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合成した有機化合物のMSスペクトルをとりました。予想した構造の丁度半分の分子量(206)の位置に最大ピークが出ました。これが親ピークだとすると、考えられる化合物の融点が低くすぎる気がしてなりません(実測は228℃)。多環式有機化合物を、励起電圧が70eVでMSにかけた場合、本当の分子量が出ないで、丁度半分の物が最大ピークで最大質量として現れることはあるのでしょうか?チャートには、この最大ピークより大きな質量の位置にはピークはありません。
また、励起電圧を40eVぐらいにすると、別の親ピークが現れる可能性はあるのでしょうか?教えて下さい。

A 回答 (2件)

> 30eV でもう一度 MS を取り直したら、peaksは1/3に


> 減りました。

 ピークの数が 1/3 になったという事でしょうか。これはイオン化エネルギーを落とした事でイオンの持つエネルギーが低下し,フラグメントが出来難くなったためです。


> 70eVで測定した時に比べて、206の強度を10と
> すると、205は3から8、207は2から5に
> 相対強度が強くなっていました。何故でしょうか?

 マススペクトルに於いてはイオン強度は一定しておりません。そのため,測定毎に各イオンの強度は変化します(お書きの程度の変化は起こりうる範囲です)。ましてや,この場合はイオン化エネルギーを 70 eV から 30 eV に低下させていますので,各イオンの強度が変化してもおかしくありません。


> もし15eVで測定すれば強度比が逆転することも
> あるのでしょうか?

 はい,そういった事も起りえます。但し,お書きの 70 eV のデータと 30 eV のデータを比べた感じでは,その化合物のデータではそこまでの変化は無いと思います。


> さてMSは;methyl基のHを3とすると、孤立Hが1つ,
> 隣り合ったHが3個です。

 『MS は』とお書きですが,NMR データの話ですよね。そうすると,以下お書きの化合物では,『孤立Hが1つ, 隣り合ったHが3個』に合わないような気がしますが。

 13C-NMR は測定できませんか。4級炭素の数などを考えると 13C-NMR のデータも有効な様に思いますが。


> 元素分析は C/H が 1.153 ですから組成式は C8H7 に
> なります。

 酸素や窒素の存在は考えなくても良いでしょうか。MS が測定できるのでしたら,高分解能マススペクトルの測定を行ない,組成を出してみられる方が良いかもしれません。


> この化合物を 2,7-Dimethylphenanthrene と推定しました。

 「2,7-Dimethylphenanthrene」の MS データであれば,参考 URL 1番目に出ていますが,いかがでしょうか。また,参考 URL 2番目のサイトで「2,7-Dimethylphenanthrene」を検索すると NMR データを見る事も出来ます。


> そこで、この化合物が対称的に2個縮合した構造(二つの
> P,P'-Dimethyl-diphenyl を二つの etylene 基で繋いだ)
> を考えた訳です。

 この構造では NMR スペクトルに『二つの etylene 基』のシグナルが出現するはずであり,お書きの NMR データとは合わないと思いますが。


> このような化合物の場合、MSで二つのetyleneが切れて、
> 親peakが無くなり、1/2の親が現れることがあるのかどうか
> 知りたかったわけです。

 う~ん。その様な化合物のデータを見た事が無いので何とも言えませんが,可能性はかなり低いと思います。あるとしたら,各芳香環がイオン化して2価イオンになるかどうかですが,これも何とも言えません(可能性は低いように思いますが・・・)。

参考URL:http://webbook.nist.gov/cgi/cbook.cgi?ID=C157669 … http://www.aist.go.jp/RIODB/SDBS/
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> 本当の分子量が出ないで、丁度半分の物が最大ピークで


> 最大質量として現れることはあるのでしょうか?

 無いとは言えませんが,あまり一般的ではありません。MSスペクトルは m/z(質量数/電荷)でイオンが現れます。ですので,例えば2価イオンになった場合,実際の分子量の半分の所に親イオンの様なイオンが出る事になります。


> 励起電圧を40eVぐらいにすると、別の親ピークが
> 現れる可能性はあるのでしょうか?

 通常測定の 70 eV で親イオンが弱い場合,フラグメントが少なく親イオンの相対強度が強いスペクトルを得る目的で,10 eV 程度で測定を行なう事はあります。

 この場合,フラグメントイオンに対する親イオンの相対強度が強くなるのであって,絶対強度は弱くなっていますので注意が必要です。


 ところで,MSスペクトル以外のデータはどうなんでしょうか? 対称な化合物でないかぎり,NMRスペクトルを測定すればお書きの事は分かるはずですが。

 もし対称な化合物であれば,EI イオン化ではなく,CI や FAB, ESI, APCI 等のよりソフトなイオン化法でMSスペクトルを測定すれば,区別が付く可能性もあります。

 それでもダメであれば,誘導体化等を行なって対称性を崩したうえでデータ測定をするしかないでしょうね。


 以上,天然物構造解析の「専門家」としての回答です。

この回答への補足

専門的な回答有難うございました。中国のinternetの事情が悪く、なかなかlog in出来なくて、お礼が遅れました。申し訳ありません。adviceに従って、30eVでもう一度MSを取り直したら、peaksは1/3に減りました。新しいpeakはありませんが、70eVで測定した時に比べて、206の強度を10とすると、205は3から8、207は2から5に相対強度が強くなっていました。何故でしょうか?もし15eVで測定すれば強度比が逆転することもあるのでしょうか?さてMSは;methyl基のHを3とすると、孤立Hが1つ,隣り合ったHが3個です。元素分析はC/Hが1.153ですから組成式はC8H7になります。IRからも官能基はmethyl基だけです。以上のdataからこの化合物を2,7-Dimethylphenanthreneと推定しました。このMPは101℃とhand bookに載っていますが、私の実測では208℃です。そこで、この化合物が対称的に2個縮合した構造(二つのP,P’-Dimethyl-diphenylを二つのetylene基で繋いだ)を考えた訳です。分子量は312になり、MSを除いて全てのdataが納得できるような気がします。このような化合物の場合、MSで二つのetyleneが切れて、親peakが無くなり、1/2の親が現れることがあるのかどうか知りたかったわけです。
最初、簡単に構造決定できると思い、論文を書き始めていましたが、stopしています。長くなりましたが。中国に本も持ってこないありさまです。貴方のような専門家に助言をしていただくのは幸運です。よろしくお願いします。

補足日時:2002/06/29 11:13
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この回答へのお礼

MSのdataを有難うございました。私のchartとぴったり一致しました。そこで、土、日と徹夜で論文を仕上げ、関係者に配ってから、月曜日に融点測定器を手作りして(市販の物を疑って)、測定しました。hand bookによると、2,7-dimethylphenanthreneは101.5度なのですが、私の測定値は225℃で前と測定値とほぼ同じです。この一週間は図書館で調べたり、新しい構造を考えて過ごしましたが、どうしても206の分子量でこれ程の融点になるものが見当たりません。困っております。
この項目が長くなりましたので、一旦お礼を申し上げて締め切らせてもらい、新しく質問という形をとりたいと思いますのでよろしくお願いします。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2002/07/06 12:20

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