No.3ベストアンサー
- 回答日時:
Text 形式しか使えないので、ちょっと書きにくいんですが、その点は堪忍してください。
まず Recovery Rate (回収率) から説明したほうが、わかりやすいと思うのでそちらから。また一般論にすると、却ってややこしくなるかもしれないので、具体的な数値を使います。ご自分で一般化してください。
Matrix: Plasma 1 mL を使う
Analyte: Ci mg/mL
I.S.: S mg を 1 mL の Matrix に加える。
ここで、検量線は、0 から始まり、数 Points の濃度にしますね。これを処理して、最終的に HPLC に Load するために調製した溶液 (processed sample) を 200 microL にするとします。
I.S. が、100% 回収できたとすれば、processed sample 中の絶対量は、S mg/ 200 microL = 5S mg/mL になりますね。このうち 20 microL を HPLC に Load するとすれば、I.S. は、0.5S mg 入ることになります。これに対応する Response (Ri) が、観察される筈です。
実際には、抽出過程でのばらつきがあるため、観察される Response は、Sample により R'i のようにばらつくはずです。この R'i / Ri を絶対回収率 (Absolute Recovery) と言います。
同じように、検量線の場合は、加えた Ci は既知ですから、同じように Absolute Recovery を求めることができます。
次に、各 Sample 内での、Analyte と I.S. の関係を考えます。Matrix 中には
Analyte Ci
I.S. S
入っていますね。この両者の、抽出などの過程で生じる Absolute Recovery が、一定値 (多少のばらつきはありです) a だったとすれば、processed sample 中には、
Analyte aCi
I.S. aS
となるので、量は変化しますが、Analyte / I.S. の比は、一定になります。そこで、上げられた例のように、aS に由来する Response のばらつきは a に依存するので、Response がばらばらになることはありえます。ここで、Analyte の Absolute Recovery が、常に I.S. のそれに等しいのであれば、Analyte の Response も aCi になるので、Analyte / I.S. は、もともとの Matrix 中の比と同じになるので、検量線が、きれいに引けることになります。
これがまさに内標準法を採用する一つの目的です。検量線は、添加した濃度 (Concentration added) に対し、HPLC で得られる Analyte と Internal Standard の比 (Ratio of onserved Value) を回帰して、求めます。
これとは別に、絶対検量線法というのもあって、これは Analyte の Response そのものを回帰します。挙げられた例をこの方法で回帰したときには、ろくな検量線にはなりえませんね。これは Sample ごとの、Absolute Recovery のばらつきが大きいのです。このようなときにも、同じような Recovery を示す I.S. を用いることで、補正しているのです。
さて、もうひとつの方というのは、ここまでの話でお分かりのように、Analyte / I.S. が一定である、ことをまず証明、
具体的にはある狭い範囲での直線性を確認します。
した後、単独の試料に一定量の I.S. を加え、分析。Response の比から、濃度を出してしまうものです。これは、単なる溶液になっているなど、Matrix が単純な場合用いる方法です。予想値が高い場合は、希釈する程度の操作で済むときに使います。実際の使用例は、動物に薬物を投与するときの溶液 (正式な用語は、被験物質調製混合物) の濃度検定 (きちんとした濃度でなければ投与量が計算できませんから)、被験物質調製混合物中の被験物質の安定性 (調製した後一定条件下で保存している間に壊れないかどうか) を調べるときに用いています。No. 2 が言われているのは、これに相当します。
参考に挙げたのは、FDA の正式 Document で英語ですが、実際にどういう目的で用い、どういう処理をするか、判定基準も含めて、きちんと記載しています。可能であれば、一度読んでみてください。検量線の処理方法などは、世界的に authorize されているのはこの文書だけです。
参考URL:http://www.fda.gov/cder/guidance/4252fnl.htm
大変ありがとうございました。基礎知識が無いのもさることながら、このようにきちんと頭の中が整理されていなかったことに改めて浅はかだったなあ、と思い知らされました。しかし、ごめんさい、50%くらいしか、理解できません。これからじっくり、文章を反芻していきたいと思います(3回くらい読み直す程度では、やはり無理がありました。)せっかくお教え頂いたFDA、少しずつになりますが、絶対読破(?)して使いこなせるようになりたいと思います。本当にありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
有機合成からの簡単なアドバイス。
質問の意図と合っているか解りませんが。。。。用は内部標準化合物(正確に秤量)を基準にしてサンプル中の目的物の量を定量する方法です。IS法と省略しますが、非常に大切な操作です。
定量にあたっては、事前に検量線なるものを作らなければいけません。
何が変わるのですか?ではなく、何か変わってはいけないのです。成分も内部標準物質も反応することなく、できれば相互作用も無く存在することが必要です。
このような分析方法を考えだされた方は本当にすごいですね。感心します。「正確に秤量」することが改めて大事なことだと思い知りました(当たり前ですね)。
ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
Sample と言う言葉をどういう意味で使っておられるかよくわからないのですが、ある目的物質を含有した Matrix とみなした上での回答です。
例えば、Matrix をPlasma、HPLC で測定しようとする目的物質を Analyte とします (と言うかこういうんですが)。模式的に言ってしまえば、その Plasma の中には Analyte 以外のものが各種、大量に含まれていますね。そこで、Plasma そのものを HPLC に Load しても、何がなにやらわからない Peak になり、しかも Column の劣化も激しくなります。で、様々な方法で、Semi-purification を目的に、Analyte を Matrix から抽出 (これを 「サンプル抽出」 と言っているのではないかと、推測しています) して、Column に負担をかけず、且つ Analyte の Peak が Interference の影響なく得られるようにした上で、HPLC に Load することになります。
このときに、その抽出方法で、一体どの程度の Analyte が抽出できるのか (Recovery) は通常調べますが、どうしてもばらつきが生じます。Analyte が 100 あるとき、1 あるときで、Recovery が同じであれば、前者が 99 であれば、後者が 0.99 になりますが、ばらつきが激しいと、前者 90、後者 1 もありえます。実際の測定では、この 100 なり 1 なりに相当する Matrix 中の Analyte を測定することになり、観察できる値 (Observed Value) は、99、90、0.99、1 の数値になる訳です。
つまり 90 とでたから 90 である保証がありません。そこで内標準 (Internal Standard) が必要になってきます。Internal Standard は、その Character が Analyte になるべく近いものが望ましく、抽出過程で殆ど同じように動く、結果として Internal Standard と Analyte の Recovery が殆ど等しくなリます (正確には、それぞれの Recovery の比が一定であればいいんですが)。そこで、全ての Sample に一定量の Internal Standard を加えると、例えば
Analyte の量 + Internal Standard の量、で示すと
100 + 50
50 + 50
1 + 50
のようになり、Recovery がそれぞれ、90%、80%、85% のようにばらついた、としても、抽出後は、
90 + 45
40 + 40
.85 + 42.5
のようになり、Analyte の絶対量の比は変わってきますが、Analyte / Internal Standard の比は維持されています。
また全ての Sample に一定量加えますから、全ての Sample の Recovery のばらつきを評価することもできます。
この一定比を維持できることから、既知量の Internal Standard を Sample に加えて分析し、HPLC 上の Peak Area または Height (Response) の比から、Sample 中の Analyte の量を計算することもあります。ひょっとして質問意図がこちらであれば、もう少し解説しますが。
また、わかりにくいところがあれば、補足します。
Recovery がそれぞれ、90%、80%、85% のようにばらついた、としても、抽出後は、
90 + 45
40 + 40
.85 + 42.5
のようになり、~
という部分についてですが、Internal Standardが45という分析値だったとき、その45が100%なのか、90%のばらつきの結果なのか、というのは何によって知ることができるのですか?一度、その量(濃度)だけのInternal Standardを作成してHPLCに分析にかけて得られたピークを100%とするのですか?
検量線を作るために濃度をふった標準液のInternal Standardが、ピークの高さも面積もばらばらだったことがあるのですが、検量線を引くとrの二乗が0.9999ときれいに引くことができました。それだけでも不思議だと思いましたが、このような時は、どの濃度の標準液のInternal Standardのピークを基準にするかで、未知試料のInternal Standardが、ひいてはAnalyteが変わってきてしますのではないのですか?
何度も読み返しました。わかりやすく(といいながら、質問をしてしまいましたが)答えてくださって本当にありがとうございました。そしてもう少し図々しくさせていただけるなら、最後の「ひょっとして質問意図がこちらであれば、もう少し解説しますが。」、是非お願い致します。
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