No.4ベストアンサー
- 回答日時:
基本的には、「国会(衆参両議院)=立法権」「内閣=行政権」「最高裁判所=司法権」という役割及び相互監視の関係となります。
また、「議院内閣制」においては、行政のトップである「総理大臣」は「両議院」が「議員の中から」選び、その総理大臣がそれぞれの行政トップである各大臣を決めていくことになります。
つまり、内閣は議会の支持を得て誕生することになります。
さて、ここに来て一つの問題が出てきます。
それは、「内閣総理大臣」は「与党の議員(原則的には党のトップ)」から選ばれるということです。
近代民主制度では、良くも悪くも「数の力」が最終的にモノを言うことなります。
となれば、総選挙によって信任を得た第一党(与党)の中から選ばれることはほぼ確定的です。
自公政権のような連立政権の場合でも、最も多く議員を獲得した政党である自民党から総理大臣が選び続けられたのが示すように、最終的には「数の力」に基づいて「総理大臣」が選ばれることになります。
つまり、有権者は国会議員(及びその所属政党)に信託し、その国会議員が責任を持って内閣総理大臣を選ぶ事になります。
そして、国会は内閣(つまり行政)を監視し、もし国民の意に沿わない事を行った場合は、その責任を追及することになります。
ただ、「議会が内閣を追求し不信任する」というのは、自党のトップの責任を追及することにもなります。
なので、「内閣不信任案」が可決されるような事態は、ほぼ「自党内の政争の具」となった場合くらいにしか可決されない(野党が提出しても否決される)ということになります。
これは必然的に、内閣と与党は緊密な関係となり、行政府と立法府の間だの監視機能が甘くなると言う問題を抱え込むことになります。
よく、「政府与党」なんて言葉が新聞やTVで言われるのも、こうした癒着(?)関係を示しているとも言えます。
「政府」と「与党」は同じなのか、それとも別々なのか?という悩ましい問題に陥るわけです。
>いまいち、お互いの損になりそうな衆議院による内閣不信任決議権は行使されにくい気がする
というのは、上記のような「政府(内閣)」と「与党」(つまり行政府と立法府)との関係があやふやなために感じる違和感なのでは?と推察しています。
「議員内閣制」は議会の責任によって内閣が成立する制度です。
つまり、「内閣を選ぶのは、有権者ではなくて国会議員」という事であり、たとえ有権者の支持率が1%であろうが、「議会」が「信任する」としたら存続するし、「不信任する」となれば「総辞職」か「議会の解散」ということになります。
「総辞職」は分かると思いますが、「衆議院の解散」をするか?という疑問ですが、「解散」を選んだ場合はもう一度総選挙を行うことになります。
この時、内閣を構成していた与党が敗れて野党と政権交代すれば、「内閣不信任案」を出した「議会」は正しく民意を反映していた事になります。
しかし、この時に与党がそのまま第一党になった場合、元の「内閣」は国民に支持されていたこととなります。
あるいは、「内閣には反対だけど政党にはイエスだ」ということで、党内抗争に勝ち上がった人が総選挙後の首班指名選挙で新たな総理大臣に選ばれ、新たな大臣が選任されることでしょう。
簡単に言えば「首をすげ替えただけ」と見えなくもありませんが、その裏では激しい党内抗争があったわけで、その抗争に負けたときに「可決」されることになります。
とまぁ、「内閣不信任決議」というのは野党の揺さぶりに使われるか、「政争の具」に使われる事くらいです。
実際、この戦後60年以上のなかで「内閣不信任案」が「可決」されたのは、たったの4回だけです。
結局は、「議院内閣制」の「欠点」を浮き彫りにしている象徴のような制度ですね。
No.3
- 回答日時:
・このときやはり内閣による衆議院の解散を行うことの正当性みたいなものは必要なのでしょうか?
法律的には、ありません。衆議院が内閣不信任決議案を可決したのであれば、衆議院を解散することは、憲法で内閣に認められた権利です。
もっとも、政治的にはありますね。内閣の政策主張が国民に認められなければ、(衆議院の解散を受けて行なわれる)総選挙で、内閣を支持する勢力(いわゆる与党)は勝利できません。負けることが確実に分かっているのであれば、政治的空白を作った責任を選挙結果によって負わされるでしょう。
・お互いの損になりそうな衆議院による内閣不信任決議権は行使されにくい
面白いことですが、野党はほぼ常に、衆議院の解散を要求しています(最近でも、鳩山総理の不正献金問題に関連して、自民党が衆議院解散を要求していることが報道されています。先の選挙からまだ半年も経っていないにも関わらずです)。そのため、国会が開かれると多くの場合、野党がいつ内閣不信任決議案を提出するかが、新聞等で話題になります。
No.2
- 回答日時:
>>このときやはり内閣による衆議院の解散を行うことの正当性みたいなものは必要なのでしょうか?<<
必要ありません。内閣不信任は、基本的には「解散しろ」という要求ですから、内閣は「国民の信を問う」というただ一つの理由のみで解散を行うことができます(しないことを選択することももちろんご理解の通り可能です)。ですから正当性をチェックする人なども存在しません。
内閣不信任は、与党が多数を占めている状況下では基本的になされ得ないものではあります。ただ、少数与党でスタートした羽田内閣だったり、与党内で対立が起きていた宮沢内閣のように、可決されてしまう場合はあります。
衆院議員にとっては不信任イコール自分のクビが切られることにはなるのですが、不信任案を提出する野党にしてみれば、次の選挙で自分たちが与党になるチャンスでもあるわけですから(可決されそうな場合には特に)、実際にはほぼ年中行事のように提出されています。
なお、脇から失礼ながら
>>総辞職というより内閣改造で躱すのがふつうです。<<
不信任案が可決された場合には、総辞職か解散かしか選択肢はありませんので、一部閣僚の入れ替えにとどまる内閣改造で済ますことはそもそも法律的にできません。世論対策で行われる内閣改造と混同されているものと思いますが……。
No.1
- 回答日時:
総辞職というより内閣改造で躱すのがふつうです。
不信任の内容により衆議院の解散もありうるが、解散権は、総理大臣の専権事項でいつでも抜ける伝家の宝刀です。
ただし、前政権の麻生総理の時、自民党に対する逆風のため「私が決めます」と言って、抜くに抜けない状態が続き、任期満了と区別がつかない解散権の行使となったのはご存じでしょう。
現政権も、ずるずる内閣支持率が下がってきて30%台になると解散しづらい状態になります。
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