No.2ベストアンサー
- 回答日時:
金銭は占有した瞬間に所有権を取得し、逆に占有がないうちは所有権を取得できないというのが判例の立場ですから、この見解によれば金銭に留置権は成立しえません。
なお、下の方とは異なり、私は通常の交換契約では相互に留置権が成立すると理解しています。
例えば、売買契約においては、代金債権と売買目的物との間には牽連関係があります(最判昭和47年11月16日)。ですから、代金債権の履行を受けるまで、元の所有者のために売買目的物について留置権が成立し、これは同時履行の抗弁権と競合(併存)します。
交換契約においても同じように、対価たる目的物の引渡請求債権と交換目的物との間には牽連関係があり、対価たる目的物の引渡し(引渡債権の履行)を受けるまで、交換目的物について留置権が成立し、これは同時履行の抗弁権と競合すると考えています。
No.4
- 回答日時:
回答が乱れた状態にて大変申し訳なく、勝手ながら整理させて戴きます。
先ず、ご質問の大筋としては売買契約で支払われる 金銭 に対し留置権が成立するかと言った趣旨であって、この点に関して、私の回答通り 金銭 は留置権の効果が及ぶ 物 ではないと考えた観点では他の意見とも一致しているのでしょう。
次に交換契約に関し、私は 通常の交換契約 と条件を特定させて戴きましたが、ここで私が想定した 通常 が一体どの様な状態を指しているのかを具体的に示しますと、いわゆる一般的な売買(交換)契約では (1) 正式に対象物を所有する者通しの契約行為であり、そして、この契約には (2) 双方が同時に履行出来る状態 にない限りは商談達成しないと考えた商売上等の視点に偏った回答でした。
しかしながら、法的な視点に立った売買(交換)契約とは諾成契約でありますから、「売りましょう」、「買いましょう」の言わば口約束だけの時点で成立していました事を私は忘れていたと言え、この観点からでは、口頭での商談が成立した時点から、対象物は相手の所有物へ移転し、以前の所有者は相手の者を 占 有 している状態へと移り変わっておりますから、この状態は 留置権 を行使可能でありましたので私の回答は間違っており、撤回させて戴く事になります。
よって、売買契約でも金銭に対する留置権の行使は成し得ないものの、目的物には効果が及び、これは同時履行の抗弁権を主張する時期と同じだったと言えます。
No.3
- 回答日時:
補足について再度、回答させて戴きますが、交換で留置権を否定する出典は特には知りません。
但し、前回の参考URL中の「留置権の成立要件」をお読みになると質問者さんならば直ぐにお解かりになる筈です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%99%E7%BD%AE% …
この中の通り、留置権が成立するには (1) 他人の物を占有している状態であり、次には (2) その占有物は当該債権から生じている必要がありますから、この2点だけで既に通常の売買や交換契約では有り得ず、他人の所有物を譲渡した場合や2重譲渡、転売等の複雑化させる付加要件があった状況に限られる事がご理解戴けると思います。
また、こうした複雑した状態での留置権を解説しているサイトを探しましたのでご参考になさって下さい。
http://foggia2011.blog7.fc2.com/blog-entry-169.h …
No.1
- 回答日時:
留置権は他人の所有物を占有した者が、その所有物に対して発生した債権への弁済がないとして、この留置を認めると定めた 担保物権 ですから、対価を 物 ではない 金銭 で支払らわれる売買契約での留置権は考えられないです。
すると、物 と 物 を交換する交換契約では留置権が成立する様に思えてしまいますが、民法第295条1項では、その目的物から生じた債権の牽連性を示していますから、結局は通常の交換契約でも留置権の成立は有り得ないです。
但し、一旦行われた交換契約が何らかの理由によって白紙撤回され、元の状態へと戻す際、一方が相手も引き渡す迄は双方に留置権が認められ、これは 同時履行の抗弁権 と併用出来ると考えられます。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%99%E7%BD%AE% …
この回答への補足
いつも論理明快な回答有難うございます。
なるほど、金銭は物ではないのですね。
金銭は、完全代替であることから経済価値そのものであって、
物とは言えないかのしれません。
売買契約の成立と同時に、物の所有権が買主に移転し、金銭の
所有権も売主に移転し、その結果、相互に反対債権を被担保債
権とする留置権が認めうると考えましたが、物についてはとも
かく、金銭については、占有即取得ということで、買主の所有
のままですので、「他人の」ということが成り立たずに、留置
権は成立し得ないですね。
一方、「交換の場合に、相互に留置権を持ちえない」は大変、
興味深いです。
この見解についての出典をご紹介いただけますと、とても助か
ります。
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