
変な質問ですが、誘電率とは直感的なイメージで言うなれば電気力線をどれだけ密集させることが出来るかの度合いとでも言えるものだと思います。
ところで、ガウスの定理E=q/εを考えた場合、電場、直感的なイメージで言うと電気力線の密集度は電荷に比例し、誘電率に反比例します。
この式を解釈すると、誘電率が大きいと電気力線の密集度が小さくなります。即ち、電気力線を誘導しているのではなく、その逆のように思えます。
実際、誘電率は直感的イメージで考えると電気力線を誘導し密集させる割合と思うのですが、ガウスの法則の解釈のどこに間違いがあるのでしょう?
知識が断片的で繋がりません。お願いします。
No.8ベストアンサー
- 回答日時:
なるほど、touch me 8さんが引っかかっているのは「誘電」という表現の方だったのですね。
「誘電率」という概念よりも「誘電体」という言葉が先行しています。絶縁体(=誘電体)をこすると静電気が発生する現象から誘電体という名がついたのでしょう。電流の発見以前の当時「導体⇔絶縁体」という発想自体なかったはずですから、誘電性と絶縁性が本質的に同じ事柄の2つの表象だとわかったのはずっと後のことでしょう。
やや回りくどいかもしれませんが少し根本的なところの話をしておきますね。
巨視的な意味で我々が電荷や電流として考えているのは、金属導体中における自由電子であり、これを「真電荷」と呼びます。この真電荷によって造られる電界は、物質内の原子または分子を「分極」させ「電気双極子」を形成します。この電気双極子がさらに電界を誘起し、はじめの電界に重ね合わされます。
このような取り扱いを巨視的に整理していく中で「誘電体」が定義されたのです。
実際の誘電体内部のミクロな物性は非常に複雑で多岐に渡っていますが、「マクロな意味で物質の分極電荷の大きさを表す指数」として「誘電率」というものが導入されたのでしょう。
これによって誘電体中のガウスの法則が導出され、真空中の静電界と同様に扱うことが可能となったのです。
この際に便宜的に「真空の誘電率」なるものを導入したのでしょう。真空は分極しませんが、式の形からもこれを(0ではなく)1としたことは自然な流れでしょう。
ですから「誘電」という言葉と「誘電"率"の概念」には隔たりがあるのも無理はありませんね。
回答ありがとうございます。
どうも名前や名前に使われている漢字のイメージが先行してしまいます。
名前を変えると言うのは、なかなか出来ないとは思うのですが、後々に学ぶ人の事を考えると無理してでも本質をズバリ言い当てている名前にして欲しいものです。
No.7
- 回答日時:
touch me 8さんこんばんわ、あなたの直感的理解とは相性が良さそうなで、またやってきました(笑)。
誘電体が分極する様子はみなさんの解説の通りですので、私はあなたの誤解していそうなポイントに話を集中させてもらいますね。>「誘電率は電気力線をどれだけ密集させることができるかの度合い」というイメージ
ずばりこれが大間違いです!(爆)
おそらく、高校物理のコンデンサーのところで「極板間に誘電体をいれると容量が大きくなる」ってなところで、おっしゃるイメージができあがったのでは、と想像するのですがどうでしょうか?
電気力線の数は電荷によって決定しています。コンデンサーでは極板間に誘電体を入れることで単位電荷あたりの電場の強さが弱まります(これがガウスの定理ですね、そしてこれこそが誘電率の正しいイメージです)
その(電場が弱まった)結果、単位電荷あたりの極板間電圧が下がり、同じ電圧をかけたとき、より多くの電荷を極板にためることができるようになるのです。(このことを容量が大きくなった、と表現しますね)ですからこの時の電気力線が増えた原因はあくまでも「より多くの電荷がたまった結果」なのです。
この途中の因果関係のいきさつをすっとばして
「誘電体いれた」→「電気力線増えた」
というだけで誘電率の意味を形成してしまったところが間違いだったのです。(これはコンデンサーで、しかも一定電圧がかかっているという条件のもとでしか起こらない特殊な状況です)
これではっきりしましたね、誘電率の本質的イメージは
「電荷をおいて電場を作ろうとした時の誘電体の分極による電場の弱まり具合」
(あるいは「弱められ具合」の方が正確かな?)といったところでしょう。
ガウスの定理そのものですね。
いかがでしたか?今回もあなたの直感的理解に添えていればいいのですが。
この回答への補足
つまり、誘電率という言葉はふさわしくないと考えて良いのでしょうか?
歴史的な背景から、名前がその本質を現さないと言う事はよくありますが、その一例と考えても良いのでしょうか?
No.6
- 回答日時:
#2、#3の方の回答はまったく正しいとの認識に達しました。
大変失礼しました。
さて、予告どおり再度の回答をさせていただきます。
まず、長細い誘電体を考えて、その軸に平行に電場をかけた場合を
考えましょう。このとき、反電場(誘電体に誘起された電荷が作る電場)
は無視できて、
D=ε0 E + P (1)
となります。Eは誘電体中の電場で、外部からかけた電場Eext
に等しくなります。この式より、Pの分だけ電気力線が密になります。
これがtouch_me_8さんの思い描いているイメージですね。
ではここで、板状の誘電体を考えて、面に垂直に電場をかけた場合を
考えてみましょう。すると、今度は反電場を考えなくてはいけなくなり
ます。(1)のEは反電場により変化します。反電場の大きさは- LP/ε0
です。(Lは反電場係数と呼ばれる、形状に依存する量です。)よって、
D=ε0(Eext - LP/ε0)+ P (2)
となります。今の場合、板状なのでL=1となるので、
D=ε0 Eext (3)
となります。よって、電気力線は誘電体の有無に関係なくなり、
密にも疎にもなりません。
(1)式と(2)式を良く比較してみましょう。
板状の誘電体の場合、反電場によって電場が弱められています。
その結果、Pによって電束密度が大きくなるところを、弱められて
キャンセルして変化無しとなってしまいます。
------------- 以下補足 ---------------
#2さんご紹介の
http://homepage2.nifty.com/eman/electromag/flux. …
ですが、いいページを紹介されていると思いました。
余計なことかもしれませんが、この中に一部間違いと思われる部分が
ありましたので念のためお知らせしておきます。
「定量的な説明」の中の、
∫ ε0 E・n dS = q - ∫ P・n dS
の式の- ∫ P・n dSを付け加える理由として、誘電体中では真の電荷 q
による電場と、それによる分極で生じた逆の符号の電荷が作り出す電場
の影響が重なって全体として電場が弱くなっているから、
と説明しています。しかしこれは間違いで、例えば長細い誘電体を考
えて、その軸に平行に電場をかけると、反電場は無視できるので、
電場は弱くなりません。
何度も丁寧な回答をありがとうございます。
まだ、ちゃんと理解できていないので後で補足させて頂くかもしれません。
その時はよろしくお願いします。
No.5
- 回答日時:
No.4で私は以前のご回答に対して偉そうに指摘しましたが、
自分が混乱していることに気が付きましたので、間違いの可能性が
高いです。できればもっとちゃんと考えて再度回答を
書きたいと思っています。
No.4
- 回答日時:
お急ぎのようですので吟味が足りませんが回答します。
間違いがありましたらすみません。
まず以前のご回答について。
#2さんのご説明ですが、電荷から出る電気力線の密度、すなわち、電束密度は
一定ではないのではと思います。というのは、誘電率が変化すると、電荷qの
周りに誘起された電荷q’が変化し、q+q’(これが電束密度を作る)が
変化するからです。
それから#3さんのご説明ですが、合成した電場は観測される電場ではないのでは。
コンデンサーに誘電体を入れた場合の電束密度は、
D=ε0(Eext - LP/ε0)+ P
となると思います。- LP/ε0は反電場によるもので、今の場合、板状なので
L=1です。また、Eextは外部からかけた電場で、これが観測されるものです。
これを計算すると、
D=ε0 Eext
となり、外部からかけた電場Eextが等しければ電束密度Dは誘電体によっては
変化しないことになります。
書いていくうちに自信が無くなってきましたが・・・ここで本題。
長細い誘電体を考えて、その軸に電場をかけると、反電場は無視できて、
D=ε0 Eext + P
となり、電気力線が密になります。
しかし、板状の誘電体を考えて、面に垂直に電場をかけると、今度は
反電場を考えなくてはいけなくなり、上と同様、
D=ε0(Eext - LP/ε0)+ P
L=1より、
D=ε0 Eext
となり、電束密度は密になりません。
No.3
- 回答日時:
#2さんのご説明でほとんど本質的な部分は終わっているのですが, 少々付け足しを.
平行平板コンデンサーの例が分かりやすいのではないでしょうか.
誘電体を入れる前(真空or空気≒真空)の場合に比べ,
誘電体を入れると, 分極電荷が現れ, 逆向きの電場が生じます.
すると, 合成した電場(つまり観測される電場)はそれらのベクトル和で, 分極がないときに比べて弱くなります. (導体はε→∞に対応し, 電場が完全に打消される.)
その結果, コンデンサーの場合, 誘電体を入れると同じ電荷を蓄えても電位上昇が少ない→電気容量が増加 となるのでした.
この効果は誘電率が大きいほど強く効いて, 現れる分極電荷を求めるのは練習問題にありそうで, 質問者さんならば容易でしょう.
No.2
- 回答日時:
誘電率εとは、電束密度と電場の関係式
D=εE
における比例定数です。誘電率εが大きい物質は、電場を掛けたときの分極率が大きい、すなわち、電場を弱める傾向が大きいということです。電荷から出る電気力線の密度、すなわち、電束密度は一定であって、変化するのは電場です。誘電率とは、誘電体の分極しやすさ、すなわち、電場を掛けたときに現れる電極の大きさを表しています。従って、”誘電率”と言います。
参考URL:http://homepage2.nifty.com/eman/electromag/flux. …
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