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日本型福祉

大沢真知子「新しい家族のための経済学」(1998)という本に書かれている内容についてお尋ねします。
この本の文章が『日本への招待』という読解教材(日本語を学習する外国人向け)で引用されているのですが、よく分からない部分がいくつもあります。(先にも質問もさせていただいています。)

この本の中に以下のような記述があります。

「60年代のように若い人口が豊富に存在し、女性の家事時間の価値が低かった時代には合理的であった日本型福祉は、日本型雇用同様、経済の発展と人口構造の変化によっていまその合理性を失いつつある」(引用終わり)


女性の家事時間の価値が低かった時代には、どうして日本型福祉は合理的だったのでしょうか。

そもそも、日本型福祉というのも良くわかっていないのですが、「家族の相互扶助を活用しよう」というのも、日本型福祉の特徴でしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。

A 回答 (2件)

「女性の家事時間の価値」を「女性の社会的労働の価値」と読み替え、「日本型福祉」を「介護」と読み替えると解かり易いかも知れません。


当時は、女性が働く場も少なく、働いたとしても大した収入は得られなかった状況があったと思います。また、「男性は会社で働き、女性は家庭を守る」という発想も一般的であったと思われます。
このことから、「仕事(収入)を犠牲にして家族の介護に当たる」という状況も少なく、家事の延長として介護を行う事に、合理性もあったという趣旨だと思います。
言うまでもなく、現在では「仕事を犠牲にして介護に当たる」という事に対して抵抗感を持つ女性も多いでしょうし、実際に仕事を辞めて家族の介護に当たる事に、合理性があるとも思えない状況があります。
ちなみに、このような男女平等参画や核家族化などにより、“家族で介護する”という、いわゆる日本型福祉に行き詰まりを感じる状況があった事から、介護を第三者に任せて、その費用の一部を受益者負担とする『介護保険制度』が生まれたのだと認識しています。
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この回答へのお礼

お礼が遅くなりましたが、どうもありがとうございました。参考になりました。

お礼日時:2010/05/09 19:49

QNo.5872587で回答させていただいた者です。



なるほど。このような表現を見れば、この方の捉え方が想像できますね。

「家事時間の価値が低かった時代」。
2側面から捉えられますよね。

1つは女性がまだ社会進出を行っていない時代で、「家事に携わる女性が多かった時代」という捉え方。
もう1つは、少子化が進んでおらず、「母親以外にも家事に携わることの出来る人が多かった時代」とい
う捉え方。

また、文中にある「日本型雇用」が何を指すかを考えると、これは明らかに「年功序列型終身雇用制度」
のことを現していますね。そして、それ同様、「経済の発展と人口構造の変化によって合理性を失いつつ
ある」日本型福祉とは、恐らく「国民皆保険制度」のことを言い表しているのではないでしょうか。

また、1998年といえば、「介護保険制度」が始動した年でもあります。

いわゆる「昭和」の時代の日本は、1つの家庭では父親が労働によって手にする収入で、一家の家計を贅
沢はできないにせよ、十分に支えられる形での家庭が形成されていました。一世帯に占める子どもの数が
多かったにも関わらず、です。

母親は働く必要がありませんから、当然家事に専念できます。今のように誘惑にあふれる社会構造もあり
ませんし、付加価値的な富を求めない時代であったと思います。

しかし、現在は男性の収入が減り(不景気のせいではありませんよ、実は)、女性も共働きを行う家庭が
増えたせいで、育児には向かない家庭が増えました。「少子化」の原因です。

現在の国民健康保険制度は賦課方式が取られていますから、単年度に生存する国民が全体でこの医療保険
制度を支えているのです。少子化が加速度的に進行している上、かつて団塊の世帯と呼ばれた人たちが
ごっそりと「後期高齢者」となる時はもう間近に迫っています。

参考URLとして、日本の出生率の推移を示したグラフを添付しておきます。

「第一次ベビーブーム」と呼ばれる時期に生まれた人が2007年から続々と定年の時期を迎えています。
15年経過すると、この世帯の人たちは皆、「後期高齢者」となります。この人たちが若かった時期とは、
即ち「若い人口が豊富に存在」した時代のことです。

このようにして見れば、著者の方が何を言いたいのか、ということも見えてくるのではないでしょうか。

参考URL:http://www.ipss.go.jp/syoushika/seisaku/images/0 …
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この回答へのお礼

前回の質問に引き続き、ご回答いただきどうもありがとうございました。2つの捉え方ができるんですね。よく分かりました。

お礼日時:2010/05/09 19:51

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