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抵当権設定の土地を取得時効で取得した場合、当該土地を分筆しなければなりませんが、その場合抵当権は、当該土地の割合により按分されるのでしょうか。それとも旧所有者がすべて負担するのでしょうか。

A 回答 (5件)

>当該土地を時効取得していたが時効の援用をせず新所有者が登記をしない状態で、旧所有者と抵当権者の間で抵当権を設定した場合でも、分筆による按分はないのでしょうか



その場合は、抵当権者に対しては時効取得を対抗できない(判例、民177条)ため、抵当権が残ります。しかし、按分という表現は適切ではなく、2筆の土地による共同抵当の関係になります。

将来、分筆された一方ついてのみ抵当権の実行として競売がされたような場合は、複数の物上保証人間における求償権の問題として、担保不動産の価格の割合によってもう一方の物上保証人に求償が可能です(民501条3、4号)。もっとも、この按分比は、競売の時点の不動産の価格で決まるので、分筆のときには定まりません。
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#3です。

どうもまだ肝心のところがお分かりでないようです。

>当該土地を時効取得していたが時効の援用をせず新所有者が登記をしない状態で、旧所有者と抵当権者の間で抵当権を設定した場合でも、分筆による按分はないのでしょうか

ありません。もう一度言います。共同抵当における各抵当不動産は被担保債権
「全額」を担保します。「全額」です。按分(「分割」)などしません。単に
共同抵当となっている不動産の一部が所有者を異にするというだけで、被担保
債権が共同抵当となっている不動産ごとに「分割」されることなど絶対にあり
ません。これは、不可分性からの当然の帰結でありこれが理解できていればこ
れ以上の疑問など出てくるはずがありません。つまり、これがお分かりでない
のだと思います。

まとめれば、
1.取得時効により抵当不動産の一部について抵当権が消滅した場合、抵当不
動産の残部が被担保債権の「全額」を担保する。
2.取得時効により抵当不動産が分割されたが抵当権は消滅せず共同抵当の関
係になった場合、各共同抵当不動産は被担保債権の「全額」を担保する。
ということです。
「抵当権の被担保債権額の範囲は抵当権が存続する限り抵当権側の事情によっ
ては変わらない(債務の一部が弁済されれば被担保債権額は当然減りますが、
これは抵当権側の事情ではないですし、抵当権の担保する「債権の範囲」自体
は変わってはいません)」のです。

ところで、「配当時に」どの不動産からどれだけ債務の弁済に当てるかを決め
ることを「割付」と言いますが、これとてあくまでも「全額」を担保している
事を前提に、後順位抵当権者等の利害関係人との利益調整のために「配当時
に」やるだけです。利害関係人がいなければ、実際問題として割付には意味が
ありません。そしてこの割付はあくまでも「配当時に」初めて問題となるもの
で抵当不動産の分割とは何の関係もありません。共同抵当が実行時に割付を行
うからと言って、共同抵当の各抵当不動産の担保する債務が分割されるという
ことにはなりません。
これは、共同抵当不動産の一部に後順位抵当権者がいた場合に、後順位抵当権
者のいない不動産から抵当権を実行した場合といる不動産から実行したまたは
同時に実行した場合とで後順位抵当権者が得られる弁済額が変わることがある
ことを見ても明らかです。
例えば、債務者S所有のA不動産が1億円、B不動産が5000万円の価値がある
として、債権者Xが9000万円の債権についてA、B両不動産に共同抵当を有
し、債権者Yが5000万円の債権についてA不動産に二番抵当を有しているとい
う例で話をします。
もし同時に抵当権を実行すれば(これを同時配当と言います)Xへの弁済はA
B不動産に価格の割合で割付けられ、2:1となります。つまり、A不動産から6
000万円、B不動産から3000万円を弁済として受け取れます。するとYはA不
動産の残額4000万円のみが優先弁済を受けられます。
もし同時に抵当権を実行せずに片方を実行すれば(これを異時配当と言いま
す)Xは、先に実行された方の抵当不動産の売却額から「全額」を弁済しても
らえます。つまり、A不動産を先に実行すれば、A不動産から9000万円全額の
弁済を受けられます。これがつまり、「全額」を担保するという意味です。す
るとYは残額1000万円しか弁済を受けられません。もっとも、それでは同時配
当の場合と均衡を失するのでこの場合には、Xが割付けによってB不動産から
受けるべき弁済額について代位することができます。その結果、Y不動産から
3000万円分の弁済を受けられるので合計4000万円の弁済を受けられることにな
ります。
問題は、もし異時配当をB不動産から行った場合にどうなるかです。この場
合、同様にXはB不動産から「全額」の弁済を受けられるのですが、実際には
足りません。そこでとりあえず5000万円分の弁済を受けこの限度で被担保債権
が消滅します。しかし、消滅したのは弁済を受けた5000万円分だけで残りの40
00万円は相変わらず存在し、その抵当不動産であるA不動産はその「全額」を
相変わらず担保しています。そして、次にA不動産を実行した場合、Xは被担
保債権残部4000万円について全額の弁済を受けるのは当然ですが、A不動産の
売却代金が6000万円残るために、Yは5000万円全額の弁済を受けられます。
ここに結論の違いがでくるのがまさに「全額」を担保しているからです。


話を戻します。取得時効の完成後に新たに設定した抵当権は「登記をすれば」
(普通はします)、その時点において既に時効取得していても所有権移転の登
記を経ていない時効取得者に対抗できます。つまり、時効取得者に対して抵当
権を主張できます。この結果、時効取得者は物上保証人(債務を負わないが抵
当権の負担のみを負う者)となります。

そこで両抵当不動産が配当においてどのように債務弁済に当てられるかという
話になります(回答があるようですが、不十分ですので敢えてもう一度書きま
す)。この問題を考えるときには、「抵当不動産の所有者が誰か」ということ
を考えなければいけません。もとより、時効取得などが絡まなくても、共同抵
当においては抵当不動産の所有者が誰であるかを無視しては結論は出ないのです。
パターンとしては、
1.「すべて債務者の所有」(基本形態)
2.「すべて同一の物上保証人所有」
3.「一部債務者で一部物上保証人所有(共有ではない)」
4.「複数の物上保証人所有(共有ではない)」
の最低4つがあります(後順位抵当権者と一部抵当不動産の譲渡が絡むと更に
検討すべき問題があります。なお、抵当不動産の所有者が3人以上になった場
合は、これらの組合せの問題として処理できます)。ここでは少なくとも、3
と4の二つのパターンは検討しなければなりません(その意味で既にある回答
は読むところ4の検討しかしていないようなので不十分であるということで
す。しかも3の方が通常の形態です)。物上保証人の抵当不動産と債務者自身
の抵当不動産の扱いを区別する必要はないという学説もありますが、判例通説
は区別するのでこちらの立場を理解しておく必要があります。

まず3のパターン、つまり前所有者が当該抵当権の被担保債権の債務者であっ
たとします(と言いますか普通はそうです)。この場合、同時配当では割付を
せずに「債務者(前所有者)所有の不動産から先に弁済に当てる」ことになり
ます。これは異時配当で債務者の不動産から実行した場合と同じことになりま
す。つまり、前所有者の不動産を先に弁済にあて、足りない分だけ時効取得者
の不動産から回収するということになります。なお、この場合、債務者の不動
産に後順位抵当権者がいても、物上保証人である時効取得者の不動産に対して
は代位ができません。
異時配当で物上保証人(である時効取得者)の不動産から実行した場合どうな
るかと言えば、まず前提として物上保証人は債務者に対する求償権を得ます。
そしてこの求償権を担保するために被担保債権額「全額」について債務者所有
の抵当不動産に代位できます。

次に4のパターン、つまり前所有者が債務者ではなくて元々単なる物上保証人
だった場合はどうでしょう。
同時配当の場合は、共同抵当の原則どおり割付を行います。
異時配当の場合は、先に実行された物上保証人は、同時配当であれば割付けに
より他の抵当不動産に割付けられる額の限度で代位ができます。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
 物上保証人が求償権を持つということが出ましたので、より聞きたいことを具体的に質問してみたいと思います。
 またお知恵をお貸しください。

お礼日時:2006/11/03 23:54

まず前提として、抵当土地を「全部」時効取得した場合は民法397条によって当該土地を目的とする抵当権は消滅します。


抵当土地の「一部」を時効取得した場合も区別する必要がないので取得時効の成立した土地について分筆すれば当該土地を目的とする抵当権は消滅します(内田貴「民法III 債権総論・担保物権」東京大学出版会に同旨の記述があります)。

この場合、残りの土地の抵当権は相変わらず存在しますが、分筆した土地の割合に応じて被担保債権額が縮減するかと言えば、しません。なぜなら抵当権には不可分性という性質があり、割合によって被担保債権額を分割するなどということは性質上認められないからです。抵当権ではありませんが留置権につき、目的物の一部を返還した場合に特段の事情がない限り残りの占有物が被担保債権「全額」を担保することを不可分性を理由に認めた最判平成3年7月16日があります(通常言うところの不可分性、つまり被担保債権額が減少しても担保物権はなお目的物全体に及ぶ、とは発想が逆、つまり目的物が減少しても残りの目的物はなお非担保債権額全体を担保する、という話なので争点になったのでしょう。しかし、この結論は妥当であり、不可分性が通有性であることからも抵当権にも同じことが言えます)。

これは共同抵当の場合も同じです。共同抵当においては、各抵当目的物はそれぞれが被担保債権額「全額」を担保します。全額を担保するからこそ、配当方法が問題になるのでして。そこで共同抵当の目的物の一部について抵当権が消滅したとして、残りの目的物は相変わらず「全額」を担保しています。例えば火災による共同抵当建物の滅失などの場合に、残存する抵当目的物はたとえ後順位抵当権者がいたとしてもなお、被担保債権「全額」を担保しています。共同抵当における一部の目的物に対する抵当権を放棄した場合も、残りの目的物が「全額」を担保することは変わりません。そこで、これが時効取得により目的物の一部が抵当権の目的でなくなった場合に限って区別する理由はありませんから、この場合も「全額」を担保します。
以上を原則として理解しておきます。
その上で、抵当権を放棄した場合については、後順位抵当権者が放棄しなければ代位できたはずの限度で不当利得となります。なお、もし全額を担保しないのならばそもそも「後順位抵当権者が代位できたはずの限度」ではなく「担保しなくなった債権額につき」となるはずです。この場合には、後順位抵当権者の配当を受ける期待権の保護の必要性があるところ、自らの意思で抵当権を放棄した先順位抵当権者が不利益を甘受するのは当然ですから、両者の関係において、本来後順位抵当権者が代位により受けることができたはずの利益を侵害することについて先順位抵当権者には法律上の原因がないと評価することができます。
しかしながらこれが、抵当目的物の価格が下落したために後順位抵当権者が受けるべき配当が受けられなくなった場合はどうでしょう。目的物の価格の下落など先順位抵当権者の知ったことではありません。つまり、先順位抵当権者を害してまで後順位抵当権者を保護する理由はありません。ですからこの場合は、価格の下落が先順位抵当権者のせいであるというような特段の事情がない限り、後順位抵当権者が泣くことになります。
という両例からすれば、抵当目的物の一部が時効取得によって目的物でなくなった場合には、これは別に先順位抵当権者のせいではないのですから、先順位抵当権者は目的物の価値の減少による不利益を甘受するだけの理由がありません。であれば、先順位抵当権者の損失において後順位抵当権者を保護することは原則として認められないと言うべきです。したがって、先順位抵当権者を犠牲にしても後順位抵当権者を保護すべき特段の事情がない限り、抵当目的物の一部時効取得による担保価値の減少による不利益は、担保目的物の価値下落の場合と同様に後順位抵当権者から負担すべきです。

ということで、原則論としては、後順位抵当権者の存在は先順位抵当権の被担保債権の範囲には影響しないと考えるべきことになります。

この回答への補足

当該土地を時効取得していたが時効の援用をせず新所有者が登記をしない状態で、旧所有者と抵当権者の間で抵当権を設定した場合でも、分筆による按分はないのでしょうか

補足日時:2006/10/22 21:34
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分筆と時効取得を別々のステップとして、「分筆されて共同担保の関係になった2筆の土地の1つについて時効取得があったとき、共同担保関係がどうなるか」というこという問題と考えたらいいと思います。



まず、時効取得された方の土地は、完全にクリアな権利となるので、抵当権の負担はなくなります。これは間違いないでしょう。

問題なのは時効所得されなかった方の土地の抵当権の設定額がどうなるかですね。時効取得された場合の不利益を、所有者だけが受けるのか、それとも抵当権設定権者も等しく受けるのか、明文上の規定は無いと思います。

以下、個人的見解ですが、抵当権者と、抵当権設定権者の関係では、抵当権設定権者(所有者)は、土地が時効取得がされることを防止する第一の地位にあったのだし、あえて権利行使せずに時効取得させるという可能性もありえることから、残りの土地に設定金額全額の負担をさせていいと思います。

ただ、後順位抵当権者がいた、つまり複数の抵当権設定者がいたような場合、後順位抵当権者の弁済の期待が害されることになりますし、一部が時効取得されたことの不利益を後順位抵当権者のみが甘んじて受けなければいけないという理由はないので、共同抵当の一部の放棄と同様、時効取得された割合に応じて、線順位抵当権者は優先弁済を主張できないと考えてもいいかもしれません。

いずれにしても私見です。
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簡単に言うと、抵当権の設定されている土地が分筆された場合、それぞれ分筆された土地全ては不動産登記簿の一番後ろの共同担保目録に全て記載され、抵当権設定地・・担保物件、自体には、なんら変更はありません。

土地の割合による案分はありません。全ての分筆地にかかってきます。

抵当権によって担保される債権は、債権者と債務者の問題で、(所有権者は単なる物上保証の場合もあり、)直接的には関係ありません。
債務者が(被担保)債権を負担しないといけません。

この回答への補足

土地の取得時効が成立し新所有者が登記をしない状態で、旧所有者と第三者の間で当該土地に抵当権を設定した場合でも、按分はありえないのでしょうか

補足日時:2006/10/22 21:09
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