老齢厚生年金額(報酬比例部分)の計算方法に付いて教えてください。
平成19年度は、所謂、特例のスライドによる従前補償額による
計算式が用いられていると調べたところありました。
(給付乗率は旧の乗率で、再評価率はH6ベース)
------------------------------------------------------
H6改正時の再評価率により計算した平均標準報酬月額×
旧の給付乗率(10/1000~7.5/1000)×被保険者月数
+
H6改正時の再評価率により計算した平均標準報酬額×
旧の給付乗率(7.692/1000~5.769/1000)×被保険者月数
------------------------------------------------------
×1.031×0.985により算出されてるとありました。
ここから、ご指導いただきたいのですが
例えば、既に退職して、受給者となっている方がいるとします。
この場合の年金額というのは毎年どういう仕組みで変動するのでしょうか?
そして、その方が、総報酬導入前に既に受給権を得ていたならば
計算式は、
再評価された平均標準報酬月額×7.5/1000×月数×物価スライド率と
(給付乗率は、生年月日による)
思っています。間違っていたらご指摘下さい。
例えば、当時上記の計算式で裁定された方の年金は
今年であれば、枠内のH19ベース計算式で算定されるという
認識でいいのでしょうか?
ごちゃごちゃと書いてしまいましたが
・平均標準報酬月額の見直しは、毎年再評価率によりされるのか?
もしされないのであれば
・この方の年金額は、毎年、物価スライド率による変動のみという
理解でいいのでしょうか?
年金問題が世間で騒がれて、色々、聞かれて四苦八苦しています。
本など読んでみましたがいまいち、毎年の年金額の改定が分かりません。
どなたか教えていただけますでしょうか。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
年金額改定の方法は、平成16年の年金制度改正の前と後で変更されています。
「マクロ経済スライド」が導入されたことも大きな変更点ですが、マクロ経済スライドが適用されない場合の通常の改定の方法も、変更されています。平成16年改正前は、「賃金スライド」は、5年に1回の再評価率の改定によって、また「物価スライド」は、毎年の物価スライド率の改定によって実現してきました。(この仕組みだと、既裁定者を含めたすべての受給者に対し、5年に1回賃金スライドが実施されることになります。)
平成16年改正後は、受給者を、新規裁定者(68歳未満の者)と、既裁定者(68歳以上の者)とに分け、新既裁定者は、賃金スライドを踏まえて年金額を改定し、既裁定者は、賃金スライドは実施せず、物価スライドのみで年金額を改定していきます。
普通は、物価上昇率より賃金上昇率のほうが(経済成長が反映され?)高くなりますので、そういう意味では、既裁定者にとって少し渋くなっています。
このとき、「物価スライド」も物価上昇率の分だけ再評価率を改定することによって行います。これに伴い、本来額(下記A)については「物価スライド率」という考え方はなくなりました。
また、年金額の計算方法は、制度改正で変更される度に様々な従前額の保障措置をとられており、丈比べをして最も有利な計算方法をとる規定になっていることが多いです。
丈比べの対象は、様々ありますが、代表的なものは、次の3つでしょう。
A 本来額(厚生年金保険法第43条)
平均標準報酬額(H19ベース)×5.481/1000×被保険者月数
(平均標準報酬月額(H19ベース)×7.125/1000×被保険者月数)
B 平成12年改正時の従前額保証(平成12年改正法附則第21条)
平均標準報酬額(H6ベース)×5.769/1000×被保険者月数×従前額改定率(0.998)
(平均標準報酬月額(H6ベース)×7.5/1000×被保険者月数×従前額改定率(0.998))
C 物価スライド特例(平成16年改正法附則第27条)
標準報酬額(H6ベース)×5.769/1000×被保険者月数×1.031×0.985
(標準報酬月額(H6ベース)×7.5/1000×被保険者月数×1.031×0.985)
※カッコ内は総報酬制前
この丈比べは、新既裁定者も、既裁定者もいずれも行います。
例えば、今年、受給開始年齢に達して受給権を取得した人も、10年前から受給している人も、上記A、B、Cの丈比べをして、最も高いものが実際に支払われる年金額となります。
平成19年度に実際に支払われているのは、(すべての受給者が)「C」の計算式であったと思います。
上記を踏まえてご質問に答えるとすると、
・この場合の年金額というのは毎年どういう仕組みで変動するのでしょうか?
→ 本来額は、毎年、物価上昇率に基づき、再評価率を改定することによって改定される。
・平均標準報酬月額の見直しは、毎年再評価率によりされるのか?
→Aはその通り。B、Cは平成6年ベースの再評価率を使うので、平均標準報酬(月)額の見直しは行わないが、年金額の改定は、Bは従前額改定率、Cは0.985を改定することによって行われる。
・この方の年金額は、毎年、物価スライド率による変動のみという理解でいいのでしょうか?
→平成16年改正後は、既裁定者には賃金スライドを実施しませんので、考え方としては、その通り。(Aの年金額の改定は、再評価率を物価上昇率の分だけ改定することによって行う)
ただし、Cは、物価上昇率がマイナスのときのみ改定が行われる。
taro_kunさま
こんにちは、お忙しいところ本当にご丁寧なご回答を頂き恐縮です。
ありがとうございます。
お陰様で、私の頭の中でモヤモヤっとしていた疑問が、スッキリしました。
頂いたアドバイスを元に、再度、本を読み直して勉強してみます!
この度はありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
No.3
- 回答日時:
【No.2の訂正】
・新既裁定者は、賃金上昇率を踏まえて再評価率を設定
・既裁定者は、物価上昇率のみで再評価率を改定
の考え方は、平成12年改正から導入されていました。
(No.2では、平成16年改正から導入された考え方のように書きましたが、これは誤りです。)
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