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分光器の光学配置と回折格子についていくつか質問があります.

「レーザー分光計測の基礎と応用」(濱口宏夫ら編著)では,p.265からの回折格子の
説明で平面回折格子を平面上に等間隔で直線の溝を引いたもの(一般にはラミナー格子のこと)
と定義しておりブレーズ格子と分類上,分けています.その他の教科書では,
平面回折格子とは単に平面上に格子が並んでいるものとなっています.
ブレーズ格子が平面上に並んでいても平面回折格子と言うのでしょうか?

次に,島津製作所のHP
http://www.shimadzu.co.jp/opt/guide/07.html
をみると,回折光と反射光が一致する場合の波長をブレーズ波長
と定義していますが,一般の教科書によると,入射光と回折光と反射光が
一致(つまり,リトロー配置)した時の回折光の波長を
ブレーズ波長と定義しています.どちらが正しいのでしょうか?
(なぜこんな質問をするのかといいますと,一般の教科書によると,
ツェルニー・ターナー配置では,回折格子には平面回折格子を用いると書いています.
なので,ツェルニー・ターナー配置でブレーズ格子を使用してはいけないのかなと思ったためです.)

最後にリトロー配置なのですが,回折光が入射光,反射光と少し方向が違っていても
リトロー配置としている教科書があります.おそらく,少し方向が違っていても
回折効率が大きいので,これもリトロー配置と呼ぶのだと思うのですが,一般的には
こっちでもよいのでしょうか?(私個人としては,少し方向が違わないと,回折光を
検出またはミラーに送ることができないと思うので,こちらの意味だと思うのですが・・・)

(1)ブレーズ格子が平面上に並んでいても,平面回折格子と言うのでしょうか?
(2)ブレーズ波長の正しい定義はどちらでしょうか?
(3)リトロー配置の一般的な意味はどちらでしょうか?

分かりにくい質問だと思いますが,分かるものだけでもいいですので,
よろしくお願いいたします.

A 回答 (3件)

回折格子の用途は分光器だけではありません。


分光器として用いる場合には、当然入射と出力は別の方向でなければ
なりません。

しかし、半導体レーザーの発振波長を制御する目的の場合、完全に
同じ方向に光を返してやる必要があります。

Sacher LasertechnikのサイトにLittrow配置等の説明資料があったはず
ですので、探してみてください。ちなみにLittrowの場合は回折光を
そのままレーザー半導体に戻し、Littmanの場合、一旦鏡で回折光を
うけて、それを戻します。後者の場合、波長を変えても出力方向が
変わらないというメリットがあります。

http://www.sacher-laser.com/ExternalCavity.php

ブレーズド格子であっても、一つの次数だけに光がでるわけではありません。
分光器の場合、他の次数は完全に無駄になりますが、外部共振器レーザー
の場合、戻し光と出力を+とーの次数に割り振る場合があります。

なお、ブレーズ加工方法の制限により、ブレーズドタイプは、
昔は平面タイプしか入手できませんでしたが、今は凹面タイプも
島津などから入手することができます。

http://www.shimadzu.co.jp/opt/products/grating/c …
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます.
なるほど,同じ方向に光を返す用途があるのですね.
勉強になりました.
実はまだこのテーマでいくつか質問があるのですが,
まだ考えがまとまっていないので新しく質問をたてたいと考えています.
よろしければ,その時にまたよろしくお願いいたします.
以前の質問の時もお世話になりました.

お礼日時:2008/01/29 21:14

(1)ブレーズ格子が平面上に並んでいても,平面回折格子と言うのでしょうか?



  一般に分光器メーカーでは、「ブレーズ格子」は「エシェレット格子」と呼びます。
  "平面回折格子"に対するものは"凹面回折格子"です。なので、ブレーズ格子
  だろうが、エシェレット格子だろうが、エシェル格子だろうが、ラメラー格子だろう
  がみんな"平面格子"です。

(2)ブレーズ波長の正しい定義はどちらでしょうか?

  ブレーズ波長の定義は「回折光と反射光(=広い方の斜面の角度における正反
  射光≠0次回折光)が一致する場合の波長」で必要十分です。当たり前のこと
  ながら、ツェルニ・ターナだろうがリトローだろうがこの定義で良いのです。
  違いは、正反射光と一致するのが+1次光か-1次光かだけのことです。

> ツェルニー・ターナー配置でブレーズ格子を使用してはいけない・・・

  私の設計したツェルニ・ターナマウントの分光器は全てエシェレット(ブレーズ)
  格子です。

(3)リトロー配置の一般的な意味

  回折格子の法線に対して、入射光の光軸と回折光の光軸が同じ側に来るような
  配置になるものです(完全に一致させたりしたら、入射スリットと出射スリットが
  同じになって回折光を取り出せない!)。

この回答への補足

ご回答ありがとうございます. 
返信が遅れてしまい,すみませんでした.
「リトロー配置は回折格子法線に対して入射光の光軸と回折光の光軸が同じ側に来るような配置」というのは

http://www.shimadzu.co.jp/opt/guide/07.html
の島津製作所のHPで言うとβが正の場合で十分であり,
入射光の方向に回折しなくてもよいということですか?

しかし,島津製作所のHPでは,入射光,回折光の軸が
一致したものをリトロー配置と定義しています.#1様
もリトロー配置はレーザとそのレーザに光を返す回折格子
の位置関係に対する配置と書かれていますので,これも島津製作所
のHPのリトロー配置の定義と同じことだと思いますが,
この定義は間違いということでしょうか?

(確かにこの定義だと,#2様のご回答にあるように回折光の検出をどうするのか
という疑問があります.また,島津製作所のリトロー配置の定義は
一般の教科書によく書かれていますが,リトロー配置の概略図を見ると
入射光と回折光の方向が一致していないので,意味が良く分からなかったです.)

補足日時:2008/01/28 03:12
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1)


ブレーズ格子の定義は、回折させる部分に鏡面反射を起こすように斜めに
なった平面がある格子です。回折溝が平面に配置されているか、曲面に
配置されているかは問題ではありません。
回折格子の場合、回折条件を満たす複数の次数に光が回折されます。
このうち、実際に利用できるのはその中の一つだけです。
ブレーズ格子において、ある回折次数の方向と、鏡面反射角が一致する
と、その次数に光が集中します。この現象をブレーズとよびます。
ブレーズをおこさせ、その次数の光を用いれば、回折光の出力を大きく
とれるのです。

2)ブレーズ波長の定義は、回折格子にある方向から光を当てた際に
ブレーズを起こしている波長です。このとき、ブレーズを起こして
出て行く光の方向は、入射角、鏡面の角度、溝の間隔と、波長に依存しま
す。鏡面角と溝の間隔は格子によって定まっています。したがって、
この情報さえ与えられれば、各波長がどの入射角でどの回折角度で
ブレーズを起こすかは計算できます。実際分光用にツェルニ・ターナー
配置でブレーズ格子を利用する場合には、自分でこの角度を求める
必要があります。
 一方、波長可変レーザーでリトロー配置をする場合、入射方向に
光を返す構成をとります。ブレーズ格子で入射方向とブレーズ回折が
一致する場合の波長を記載しれいるのは、リトロー配置におけるブレーズ
条件を書いてくれているだけです。

http://www.shimadzu.co.jp/opt/guide/07.html

3)リトロー配置は、レーザーと、そのレーザーに光を返す回折格子
の位置関係に対する名称です。この回折格子にブレーズを用いることは
必須ではありません。また、厳密にはリトロー配置でブレーズを起こす
波長は決まってしまうため、それからずれた波長ではブレーズ条件を
完全には満たしていないことになります。ただ、厳密なブレーズ条件
をおこしていなくても、近い波長ではやはりその次数に光が集中する
割合が高いため効果があります。

参考URL:http://www.shimadzu.co.jp/opt/guide/07.html

この回答への補足

ご回答ありがとうございます.
返信が遅れてしまい,すみませんでした.
新たに質問で申し訳ないのですが,
実際に利用できる回折光が一つだけなのはなぜなのでしょうか?
また,その回折光の次数はどのように決まるのでしょうか?

補足日時:2008/01/28 02:44
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