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炭素鋼の比熱と熱伝導率をハンドブックで調べると、
   
温度[℃]、比熱[J/kgK]、熱伝導率[W/mK]
200、514、48  
400、586、41
500、648、38
600、707、34
800、623、25
900、548、27

とありました。
このように、温度によって比熱や熱伝導率はどうして変化するのですか?
極大値や極小値があるのはどうしてですか?
また、この数値をある解析に使おうと考えており、
各温度の間は最小自乗法で補間しようと思っているのですが、
このような場合、補間は普通どういったものを使いますか?
素人的な質問をいろいろ書きましたが、
詳しい説明を宜しくお願い致します。

A 回答 (4件)

固体の比熱はDulong-Petitの法則として知られており、室温程度以上の領域なら定積モル比熱Cvは3Rで一定となります(結晶構造や原子間距離によらない)。

ここにRはガス定数です。
ところがもし膨張を許すならその膨張により外界に仕事をするわけですから、もう少し余分の熱量が必要です(定圧モル比熱Cp)。具体的にはGrueneisen定数γを用いて
 Cp=Cv(1+γαT)
と表されます。γは物質ごとの値です。
γの温度依存性は小さいので定数とみなすと、定圧モル比熱が温度とともに少し大きくなることは理解いただけると思います。(ご質問の比熱は定積比熱、定圧比熱のいずれでしょうか? 通常ですと測定し易い定圧比熱の値だと思いますが。なお上記の説明では「モル比熱」を用いていますが、質量当たりの比熱([J/kg K])でも議論の本質が同じであることは申し上げるまでもありません)
さらに高温にした場合(ご質問の800℃以上)で比熱が下がっている理由は残念ながら分かりません、すみません。

熱伝導率の温度変化の説明には簡単な固体物性の知識が必要です。
固体中の熱は格子の弾性波に対応する量子(フォノン)によって運ばれます。熱伝導率κはフォノン1個の熱容量をc、固体中の音速をv、フォノンの平均自由行程をLとして
 κ=(1/3)c v L
と表されます。
高温ではフォノン同士の衝突機会が増えてフォノンの平均自由行程Lが短くなり、そのために熱伝導率が低下します。

補間は解析の種類や必要とする精度にもよりますが、大抵の場合(例えば有限要素法による熱伝導解析)は最小自乗法を持ち出すまでもなく折れ線近似で十分だと思います。比熱や熱伝導率の温度依存性の影響はそれで見ることができます。さらに詳細な変化まで追いたい、ということであれば改めて高次の近似をすればよいでしょう。
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物理屋の siegmund です.


鉄は専門じゃありませんし,
No.3 の ymmasayan さんご紹介の炭素鋼の相図など見ると
「ひぇ~」と思うくらいです.
で,コメントをちょっと.

相転移点(変態も相転移の一種)付近で比熱が増大するのは一般的現象です.
上の相図ですと,ymmasayan さんご指摘のように726℃付近に変態点がありますので,
質問の比熱の温度依存性と一応符合します.
比熱の温度依存性の振る舞いをグラフにしてみると,
2次相転移の典型的な形に見えます(ちょっとデータが粗すぎますが).

なお,No.1 で ymmasayan さんは熱膨張や結晶構造変化に触れられて,
> 比熱は体積あたりですので、温度によって当然変化するはずです。
と書かれていますが,質問の比熱は [J/kg K] ですから,
単位体積あたりではなく単位質量あたりの値ですね.

No.2 で Umada さんが格子の弾性波と熱伝導率の議論をされています.
議論自体はその通りなのですが(c は単位体積あたりの熱容量です),
鉄は金属ですから熱伝導の主要部分は伝導電子によるものです.
したがって,結晶構造の変化の熱伝導率への影響は間接的です.
これは,熱伝導率の温度変化が単調で,
比熱のピークのあたりでもさして大きな変化はないように見えることと
符合しています.
でも,やっぱりデータが粗いですね.
詳細に測定すれば,変態点のところで多少の異常は見えるはずです.

なお,伝導電子からの比熱への寄与は小さいことが知られています
(電子がフェルミ粒子であることの帰結です).

要約しますと,
○ 比熱 --- 格子からの寄与がほとんど
  726℃付近の変態点のため,その付近でピークを持つような振る舞い.

○ 熱伝導率 --- 伝導電子からの寄与がほとんど.
  格子の影響は間接的であるため,
  726℃付近の変態点でも大きな変化はない.
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No.1のymmasayanです。


ここまで必要なければ無視してください。
少し見にくいですが、鉄-炭素系の平衡状態図を見つけました。
詳細は説明しませんが、726℃付近に変態点があります。
炭素の含有量によって違いますが、結晶構造ががらりと変わっています。

参考URL:http://www2.tokai.or.jp/kajiya/netu10.htm
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炭素鋼といっても成分によってもかなり違うと思います。


詳しい事は忘れましたが、炭素鋼の場合、温度によって何回か結晶構造が変わります(変態)。
又、温度によって分子・原子間の距離も変わります(熱膨張)。
従って、比熱は体積あたりですので、温度によって当然変化するはずです。
熱伝導率も同じだと思います。

補間は色々な方法がありますが、まずグラフを書いてみて変化の様子をつかんでから直線近似、曲線近似などを選べばいいと思います。
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