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質問なのですが、哲学者のJ・Sミルは、ベンサムの「禁欲主義」についてどのように批判したのですか?

A 回答 (1件)

あの有名な「豚とソクラテスの喩え」で批判しました。


もう少し正確に言うと、
ベンサムの主張した功利主義(禁欲主義を批判し快楽主義を基本に置く)に対する批判に対して、反論したのです。

まず簡単におさらいしておきましょう。
ベンサムが「最大多数の最大幸福」を主張したのはごぞんじですね。

「幸福とは、快楽と、苦痛の欠如とを意味し、不幸とは、苦痛と快楽の喪失を意味する」
(J.S.ミル『功利主義』引用は『世界の名著 ベンサム・ミル』から)

ここで禁欲主義とは、この快楽とはまったく相反するものです。
だからベンサムは禁欲主義を批判しました。

ところがそれに対して、「生活が快楽より高い目的をもたないなどとは、いやしい、下等な学説だ、豚の学説だ」と批判する人びとがあらわれた。
そこでミルは、ソクラテスを持ち出したのです。

たいていは誤って引用されるんですが、ミルは正確にはこう言っています。

「満足した豚であるよりは不満足な人間であるほうがよく、満足した馬鹿であるよりは、不満足なソクラテスであるほうがよい。そして、もしその馬鹿なり豚なりがこれとちがった意見をもっているとしても、それは彼らがこの問題について自分たちの側しか知らないからにすぎない。この比較の相手方は、両方の側を知っている。」(引用同)

もう少し詳しくいうと、この前にはこのような箇所があります。

「 両方をおなじように熟知し、おなじように評価し享受しうる人びとは、彼らの高い能力を行使する生存様式の方に、きわめてはっきりした優位をあたえる。ほとんどの人間は、動物的快楽を完全にあたえられるという約束とひきかえに、人間より下等な動物のどれかにかえられることに同意しようとはしないであろう。知性ある人間存在はだれでも、ばか者になることに同意しないし、教育をうけた人物はだれでも、無知な者になることに、感情と良心をもった人はだれでも、利己的で下劣な者になることに、同意はしないであろう。」

つまりミルはたとえ禁欲主義をとらなくても、人びとが低俗主義に陥ることはない、と主張したわけです。

これがミルの禁欲主義に対する批判です。
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この回答へのお礼

丁寧に説明していただき、ありがとうございます!とても分かりやすかったです。ミルとベンサムの考えの間で頭がごっちゃになっていたので、ちゃんと理解できて良かったです。

お礼日時:2008/06/24 03:45

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