つい集めてしまうものはなんですか?

当方、30年以上前に借地権を設定し、17年前に契約更新した地主です。契約では、まだ3年の借地期間がありますが、借主側の都合で、転居したいので借地権を路線価の6割で買ってくれと言われました。当方、路線価の6割を払うお金はありません。これを無視して、契約期間満了まで待っても、法律的に問題ないでしょうか? それとも、借地権を買い取る義務は、法律的に地主にあるものなのでしょうか?

A 回答 (5件)

1.No.1の「回答へのお礼」欄に「30年以上も前の地代相場で契約更新させられた」と書かれていましたが、全ての借地契約において借地法(※)で保護される「借地権」が認められるわけではありません。



※借地に関しては、平成4年に借地借家法(=新法)が施行されたが、これ以前の借地に関しては、旧法である借地法が適用される。本件は、30年以上前の借地契約なので、旧法の借地法が適用される。

 借地契約には、一般に有償の“賃貸借”と、無償の“使用貸借”とがあります。
 たとえ地代を支払っていても、その地代水準が公租公課(=固定資産税+都市計画税)程度であれば、借地契約は使用貸借によるものとなり、借地法1条で定める「借地権とは建物の所有を目的とする地上権および賃借権をいう。」という定義からはずれるため、同法で保護される「借地権」は存在しないことになります。

 使用貸借による借地であれば、「借地権」はなく、当然、建物買取請求権もありません。借地人が借地契約を解除して出ていくというなら、借地人は建物を自費で撤去して更地にして地主に返還する義務があります(民法597条)。

 ですから、まず、この建物にそもそも借地法で保護される「借地権」が存在するか否かという検討から始めるべきだと思います。

 なお、「借地権」の存否については、地域性や契約の条件など詳細な情報を基に判断していかなければならないので、弁護士に相談して下さい。

2.借地人の都合で借地契約を途中解除する場合、借地人の債務不履行(=残存期間の地代未払い)に当たるので、地主はそれによって受けた損害の賠償を請求することができます(民法415条)。

 同時に、借地法4条の建物買取請求権にも応じなければならないので、それぞれ相殺して、地主は、「建物」の時価から損害賠償額を控除した金額を支払うことになると思います。

 また、借地期間満了の場合でも、地主は借地法4条の建物買取請求権に応じなければならないですし、借地人が建物の譲渡を申し出て地主が拒絶した場合(借地法10条)でも、地主は建物買取請求権に応じる義務があります。

 ただし、いずれの場合でも、買取請求権の対象は、「建物」本体だけであり、敷地利用権である「借地権」の価格は含まれません。

 そもそも、借地法が建物買取請求権を定めた目的は、借地人に投下資本の回収を図らせるためであり、建物やその付属物をその時価で地主に買い取らせることで十分達成できるからです。

3.さて、質問文に戻って、「契約期間満了まで待っても、法律的に問題ないか」ということですが、契約は双方が守る義務があるので、むしろ、借地人に対して「契約期間満了まで借地して、地代を支払え」と要求することができます。

 次に、地主が借地権を買い取る義務を定めた法律はありません。

 借地法4条では、地主から借地契約の解除を求めた場合、通常は正当事由がなければ認められないのですが、その正当事由を補完するものとして立ち退き料の支払いを条件とするケースが一般的です(=地主から借地契約の解除を求める場合。借地人から解除を求める場合は、立ち退き料は不要であり、更地にして返還する義務がある)。

 質問文の中で借地人は「借地権相当額での買い取り」を求めているようですが、法は立ち退き料の支払いを条件に地主の正当事由を認めることはあっても、「借地権相当額での買い取り」など一切、規定していません。

 長期戦を覚悟されているなら、裁判で、次のように2段構えで対処が可能でしょう。
(1)地代が安く、使用貸借による借地契約であることを認めさせる。使用貸借であれば、概ねいつでも契約解除が可能であり、相続の対象にもならないので現在の借地人死亡と同時に契約は解除される(民法599条)。
(2)もし、裁判で「借地権」が認められたら、即刻、地代の値上げを行い、更新時には地代の後払い的性格を有する「更新料」を請求する。

4.蛇足ですが、20年前の土地バブル全盛期なら「借地権」も高く売れたでしょうが、昨今の不動産不況の時代に、築30年の「借地権付き建物」など相当ダンピングしない限り買い手が付くわけがないと思います。

この回答への補足

地代水準としての公租公課(=固定資産税+都市計画税)というものは、借地として払っている税額、一般の宅地として支払われるべき税額、のいずれを言うのでしょうか?

補足日時:2008/12/07 11:41
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この回答へのお礼

詳細な回答ありがとうございました。
借地権があることを前提に考えていました。地代水準を超えているか否かは、詳細に調べてみないとわかりませんが、今回の借地の一般の地代相場が45万円/年(現在)なのに対し、15万円/年の契約になっています。
いずれにしても、借地権の有無を弁護士等に相談してみようかと思います。

お礼日時:2008/12/07 11:41

>その場合の金額算定はどのようになるのでしょうか?



この場合は、借地権を含んだ建物価格となります。
しかし、築30年では、建物は償却していますので、ほとんど0円です。
借地権価格は、地域や場所、環境等で変わりますが5:5から9:1の割合で都市部ほど借地権割合が高くなります。場所的価格があるからです。
「土地を売却してもらいっていいので」と云いますが、それでもいいし、借地権を買って、建物と一括して売却する方法もあります。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。参考にさせていただきます。

お礼日時:2008/12/05 23:31

賃借人に、期間内に建物買取請求権はないです。


でも、賃借人が借地権付建物を他に売却したいので承諾しいほしいと請求があって、それを拒絶したときには、借地権付建物を買い取る他ないです。
更新拒絶でも建物買取しなくてはならないですが、この場合は、借地権は含まれず、建物価格によります。
また、地代の未払いによる契約解除の場合は、建物を買い取らなくてもいいことになっています。
このように、3つ、あるので注意してください。
今回は、文章のそのままですと「買い取る必要はないです。」と云うことで法律的な義務はないです。
ないですが、先ほどのように「それなら、他に売却するから承諾してほしい。」と云ってきて、それを拒絶すると買わざるを得ないです。

この回答への補足

早々のご回答ありがとうございます。大変参考になりました。
借地人は、既に買取を当て込んでいますので、「他に売却するから承諾してほしい。」と言われる可能性があります。
買い取らざるを得ないとのことですが、その場合の金額算定はどのようになるのでしょうか?
築30年以上の借地権付建物を買い取ることになろうかと思いますが、これに数千万を払うのは余りにも高すぎると思ってます。
また、先日は払えないなら、土地を売却してもらいっていいので、6:4で分け合いましょうと提案されました。

補足日時:2008/12/05 11:36
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この回答へのお礼

上記の補足の件、「借地権付建物 売却」で検索しましたら、それらしいものが見つかりました。
この度は、適切なアドバイスありがとうございました。

お礼日時:2008/12/05 13:00

>それとも、借地権を買い取る義務は、法律的に地主にあるものなのでしょうか?



この義務が発生する場合は、地主つまり質問者さんから土地に賃貸借契約を解約したい場合に限られます。

>これを無視して、契約期間満了まで待っても、法律的に問題ないでしょうか?

というか、「契約解除によりいつでも契約解除ください。しかし、借地権の買い取りの必要性は当方にございませんのであしからずご了承ください。どうしても借地権の買い取りをご所望でしたら、どうぞ私(地主)が契約解除の申し出をされるまでお待ちくださるようお願い致します。」という趣旨の回答をすればよいでしょう。
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この回答へのお礼

早々のご回答ありがとうございます。大変参考になりました。
こちらの意向を内容証明で送って、長期戦覚悟で交渉してみたいと思います。

お礼日時:2008/12/05 11:22

地主に借地権を買い取る法的な義務はありません。


しかし、放っておくと借地契約は法律に基づき強制的に更新されてしまいます。

地主が土地を取り戻すためには、正当事由を備えて3年後の契約更新を拒絶することです。
借地人は転居したいと言っているので、すでに借地を必要とする理由が弱くなっています。もしあなたに自己使用の切迫した事情があれば、あなたが勝つ可能性が高くなります。そこに多少の立退料を払えば、安く借地人を追い出せるでしょう。

あるいは、借地権買取はできないがある程度まで立退料を払えるなら、その線で納得してもらうよう交渉し、借地権の解約を目指します。実際の裁判では、借地権価格の15%程度の立退料で解約が認められたこともあります。

もしご自身で土地を使う事情もなく、お金も用意できないときは「出ていくなんて言わず、どうぞいつまでも借地を使って地代を納めてください。なお次回の更新の際には絶対に更新料をいただきます」と言って下さい。
借地人が転居したら、そのうち借地と住居の費用支払いに問題が発生して、借地人の方から解約を申し出てくるかもしれません。この場合はかなりの長期戦を覚悟しなければなりませんが。
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この回答へのお礼

早々のご回答ありがとうございます。大変参考になりました。
これまで、地主の立場が弱いことをいいことに、30年以上も前の地代相場で契約更新させられた上、今回、立退いてあげるから計算したら数千万になったので払えと言われたので、困っていました。
借地人は、その数千万を当て込んでいて、老人ホームに入る予定だそうです。
こちらの意向を内容証明で送って、長期戦覚悟で交渉してみたいと思います。

お礼日時:2008/12/05 11:20

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