも洞窟内で立体感覚を持っていることまでは当時わかっていました。
あとは人類であれば、光なしでどうやって立体感覚を得るかを考えると、当時すでに潜水艦でソナーが開発されていました。つまり当時立体感覚を得る方法は、光以外音しかなかったわけですので、音波であろうとあたりはつくと思います。人の耳に聞こえない音となれば超音波となるのではないでしょうか?逆に言えばソナーができて、そういった考え方が一般的になって初めて蝙蝠の生態が推測できた、それまではわからなかったということではないでしょうか?なんか歴史の必然のような気がします。ご回答いただきありがとうございました。
ソナーの開発がヒントになったということですか。
潜水艦のソナーも超音波を使っているのですね。
レーダーなどと同じように、戦争の影響が大きかったのでしょうか?
たいへんに参考になりました。
No.6
- 回答日時:
No. 3,4の方が述べておられるように、スパランツァーニ、ソーナーというあたりのようです。
http://www.iisc.ernet.in/academy/resonance/Feb20 …
(ここからPDFの記事に飛べます)
実際にコウモリで超音波を見つけたのは、動物学者のドナルド・グリフィンで、物理学者ピアースの作成した、超音波を探知できる世界で初めての装置で、コウモリの超音波を探知したということです。
当時すでに、コウモリの飛行の謎は、「スパランツァーニのコウモリ問題」として有名だったようです。スパランツァーニによって、聴覚を遮られた時にはコウモリがうまく飛べないことがわかっていたのですね(ただし、スパランツァーニの当時はほとんど顧みられなかった)。
1912年にタイタニック号の事故をきっかけに、マキシムというエンジニアが、船と物体との衝突を防ぐためにコウモリの飛行方法が真似できないかと考え、その論説の中で、コウモリは人間の可聴音よりも低周波の音響で障害物を回避しているという信念を述べたそうです。しかし彼はそういう装置の開発を実際に企てませんでした。
高周波数の音響の可能性を述べたのは、ハートリッジという生理学者だそうです。第一次大戦で使用された水中での信号伝達を念頭において、1920年にコウモリは高周波の音響を使っていると述べたそうです。ただし、マキシム同様に、実験はしませんでした。
グリフィンは、二人の仮説のうち、低周波はありえないと考え、超音波を検知するために、ピアースのもとを訪ねたようです。
しかし、コウモリの超音波を検知したことを報ずる彼らの最初の論文は「ばかげたほど用心深く」、新たに発見されたコウモリの超音波は、彼らの暗闇での飛行能力とは関係ないかも知れないと書かれていたそうです。
グリフィンには邦訳になったコウモリの超音波の本があります。古書店のサイトで探すと出てきます。
D.R.グリフィン・熊本乙彦訳(1970) コウモリと超音波. 河出書房新社.
ご回答ありがとうございました。
お礼を書き込むのが大変に遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。
たいへんお詳しい解説をしていただき、勉強になりました。
とても参考になりました。
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