
原子の中の、陽子と電子はなぜくっつかないのか?
電子はクーロン力によって電子の中を運動すると習いました。クーロン力はプラスとマイナスが引き付き合って発生する静電気的な力だ、ということも参考書で知りました。
では、この電子はいったい何と引き付き合って運動してるのでしょうか?
電子はマイナスの電荷を持っていますから、おそらく対極にある陽子だと思うのですが、ではその引き付き合っている陽子と電子はくっついてしまったりしないのでしょうか?
参考書などを使って独学に近い状態で化学を学習している高1です。私にも理解できるよう、噛み砕いてご説明いただけると嬉しいです。

No.7ベストアンサー
- 回答日時:
高校1年生で量子論はちょっとハードルが高いですよね.約100年前までさかのぼると、多少理解しやすいかも.
長岡半太郎や、アーネスト・ラザフォード、トムソンといった人たち(1900年頃に活躍した人たちです)は、原子の構造を、中心に正電荷を持つ核があり、その周りを電子が回転運動している、というモデルを考えました.この時のモデルは、太陽の周りを回っている惑星、とか、土星の周りにあるリングなどに例えられて、土星型モデルとか、惑星型モデルとか呼ばれています.
太陽と地球、の例で言うと、太陽と地球の間には重力がありお互いに引力をおよぼし合っています.一方で、地球はある方向に運動しており、太陽との間の引力と、地球自身の持つ運動がちょうど釣り合っている結果、地球は太陽の方に「落っこちて」いかずに太陽の周りをまわっているんですね.
原子核と電子の例も同じで、原子核と電子の間にはクーロン力が働いて引きつけ合っています.一方で、電子はある方向に向かって運動しており、その力がつり合っているのでくっついてしまわない、というのが惑星型モデルの説明です.
ハンマー投げなら、たとえば室伏選手が原子核で、ハンマーの先にくっついている鉄球が電子、といえばイメージわきやすいかな?ぐるぐる回っている最中に、鉄球が室伏選手に落ちてくる、ってことはないですよね.(ちょっと例えがむちゃくちゃですけど)
で、この惑星型モデルとか土星型モデルとかいったものは、電磁気学の理論(電磁誘導)と整合性がない、とか、原子スペクトル、光電効果といった実験的な結果をうまく説明できませんでした.で、それを解決しようとして、ボーアモデルを初めとしていろいろな原子のモデルが考えられるとともに、量子力学ができあがっていくわけですけど、そこから先はとても書ききれないので、
「文系にもわかる量子論:講談社現代新書」とか
(いやたまたま手元にあっただけでこの本がベストってわけじゃないですけど)
いろいろと読みやすい本があるので、探してみてください.
分かりやすいご説明ありがとうございました!室伏選手、なるほど…!(笑)
授業中ふと浮かんだ素朴な疑問が、かなり高度な分野に踏み込まないと完全には理解できないような不思議なことだったなんて。やっぱり化学、面白いです。
質問中にある「電子は電子の中を~」は「電子は原子の中を~」の誤りです。
みなさんご回答ありがとうございました。
No.8
- 回答日時:
たしかに、高校1年生で量子論はちょっと早すぎたかもしれませんね。
#5さんと#7さんの回答にあるとおり、クーロン力で引き合っているのに電子が原子核にくっつかないのは、万有引力で引き合っているのに地球が太陽にくっつかないのと同じ、万有引力で引き合っているのに月が地球にくっつかないのと同じ、と考えていてもいいと思います。
クーロン力も万有引力も同じだ、と考えてしまうと、K殻、L殻、M殻などの原子の殻構造をまったく説明できない等といった不都合がいろいろあるのですけど、まあ、それはそれ、これはこれ、ということで。昔の人たちがどのようにしてこれらの不都合を解消していったのか?については、大学で量子論を習うと分かると思いますので、そのときまで楽しみにとっておくのもいいでしょう。
No.6
- 回答日時:
> 電子はクーロン力によって「原子」の中を運動する
はい。そうです。合ってます。
> クーロン力はプラスとマイナスが引き付き合って発生する静電気的な力だ
はい。そうです。合ってます。
> 電子はマイナスの電荷を持っていますから、おそらく対極にある陽子だと思う
はい。そうです。「対極にある」の意味するところがちょっと分かりにくいですが、電子が「原子核」と引き付き合って運動してる、という考えは合っています。
> 陽子と電子はくっついてしまったりしないのでしょうか?
くっついてしまうとかえってエネルギーが高くなってしまうので、つかず離れずのところで電子が運動しているのが“もっともエネルギー的に安定した状態になるから”というのが、#1さんの回答をほんの少しだけ掘り下げた答えです。クーロン力による静電エネルギーだけを考えるならば、たしかにくっついてしまったほうがエネルギー的に安定になるのですけど、電子が原子核に近づけば近づくほど電子の運動エネルギーが大きくなっていってしまうので、適当に近いところ(つりあうところ、といってしまうと少し嘘になる)を電子がうろうろしているのが、エネルギー的に安定した状態になります。
> 電子が核に近付くと核から非常に強い反発力を受けます。
いいえ。そんなことはありません。電子は核に近づけば近づくほど、核から強いクーロン引力を受けます。高校化学の範囲から恐ろしく逸脱してしまうので、あまり言いたくはなかったのですけど、原子の中で電子を見つける確率が最も高い場所は、原子核のある場所です。原子核から離れれば離れるほど、電子を見つける確率は低くなります。
No.5
- 回答日時:
こんばんは
>陽子と電子
他の回答者の皆さんと同じ意見で、「量子論」を学ぶ必要があります。
しかし、別の例えは出来ます。
「万有引力」で太陽と地球は引き合っていますし、地球と月も引き合っています。ですが、地球が太陽に落ちることはありませんし、月が地球に落ちることもありません。
でも、実は、地球は太陽に落ちているから太陽の周りを回っていますし、月は地球に落ちているから地球の周りを回っています。
ボールを水平に投げることを思い浮かべてください。(空気抵抗はないものとします)
ボールを速く投げれば遠くまで飛びます。
地面が平らなら、ボールいつかは地面に落ちます。
でも、地面が平らでなく、下へ曲がっていたら!?
もし、ボールが落ちるペースよりも地面が曲がるペースよりも早ければボールは地面に落ちません。
「こんな説明で伝わるかな?」な回答ですが、分からない部分は「補足」で追加質問してください。
No.4
- 回答日時:
これは、量子力学を学ばないと正確には理解できないでしょう。
高校生でしたら、イメージとしてだけ覚えておけばよいです。
・原子内の電子は運動していますが、その時のエネルギーはなぜか飛び飛びの値しかとらない。炎色反応としてそれは観察できる。
・あまりに小さな電子は、その位置(空間座標の広がり)と時間の広がりを決定できない
位置を確認しようとするとそれが持っているエネルギーはわからない
エネルギーを知ろうとすると位置が分からなくなる。
位置を特定しようとして何かをぶつけると、それによってエネルギーが分からなくなる。
逆もしかり
それは、両端を固定された弦の定常波みたいなもので、原子核の周囲にクーロン力で拘束された空間に波として存在していると考えると説明できる。弦の定常波の振動数は段階的であって連続的ではない、1倍、2倍、3倍としかなりませんね。
原子核周囲のある電子一個の持つエネルギーは測定できるが、その時にどこにあるか・・あったかは特定できない。どこにあったかを測定した時は、いつそこに存在したかは分からない。
>この電子はいったい何と引き付き合って運動してるのでしょうか?
原子核と引き合って存在しています。
>ではその引き付き合っている陽子と電子はくっついてしまったりしないのでしょうか?
くっついたら位置ゼロになってエネルギーが失われるのでくっつけない。
古典的に粒子として考えると、原子核の周囲を円運動--加速度運動--していると電磁波という形でエネルギーを失い原子核に落ち込むはずですが、原子核の周囲では波として表せる形で存在していると考える。最も低いエネルギー(基底状態)より小さくはなりませんから、ある広がりを持って存在する。
以前は高校の化学の教科書に、そのときの電子軌道s軌道とかp軌道とか、混成軌道とかが載っていて、簡単な説明がありました。昭和48年~昭和55年頃の高校の教科書を探してください。

No.3
- 回答日時:
>電子はクーロン力によって電子の中を運動する
電子はクーロン力によって「原子」の中を運動する…間違いです。全く運動していません。運動していたらエネルギーを電磁波として失い核へ引き寄せられてしまいます。
電子は原子の、核を含めた「どこか」に「ただ居る」のです。それも電子と言う粒子としてではなく、電子雲という「確率」と同じ値を持ちながら「確率」ではない比率を持って。
>陽子と電子はくっついてしまったりしない
原子核は「強い力」と呼ばれる力で陽子と中性子が結合して成立しています。それを予言したのは湯川秀樹先生です。
この力は現在「グルーオン」と呼ばれる粒子の交換として記述されるようになりました。
それと同時にクォークが導入されました。
電子が核に近付くと核から非常に強い反発力を受けます。これは電磁気力ではなく核を構成する力の一部です。
この力を説明する能力は私にはありません。
No.2
- 回答日時:
>電子はクーロン力によって電子の中を運動すると習いました。
クーロン力はプラスとマイナスが引き付き合って発生する静電気的な力だ、ということも参考書で知りました。電子は電子の中を・・・・ではなくて、原子殻の中をの間違えではないでしょうか、
原子殻の中では、陽子を中心にその周りを電子が外殻軌道に乗ってv回っており、外郭軌道数は原子の種類で決まっていて、もっとも内側は電子2個まで、その次の軌道には4個まで、という具合に定まっていると教わりました。(その他電気的に中性な中性子なども含まれている)
これ以上は馬脚を現すのでやめておきます。
教科書を再確認してください。
No.1
- 回答日時:
通常のニュートン力学や、電気磁気学的な概念でそれを理解するのはとても難しいですね。
原子や分子、電子、素粒子などの小さいものの現象を扱うには、量子力学を勉強しなければなりません。それによって、不確定性原理や、物質波の概念の概念を理解したのち、ある方程式をとくことで、量子の確率分布を数学的記述するこが出来るようになります。
非常にざつに言うと、その量子力学の方程式を解いてみると、電子軌道がもとめられます。軌道という意味は、電子がその軌道上にいると、もっともエネルギー的に安定した状態になるから・・・ということなのです。
短い説明ですいません。興味があれば、量子力学や、シュレディンガーの波動方程式とかにまつわる、記述や本を読んでみてくださいね。
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