
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
手元にあった教科書(建林ほか『比較政治制度論』)から、半大統領制の解説を少しご紹介します(#2のご指摘を踏まえ、半大統領制の一般論ということで)。
http://www.amazon.co.jp/%E6%AF%94%E8%BC%83%E6%94 …
■リーダーシップ
「権力の分立」が徹底している大統領制に対して、議院内閣制はしばしば「権力の融合」と言われます。このように首相と議会多数派の党派が食い違うことがないので、一般的に議院内閣制では大統領制よりも強いリーダーシップが発揮されます。
反対に、大統領制では、大統領と議会多数派の党派が食い違ってしまうと大統領のリーダーシップは制限されます(「分割政府」)。特に議会政党の一体性が強いと、個々の議案で反大統領派を切り崩すのが難しいので、政治的に行き詰ってしまう可能性もあります。
一方、半大統領制は「権力の分有」と言われます。たとえば政党制研究の第一人者であるG.サルトーリは、特にフランスについて、大統領と首相の双方がそれぞれ政策実行の手段を有しているので、コアビタシオンでも膠着状態には陥らずに済む、と評価しているそうです。
■政治的な安定性
これに対して、M.S.シュガートは、半大統領制はバリエーションが非常に豊富なので、関連する諸制度も含めて検討しないといけない、と指摘しているそうです。そのなかでも特に重要なのが、大統領に首相罷免権が与えられているか否かです。
たとえば、大統領は首相を指名できるが罷免することはできず、議会が内閣不信任案を議決することができる、という制度では、内閣は基本的に議会に対して責任を負うことになります。ですので、内閣の生殺与奪を議会が握っている以上、大統領はイヤでも議会多数派から首相を指名せざるを得ません。
一方、大統領が罷免権を持ち、議会も不信任議決権を持つ、という制度では、大統領と議会多数派の党派が食い違ってしまうと、両者が首相をコントロールしようと試みて激しく対立し、政治が著しく停滞してしまいます。
ちなみに、フランスの大統領は首相罷免権を持っているのかどうなのか、調べてみましたがよくわかりませんでした。
【罷免権を持っている派】
■http://oshiete1.goo.ne.jp/qa2464946.html(#3)
■http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%A2% …
■http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%92%8C% …
■http://r25.jp/b/honshi/a/ranking_review_details/ …
【罷免権を持っていない派】
■建林ほか、前掲書
■http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup …(たぶん)
【コアビタシオンのときは行使しないのが慣例?】
■http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%B0%E9%99%A2% …
この回答へのお礼
お礼日時:2009/03/25 09:35
回答ありがとうございます。
日本にいないため掲示していただいた教科書を
手元に用意できないのが残念ですが…
簡潔に書いていただいてありがとうございます。
こちらの教科書にも任命権については明白な記述があるのですが
罷免権については何も書かれていないことが多いので解りかねませんが
意見を参考に調べてみたいと思います。
No.4
- 回答日時:
#3です。
別の教科書(眞柄ほか『比較政治学』)にも半大統領制に関する紹介がありました。http://books.yahoo.co.jp/book_detail/AAW92976/(←参照した第1版)
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/AAO85441/(←最新の改訂版)
■自動切換え式
「デュヴェルジェの法則」で有名なM.デュヴェルジェは、大統領と議会多数派の党派が同じときは大統領制のように機能し、異なるときは議院内閣制のように機能する、という点で、半大統領制を両者の「自動切換え式」と評しているそうです。
また、建林ほかの前掲書によると、サルトーリと同様にコアビタシオンが政治的停滞を招かないと考える研究者としてはJ.D.ヒューバーや大山礼子が挙げられるそうですが、彼らはフランスの執政制度を議院内閣制に近いものだと捉えているそうです。その意味では、ヒューバーや大山はデュヴェルジェに近いのかもしれません。
なお、英語版Wikipediaがサルトーリ、シュガート、デュヴェルジェの論文を参考文献に挙げています。投稿者は英語が読めないのでわかりませんが、ひょっとしたら詳しい解説が載っているかもしれません。
http://en.wikipedia.org/wiki/Semi-presidential_s …
> 日本にいないため
参考までに、ご紹介した教科書の引用元は以下のとおりです。
■G. Sartori, 1997, Comparative constitutional engineering (Second edition), Macmillan.
■M. S. Shugart and J. Carrey, 1992, Presidents and assemblies: Constitutional design and electoral dynamics, Cambridge University Press.
■M. S. Shugart, 2005, "Semi-Presidential Systems: Dual Executive And Mixed Authority Patterns," French Politics 3, pp. 323-51.
■M. Duverger, 1980, "A New Political System Model: Semi-Presidential Government," European Journal of Political Research, Vol. 8, No. 2, pp. 165-87.
■J. D. Huber, 1996, Rationalizing Parliament: Legislative Institutions and Party Politics in France, Cambridge University Press.
■大山礼子、2003 『比較議会政治論-ウェストミンスターモデルと欧州大陸型モデル』 岩波書店
この回答へのお礼
お礼日時:2009/03/29 07:29
再度御回答いただきありがとうございます。
引用元を載せていただけましたので
英本はいくつかこちらで探すことができました。
回答いただいた内容、こちらの文献を参考に
また勉強を進めていきたいと思います。
本当にありがとうございます!!
No.2
- 回答日時:
いや、議会制はものすごく試したんですよ。
第三・第四共和制って大統領はいますが、実質的に議会制ですから(今のドイツ・イタリア・イスラエルの大統領を想起してください。いるかいないかわかんないでしょ)。
ただ、その結果、議会内が少派乱立になり(どうしてそうなのか、はフランス人だからだねぇとしか言えない)、結果として政権が短期・場当たり的になってぐだぐだとなり、ド・ゴール怒りの鉄槌が下った結果、現在のシステムになった訳です。
なので、メリットがあるからああなった訳ではなく、歴史的な経緯からああなっちゃった、と解すべきだと思います。
この回答へのお礼
お礼日時:2009/03/25 09:28
回答ありがとうございます。
歴史的背景についても簡単に調べてみました。
確かに、メリットがある、他より優れているというよりは
歴史的流れで生まれた妥協案が半大統領制…
と考えるのが自然な流れかもしれませんね。
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