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MRIによる画像取得の際に生じるその雑音評価で何が正しいのか分からなくなっています。
ある文献では、十分なS/N比が得られるとき、その雑音値の分布(ヒストグラムの意味?)はガウス分布に準じるとあり、また、別の文献では、平均値0のレイリー分布になるとあります。
いろいろと考えてみると、実数表示における雑音は、ガウス分布に準じ、絶対値表示における雑音はレイリー分布に準じると言う理解なのかな?と思っているのですが、それだと、レイリー分布で平均値が0というのは矛盾するので、困ってしまいます。
この辺の解釈について、どなたか教えていただけると助かります。
よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

MRIの画像もいろいろありますが、古典的な絶対値画像の場合ですよね?



平均値ゼロのレイリー分布というのは変です。雑音分布が平均値ゼロのレイリー分布に従うなら、その標準偏差もゼロですから。

「ヒストグラムの意味?」というのはそのとおりです。

「実数表示における雑音は、ガウス分布に準じ、絶対値表示における雑音はレイリー分布に準じると言う理解なのかな?」というのは、かなり良い線を行っています。
MRI画像は本来元データとしては複素数画像なので、その実数部だけあるいは虚数部だけとれば雑音はガウス分布です。そういう複素数画像を絶対値化したのが普通のMRI画像なわけですが、この絶対値化のために、ガウス分布のままとなったり、レイリー分布となったりします。

つまり、絶対値画像においてある場所Aでは雑音はガウシアンであり、また別の場所Bではレイリー分布です。
Aは被写体による信号が存在する場所であり、その信号レベル(画像値レベル)は雑音振幅よりも十分に大きな場所です。この場所での信号に重畳した雑音こそが我々が問題視する雑音です。
BはMRI信号源が存在しない、例えば被写体外の空気の領域です。絶対値化する前の複素数雑音は実数部も虚数部も+-あり、ガウシアンです。ところが絶対値化する結果、雑音は正の値しかとりません。絶対値化の結果、ここでは雑音はレイリー分布に従います。もちろん平均値ゼロでも標準偏差ゼロでもありません。測りやすいので雑音はここで測る場合が多いようです。
もし場所Aで標準偏差が100なら、場所Bでは65.6くらいです。

このへんは次の論文が一番わかりやすいと思います。
Henkelman RM. Measurement of signal intensities in the presence of noise in MR images. Med Phys. 1985;12:232–233. Erratum in 13, 544 (1986).

信号レベルが雑音レベルとコンパラな場所では標準偏差は両者の中間程度です。ここの雑音は確かライシアン(Rician)分布という確率密度関数に従う、信号レベルの高いときのRicianの極限がGaussianであり、信号レベルの低いときのRicianの極限がRayleigh、ということだったと記憶します。(→参考URL)

参考URL:http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.f …

この回答への補足

imoriimori様
早速のご指導ありがとうございました。
お話の中で出てきた「絶対値画像においてある場所Aでは雑音はガウシアンであり、また別の場所Bではレイリー分布です。」という下りなのですが、私はここで言う場所Aでの雑音は、(すべて)ライス分布に従うものと思っていました。ベースにレイリー分布する雑音群があり、その上に信号が乗っかる形のものがライス分布であるという理解です。
参考URLに出てくる論文では、(英語なのでうまく訳せてないかも知れませんが)確かに十分なSNRがあればライス分布ではなくガウス分布と見なしてよいとなっていますね。(導出までの部分は難しすぎて???です)
そうなってみると、むしろライス分布するシチュエーションというのはファントムスキャンでは少ないのかなと。
そういうことなので、imoriimori様の解説がより現実的なものという理解の仕方でよいということでしょうか?
なんだかうまくまとめられなくてすみません。

補足日時:2009/08/25 17:00
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「私はここで言う場所Aでの雑音は、(すべて)ライス分布に従うものと思っていました」


厳密に言えばライス分布です。でも、ちょっと信号がある場所ではガウシアンで十分です。
信号があるか無きかの場所ではそうは言えませんが、そもそもそういう微妙な場所で雑音を議論するのは話がややこしくなるので非現実的となります。

「ベースにレイリー分布する雑音群があり、その上に信号が乗っかる形のものがライス分布であるという理解です。」は、ちょびっと歪みがあるように思われます。ベースにガウシアンの複素雑音があり、それに定数(信号値)が足された上で(この段階でも雑音はガウシアンの複素雑音です)、それが絶対値化されると雑音はライシアン(十分な有信号部というか十分なSNRの場所ではガウシアン、無信号部ではレイリー)となるわけです。

有信号部でも超低SNR(例えばSNRが1前後とか)の条件で撮像すればライシアンとして扱うしかありませんが、普通のMRIイメージングの条件では無信号部はレイリーだけど有信号部はガウシアンと割り切りライシアンのことは忘れると言うことで通常は問題ないと思われます。

なお、ヘンケルマン論文は割と簡明だし良い論文だと思います。私も若い頃これで少し賢くなりました。チャレンジする価値はありますよ。(どこか一箇所間違いがあったと思いますが、それでも。)
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この回答へのお礼

imoriimori様
非常に分かりやすい解説ありがとうございました。
ヘンケルマンの論文は随分前にトライして玉砕してしまったもので、机の肥やしになっています。
10年以上経ってそれなりに経験を積んだ今ならすこしは理解できるかも知れません。
ご指導感謝致します。

お礼日時:2009/08/25 23:03

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