「一般的な」という言い方はおかしいような気がしますが、賃金制度および評価制度にどのようなものがあるのか色々なものを比較できる資料を作ろうと思っています。
あくまでたとえばですが、
パターン1.賃金表、評価制度は導入しない。経営者の裁量のみで昇給等決定。
パターン2.賃金表を作成、評価制度は導入しないで、毎年2号俸ずつ昇給。
パターン3.職能資格制度を導入。
など
どんな賃金制度や評価制度があるのかを紹介する資料です。もちろん各パターンのメリット、デメリットもできれば記載したいです。
賃金制度や評価制度に関する本をたくさん乱読しましたが、基本は著者独自の提案であり、そのほとんどが細かく説明されているので、簡単な比較資料を作るのが大変なので質問させてもらいました。私が求めているものは、普通の本よりも雑誌系にあるような気もします。ネットでも色々検索してみましたが、意図するものとは違うものばかりが出ます。
資料を紹介する相手は100人未満(10人、20人なども)の企業がほとんどです。
なにか良いサイトや良い書籍等ございましたら、ご教授宜しくお願いします!!!
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「中小企業診断士」という資格試験のための参考書を読むと、著者の考えではなく、国家試験で問われる一般的な考え方が書かれています。
この資格試験の「企業経営理論」という科目の参考書の中の「人的資源管理」という章の中にまとめられているはずです。
以下に簡単にまとめておきます。
賃金および評価制度には以下の3種類があります。
1.年功制
2.能力主義
3.実力・成果主義
1)年功制というのは、
「人間は年齢とともに経験を積み、能力が向上してゆくものであるから、それに見合った給与を与えよう」
という考えに基づくものです。
この方法のメリットは、年齢や入社年度によって給与が決まるので、あれこれと考えなくても給与を決めることができる、ということです。熟練や経験を要するような職種の場合に適しています。
終戦から高度成長期に至るまでの欧米に「追い着け追い越せ」の時代には、企業の主な関心事は、「どうやったら欧米の製品の品質に近づくことができるだろうか?」でした。この時代には、「この社員をどう評価しようか?」よりも、「この製品の品質を欧米並みに高めるにはどうしたらいいだろうか?」でした。そして、工場での加工の精度や品質は経験で決まる部分が多く、年齢や経験年数、勤続年数のみで給与を決め、余った時間を製品の改良に向けることには合理性がありました。
しかし、欧米に肩を並べるような品質の製品が作れるようになり、あるいは欧米製より日本製の方が品質が高くなってくると、こちらから売り込みに行かなくても、向こうから買いに来るわけです。その一方で、従来の製品の改良ではなく、全く新しい、これまでに世界中のどこにもなかった製品を開発することが世界から期待されるようになってきます。
このような製品開発には、経験の積み重ねではなく、「従来にない発想をする」感性が求められるようになってきます。これは経験や年齢ではないので、年功制にはなじみません。それどころか、なまじ経験があるよりも、若さだけの方が良い結果を出すことすらあります。
すると、年齢ではなく「能力のある社員を高く評価して厚遇しよう」ということになってくるのです。
こういうふうにして能力主義という考え方が出てきました。
2)能力主義というのは、
「能力のある社員はそれだけ会社に貢献しているはずだから高く評価して能力に見合った給与を与えよう」
という考えに基づくものです。
この方法のメリットは、年齢や経験によらない能力で評価するので、若手社員のモチベーションが高まり、生産性の向上が期待できることです。
しかし、「能力を評価する」というのは難しいことです。上司に能力を評価する能力がないと
「この社員は経験も積んでいるから能力が高いはずだ。よし高く評価しよう。」
と言って評価するかもしれません。つまり、能力主義であったはずが年功制になってしまうのです。そこで、能力を評価するための試みとして、職能資格制度が生まれました。
つまり、職能資格制度というのは、能力主義制度を運用するための仕組みなのです。
しかし、「職能とは何か?」を考えると、どうもうまく定義できず、あいまいです。従って評価基準が必ずしも明確ではなく、年功的になってしまいやすいという欠点はやはりそのままです。
また、能力があってもそれが必ずしも良い結果に結びつかない、という場合もあります。あるいは能力があってもそれを発揮しない社員もいます。「俺はまだ本気出していないだけ」これでは困ります。そこで、単に能力があるというだけでなく、「能力を使って結果を出している社員を評価しよう」という」考え方が出てきます。
これが実力主義です。
3)実力主義というのはは、
「単に能力があるというだけでなく、結果を作り出す力を実力と呼ぶことにして、実力のある社員を評価しよう」
という考え方です。
「実力」の方が「能力」よりもその社員の会社への貢献度を、より的確に表しているように見えます。
しかし、実力の評価・測定が難しいのは「能力」の場合と同じなので、実力主義であったはずがいつのまにか年功制になってしまっていた、ということが多く発生してしまいます。
「じゃあいっそのこと結果だけを見ようか」という考え方が出てきます。
これが成果主義です。
しかし、成果だけではやはりうまくないので、実力と成果の二つを評価すれば良いのじゃないだろうか、ということで、実力・成果主義が誕生しました。
これは良さそうに見えます。社員が会社にどれだけ貢献したかを、成果という客観的な指標で測定して、給与や昇進などの処遇に反映させるわけですから。メリットはその社員は確かに会社に貢献していると言えることと、評価が客観的であることです。
しかし、たとえば経理担当社員の成果とはなんでしょう?お金の計算を間違いなく行うことですか?では経理部で何がどうなったら成果が増加したと言えるのでしょうか?
あるいは、人事部では何がどうなったら人事部の成果が増加したことになるのでしょうか?秘書課は?工場の倉庫では?購買部では?
このように考えてゆくと、「成果」という指標を定義できない部門がたくさんあります。こういう部門に対して成果主義を導入しようとしても、成果が決められないわけですから、導入のしようがありません。かつて富士通が成果主義を導入して失敗したのは、このような成果を定義できない部門に対してもむりやり成果を定義して導入しようとしたことが原因なのだそうです。
成果主義が最も適しているのは営業部門です。なぜなら「成果」を明確に定義しやすいからです。ただし、これも何を成果の指標とするのかを慎重に考える必要があります。たとえば「売り上げ」を成果を測るための指標とした場合、売り上げを伸ばすために値引きをし、原価割れした価格で売って売り上げを伸ばそうとするかもしれません。あるいは、6か月の支払いサイトで売って売り上げを伸ばそうとするかもしれません。
このようなことのないように、その会社では他社との取引でどんな問題が生じているか、生じやすいかを考えたうえで、その問題が生じるのを防ぐような指標を成果を測定する指標とすることで、会社の問題解決を図ることができます。
このように単に社員の評価というだけでなく、社内の組織的な問題解決の道具として使うことができるのが、実力・成果主義のメリットです。
No.2
- 回答日時:
最近はぜんぜん見ていないので参考までにですが、「労政時報」ではよく調査などをやっていたので、基本的な制度のパターンと実施率のようなものが見つかるかもしれません。
アンケート調査をするためには、選択肢を作らないといけないので、現在主流となっているパターンをおおまかにまとめてある可能性があります。バックナンバーがある図書館などでチェックしてみて下さい。
財団法人労務行政研究所 人事・労務の専門情報誌 『労政時報』
https://www.rosei.or.jp/
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