こんにちは。
アメリカ政治学の授業で、独立宣言と合衆国憲法を読みました。
私は独立宣言は「any form of government becomes destructive of these ends, it is the right of the people to alter or to abolish it, and to institute new government・・・(いかなる体制の政府も最終的には破壊的となることから、それを改めたり廃止し、新しい政府を作ることは人民の権利である)」と、国民単位の民主主義を重視する国民民主主義(Popular Democracy)の精神をベースにしていると思いました。
一方合衆国憲法は「The Congress shall have power to declare the punishment of treason, but no attainder of treason shall work corruption of blood, or forfeiture excepr during the life of the person attainted.(議会は反逆に対する制裁を下す権力を有する、しかし・・・(この後は訳が良くわかりません)」と、集団単位の利益を追求するエリート民主主義(Elite Democracy)が根幹にあるように思いました。
国民民主主義が今日の民主党、エリート民主主義が共和党の理念を表していること、そして合衆国憲法が現在の政治に直接影響力を持っている一方独立宣言は直接影響していないことを考慮すると、国の基盤からすでに共和党が優越しているようにも見ることができると思うのですが、皆さんのご意見を伺わせてください。
また、そのほかにそれぞれの理念が顕著に現れている一文(日本語、英語問いません)などあれば教えてください。憲法はもちろん全文を読んだわけでないので、ぜひいろいろな面から見ていきたいと思っています。
注:文中の英文はスペルミスがあるかもしれませんが、直接引用しました。日本語訳は私が逐次約であまりニュアンスや正式な文法などあまり細かいところまで意識せずにしたものです。適切でないと思われます。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
アドバイスとして、若干整理をします。
まずアメリカ独立革命は、植民地の独立であったこと、それから君主権を否定する市民革命の側面があったことを指摘しておきます。独立宣言の引用部分は、そのような姿勢をとるアメリカの立場をまさに適確に表現しようとしたもので、むしろ革命的ニュアンスが強いと思えます。この部分に「国民民主主義」の精神を読み取ることには少々無理があると言えるでしょう。
独立の背景はそのまま独立後の動きにもつながっています。
独立当初は各植民地の自治意識が高かったため、ご承知のように分権的な13邦の連合体としてスタートしたのですが、やがて経済的な行き詰まりなどからより広域の経済圏を可能にする国家体制が求められるようになって、連邦国家である合衆国が誕生するわけです。
いわゆる民主的勢力は強大な中央政府の出現を恐れ各邦の自治を重視するあまり、連邦国家の構築に否定的だったのに対して、連邦化を後押ししたのは商業資本やプランター階層でした。つまり、合衆国建設の主導権を握った階層は、どちらかといえば民主制よりは経済基盤の強化をより重視したのです。
もちろんその過程で、両者の間で基本的人権の扱いを中心にせめぎ合いがあったのは事実ですが、基本的にはそのような背景があったわけです。
もうひとつ、エリート主義の背景ですが、連邦体制を構築した指導者の間に「民主主義」を恐れる感覚があったことは重要でしょう。君主制を排除したのは大英断であったにしても、人民主権が行きすぎれば一般民衆が過激な指導者を選ぶかも知れず、また不適切な野心家が民衆を操作して権力を得るかも知れません。言わば「民衆の政治参加能力への不信」というものがエリート階層の間に厳然とあったわけです。
つまり、新天地アメリカでは君主制を排除して共和体制を選択するという新しい一歩を踏み出したわけですが、人々の能力の平等さというものが無邪気かつ過激に信奉されると、国家そのものの存立を揺るがしかねないという心配が民主主義にはつきまとうわけで、それゆえにその民主主義を抑制せざるを得なかったのです。
しかしもちろん、連邦主義者の中でもいろいろとこれに対する姿勢はあったわけで、ジェファーソンらは政治的平等、人民主義、多数決の3つを原則とするポピュリズム的民主主義的な考え方をとっています。
ただマディソンの議論のように、無知な大衆への不信を根底におきながら、連邦化によって社会の規模が大きくなれば利害が多様化して、専制化が起こりにくいであろう、という判断があったわけです。
その背景には、州レベルで立法府の力が強すぎて、権力の濫用につながっている、という党派問題の事実認識がありました。連邦制で議会民主制を作り、その際に政治的単位を大きくすることによって党派の専制を抑えようとしたわけです。
ですから、連邦主義がエリート主義とひとくちに言ってもそう単純な問題ではないのであって、その背景には、党派政治を避けつつ、政治参加能力の限られた民衆による衆愚政治も避けるという、いわば「多数派の専制」を避けることに狙いがあったといえるわけです。
ともかくも、民衆の能力への不信はもちろん憲法にも反映されています。端的な例は、国民が大統領を直接選挙する事ができない点で、これはまず上層階級に属する選挙人を選ぶことで、国民の極端が意思が直接結果に反映されないことを狙ったものです。
また合衆国成立当初は、同じ理由から上院議員はエリートの代表たるべき理念に基き、州議会の選出となっていました。つまり民衆からすれば間接選挙だったのです。要するに、国民の多数意見がただちに国の重要な政策に反映されないような仕組みが、わざわざ意図されていたのは重要なことです。
ご質問中の憲法の引用は特に反逆罪の刑罰に関するものですが、特にこれが集団単位の利益云々には関係するようには思えません。エリート主義とも特に結びつくものではないでしょう。
共和党の出自は上に書いたような連邦の成り立ちに由来するもので、その政策の根底には、連邦政府の重要な役割を国家としての目標を設定することに置き、小さな政府を標榜するわけですが、これは当然のことです。そもそも連邦形成は、多元性を保ちつつも州という政治単位を相対化することを念頭に置いているからです。
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