No.3ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは
> 実際何機くらい撃墜されたのでしょうか。
公式戦記によりますと
海軍(含 海兵隊)の固定翼機の全喪失機数が約1,000機、うち作戦行動中の撃墜
が約700機強(他は、故障や事故による損失)。空軍の同全損失機数は約1,700機
です(そのうちの撃墜数の詳しいデータは見つかりませんでした)
ただ、この撃墜数はSAM(地対空ミサイル)以外にもAAA(対空砲)、空対空戦闘
によるもの、全てを含んでいる数ですので ベトナム戦を通してSAMで何機?という
のは ちょっと解りませんでした。
ちなみに「ベトナム、地対空 (新戦史シリーズ)」 (朝日ソノラマ文庫:ジェフリー
L. ルビンソン著)によれば、かの有名な"ラインバッカー2作戦"においては
・出撃回数のべ1000回(空海合わせ、うちB52は740回)
・北ベトナムのSAM合計発射数、約1250発。
・米軍側被害:空軍20機(B52は15機)、海軍6機
と記されています。
数の単純な比較だけでは確かに対空攻撃の効率は悪いのですが、それぞれの価値
(Value)も含めた比較で考えると、一概にはそうも言えないかもしれません。
> 米軍には地対空ミサイル対策はあったのでしょうか
個別の対策はNo.1さんの回答通りですが、"Wild Weasel"(今で言う"SEAD"
ですね)というSAM狩りミッションが誕生したのがこのベトナム戦からです。
ただ 現在とは違い ECMもARMもまだまだ未成熟でしたので、SAMを制圧する と
いうよりは、実際は囮になってSAMを引きつける という場合も数多くあったと
聞いております。
おまけにこのWild Weasel部隊はミッションの性格上"最も先に敵勢力下に侵入し、
最も最後に離脱する"という役回りになりますので、機体も搭乗者も"常に
ヘロヘロ状態"だったようですね。
まぁそのおかげ(経験)で 米軍は現在の"強力なSEAD/DEAD能力"が付いた、と
いう事になるのでしょう。
No.4
- 回答日時:
ヴェトナム戦争ではミサイルより対空砲火による犠牲が多かったと聞きますが。
膨大な対空機関砲が備えられて、ミサイルを避け低空で侵入したジェット機が、多く撃墜されたといいますが、そんなに当たるものでしょうか。 詳しいデータは公表されていないようですが。
No.1
- 回答日時:
当時北ベトナム軍が使用していたミサイルは、NATOコードネームSA-2ガイドラインです。
元来大型の爆撃機などに対処する為の大型ミサイルだったので旋回性能が低く、小型で小回りの効く戦闘機相手では、あまり撃破効率は良くなかったようで、1965年の段階で、命中率は5.7%だそうです。100発撃っても5発程度しか命中しない。それでも、一機の戦闘機に対して同時に複数を射撃する飽和攻撃を行ったりしましたので、米軍パイロット達にかなりの恐怖感を与えていた事は事実のようです。当然米軍側も対抗策を次々に打ち出します。先ず、戦闘機の外部に取り付ける電波妨害(ECM)ポッドです。ミサイルの探知と誘導使われる周波帯の電波をかく乱する、消極的防御策です。SA-2のレーダーは、探知用と攻撃用の二種類があり、探知用レーダーで目標(敵航空機)を発見すると、それに向けて攻撃用レーダーがUHF電波のビームを照射します。発射されたミサイルは、このUHF波を辿って誘導されるのです。従って、攻撃用レーダーは、ミサイルが命中するまで電波を出し続ける必要があります。
この特性を逆手に取った積極的対抗手段が「対レーダーミサイル」です。敵の照射する電波を逆探知し、レーダーアンテナに突入して破壊します。ベトナム戦争当時使用されていた物は、AGM-45シュライクと呼ばれる物ですが、射程がSA-2よりも短い等の理由で、レーダー破壊の成功率は25%と低かったようです。その後、射程の長いAGM-78スタンダードが実戦投入されます(高価なのでシュライクと併用)。
北ベトナム側も手をこまねいていたわけでは無く、対レーダーミサイルが発射されると、自分のレーダー波を切る事で、ミサイルに誘導目標をロストさせる戦術が取られたようです。原始的で単純ですが、これが結構有効だったようです。
そうなると、米軍側も対抗します。ミサイルの誘導装置を改良し、最初に探知した座標を記憶する事で、電波を切断された後にも同じ場所に誘導されるようになります。
と、このようにいたちごっこが続いたのですが、この競争が現在のSAM対策の基本形を生み出した事は間違いないでしょう。ベトナムでの教訓が洗練され、より完成された物が湾岸戦争やイラク戦争での米空軍(海軍航空隊もですが)の姿です。
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