
Einstein-de Haas効果の物理的起源についての質問です。
この効果は、
『ある軸周りに自由に回転できる試料に、その軸に沿った磁場を印加すると試料が回転し始める』
というものです。
そしてこの効果の物理的原因は、
『試料が磁場によって磁化されれば、それだけ電子の持つ角運動量が変化するが、試料全体としては角運動量が保存されなければならないことによる。すなわち、試料全体が回転をはじめることによって、角運動量の変化を打ち消す』
というのが文献に書いてあります。
しかし、私は、
『ある軸周りに系を回転したとき、系の感じるポテンシャルが変化しない場合に、その軸周りの角運動量は保存するってのが角運動量保存則のはず。外場かかったんだから、ポテンシャル変わるはずで、別に角運動量なんか保存しなくていいじゃん』
と考えてしまい、そこで引っ掛かってしまいました。
どなたか、角運動量保存が成立する理由をご教授していただけないでしょうか?
よろしくお願い致します。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
角運動量保存則が成り立つのは、角運動量と同じ方向に力が働いていないときです。
ある点周りの角運動量をl(ベクトル)、モーメントをN(ベクトル)としますと、
dl/dt=N
と表されますが、この式から、角運動量の変化分は、モーメントに一致することが分かると思います。したがって、モーメント成分が0であることが、角運動量保存則の条件になっています。(通常は、これをさらに進めて、中心力場だけが働いているときに角運動量保存則が成り立つとしていますが。)
さて、ここで、試料の一部に軸を通して、この軸が鉛直方向になるように固定させて、この軸と平行な一様磁場をかけた場合を想定します。このとき電流が流れていなければ、磁場や重力などの試料に働く力は、みな試料のモーメントに寄与しないことと思います。そうすると、角運動量を変化させるモーメントがないので、上記の考察より角運動量が保存することになると思います。
なお、このアイシュタイン・ドハース効果について、ある物理専門サイトで興味深い考察を行っていますので、よろしければ参考にされてはいかがでしょうか。
このサイトでも質問者さんと同様の疑問にたって仲間と議論し、最終的には、スピンが向きを変えることで誘導磁場が生成し、それにより試料の(スピンを除いた)角運動量の変化に寄与するのではないかと考えられたようです。
http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/spin.html 半ば頃の「アインシュタイン・ドハースの実験」をご参照下さい。
Mr_Hollandさん、ご回答どうもありがとうございます。
以前、中性子の磁気モーメントについて質問したのですが、そのときもお世話になりました。
回答を見た瞬間、疑問が吹き飛びました。ありがとうございます。
紹介して頂いたサイトを拝見いたしました。
このサイトのような、式に頼り過ぎない、イメージを重視する物理は私も大好きです。
スピンの向きが変化⇒誘導磁場発生⇒その磁場による誘導電場⇒電流の発生(試料の回転)ということなんでしょうか?
No.2
- 回答日時:
#1です。
お礼をありがとうございます。
お役に立てたみたいで嬉しいです!^^
>紹介して頂いたサイトを拝見いたしました。
>このサイトのような、式に頼り過ぎない、イメージを重視する物理は私も大好きです。
同感です。私もふと疑問に思って基本に立ち戻って考えたいとき、まずは教科書を当るのですが、曖昧な記述だったり突込みが足りなかったりすことがあるのですが、そんなとき、このサイトにお世話になります。学習者の立場で疑問を解決しようとしているところがいいですね。
>スピンの向きが変化⇒誘導磁場発生⇒その磁場による誘導電場⇒電流の発生(試料の回転)ということなんでしょうか?
どうもそのようです。
私も議論に立ち会ったわけではなく、リンク先の記述しか目にしていませんので、それ以上のことは知る由もありません。掲示板の過去ログでも当れば見つかるかも、と探してみましたが、残念ながら見つかりませんでした。もし読むことができれば、より深く理解することができるかもしれません。
いずれ私も相談に乗ってもらうことになるかと思います。その際は、どうかよろしくお願いしますね。
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