
中学校のとき、国語の先生と大激論を交わしたこともありましたが、いまだに解明されていない疑問があります。
「私は気づいた。」という文において、
主語=「私」、述語=「気づいた」
・・・これは誰しも認めるところでしょう。
しかし、
「私は気がついた。」
の場合はどうでしょう?
●当時の国語の先生の主張:
主語=「気」、述語=「ついた」
●私の主張:
主語=「私」、述語=「気がついた」
先生の主張が正しければ、「私の気がついた」が正しい日本語なのでしょうか?
「私の腹は煮え繰り返った」の主語は「腹」というのは理解できますけどね...
国語、文学がご専門の方々のご回答をお待ちしております。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
まず、「気が付く」が一語の動詞か否かについて
複数の単語が複合して一語化したものを複合語と呼びますが、一語化しているかどうかの指標として以下のものがあります。
1、新たな意味が生じている。
(例)酒+樽→酒樽(酒を醸造したり貯蔵したりするための樽)
2、母音の交替、連濁などが生じて語形が変化している。
(例)さけ+たる→さかだる
3、もとのアクセントが失われて、新たなアクセントが生じている(以下、共通語のアクセントで、○は低く発音する音節、●は高く発音する音節です)。
(例)かぜ(○●)+くすり(○●●)→かぜぐすり(○●●○○)
「気が付く」については、直接アクセントの変化が観察できませんので、類似の例で説明いたします。
「片付く」に対して「片が付く」があります。
かた/が(○●/○)+つく(●○)→かたがつく(○●○●○)
「勢い付く」に対して「勢いが付く」があります。
いきおい/が(○●●○/○)+つく(●○)→いきおいがつく(○●●○○●○)
いずれもアクセントの変化が起こりません。日本語のアクセントは一単語(または一文節)内に、低を挟んだ二つの高は存在しませんから、「かたがつく(○●○●○)」「いきおいがつく(○●●○○●○)」は一語化しているとは言えません。3単語2文節です。
こんな例から類推すると、「気が付く」も、3単語2文節ということになりそうです。
気が(○●)+付く(●○)→気が付く(○●●○)
と、アクセントは変化しませんから。もっとも変化したとしても○●●○となる可能性が高いでしょうから、先ほど「気が付く」についてはアクセントの変化が観察しにくいと申しました。
というわけで、「気が付く」を一語の動詞とみなすことには無理があります。
次に、「私は気が付いた」についてです。厄介で、あまり首を突っ込みたくない問題ですので回答する事をためらっていたのですが、sanoriさんの考え方が間違いではないことを裏付けるものとして以下の考え方があります。
像は鼻が長い。
右の文は、現在の段階では、「像は」を総主語と判断するのが一般的である。その立場に立つ時、この文は複文と認められる。次のような理由によってである。総主語「像は」に対する述語の部分は「鼻が長い」である。一方、「鼻が長い」という部分では、「鼻が」と「長い」との間に、主語・述語の関係が成り立っている。「像は」と「鼻が長い」という主語・述語の関係に対して従属的に、「鼻が」と「長い」という主語・述語の関係があるところから、複文と認められることになる。(講座日本語の文法2「文の構造について」、昭和42年)
ちなみに「気」という名詞は、
そこにはすさまじい気が漂っている。
のような例が思い付くぐらいで、あまり連体修飾語を伴うことのない名詞です。
私の気が付いた。
のような言い方はしません。文法的には可能であっても。もちろん、
私の気が付いたこと。
となると話は別です。
〔私の〕-〔(気が-付いた)-こと〕
〔私の〕は、〔気が付いたこと〕の連体修飾語ですから。
ありがとうございます。
そう、そう!
私も先日似たようなことを考えていました。
「私の気がつく」なんて言い方は絶対しないですものね!
No.4
- 回答日時:
私も「象は鼻が長い」の文を引用して説明しようと思いましたがNo3の方に先を越されましたので、補足になると思います。
先ずあなたの言われる「私は気がついた。」も 「象は鼻が長い」も同じ範疇の文と考えてよいと思いますがいかがですか。三上章さんは一番わかりやすい文をあてて説明されたので説得力があったのでしょう。「私は気がついた。」はどのような状況で言われたのかはっきりしませんが「ほかの誰も気がつかなかったが、私は気がついた」の意味になります。または「他の人がどうであろうと、私は(特別に)気がついた」「私については」「私に関しては」「私については」という意味になり、私を特別視しています。このような「~は」にあたるものを取り立て詞または主題と言われています(主部ではありません)。「象は鼻が長い」の「象は」も「象について言えば」「象に関しては」の意味になり今から象について述べますよという前置きと考えたほうがいいのではないでしょうか。それから「気がつく」というのを動詞にとの意見ですが、これは助詞の「が」が介在している以上無理でしょう。「きがたつ」「はらがたつ」「くちがたつ」等の慣用句を全部動詞にできますか。
この回答への補足
>「きがたつ」「はらがたつ」「くちがたつ」等の慣用句を全部動詞にできますか。
なるほど、慣用句をすべて動詞として国語辞典に登録しようとすると、大変な騒ぎになりそうですね。
しかし、ちょっと思いだしたんですが、「小さな」とか「大きな」って形容詞じゃなくて連体詞ですよね。
「静かだ」とか「正直だ」とか「真っ青だ」等は、「だ」まで一体で形容動詞ですよね。
なんか、動詞って、連体詞や形容動詞よりも「冷遇」されている感じもしますが...
No.3
- 回答日時:
ごめんなさい。
国語・文学が専門ではない者です。主語・述語 というものが日本語の文に必ずある,という文法を考え直さないといけないかもしれません。
有名な論争に「象は鼻が長い」三上章(1960)くろしお出版 というのがあり,この文の主語は何か(象か鼻か)と話題になりました。
No.1回答にも書かれているように,
「~は」というとき,「~」は主語ではなく主部あるいは提示された話題を示す といわれています。
最近の日本語研究ものでは「日本語に主語はいらない」金谷武洋(2002)講談社 などがあり,日本語において,主語-述語で文のかたちを考える流儀に疑問が出されています。
また,「気」という語は特別で,気が付く の他,気が利く,気が立つ,気が滅入る,気が張る,など sanori さんのお考えのように一つの動詞のように用いられていると思います。
中学生で,これらの点に気づかれ(!),先生と激論されたなんてすばらしいことです。さらに研究をつづけられますように!
理路整然としない殴り書きで失礼しました。何かの参考になりますでしょうか。
この回答への補足
ご提示の「象と鼻」の例も興味深いですね。ただ、この場合は「鼻」が主語のような気がします。「は」という助詞は、ある種の強調の意味で、主語以外の名詞につくときもありますから。
しかし、おっしゃるとおり「象」が主語としても誤りではないですよね。その点、日本語は紛らわしいところがありますよね。(このような場合、述語のなるべく直前に主語がくるように、修飾語等を先に述べてしまうほうが良い、というテクニックを社会人になりたてのころに習ったことがあります。)
No.2
- 回答日時:
どちらかといえばあなたが正しい。
でも先生の主張も間違いとはいえません。主語や述語(文の成分)は、1文節を区切りとして考えます。
つまりこの文は、
「私は/気が/ついた。」という3文節から成り立っています。簡単に考えると、述語は「ついた」となり、「ついた」のは何かと考えると「気が」なので、主語は「気が」で、間違いとはいえません(先生の主張)。
ただし、「気がついた」という言葉は「気が」と「ついた」というふうに分けてしまうと意味をなさなくなる言葉です。「気がついた」という2文節で一つの意味を成している言葉です。
たとえば
「私は/紙を/破いて/しまった。」という4文節の文は
述語を「しまった」だとすると、「(主)私は」「(述)しまった」ということになり、意味を成さなくなります。
つまりこの文の場合は「破いてしまった」という2文節を述語(述部)とすべきなのです。
話を戻しますと、「私は/気が/ついた。」の場合、「ついた」を述語をするのはやはり変。「気が/ついた」という2文節を一つの言葉ととらえて述語(正確には述部)とするのが正しいと思います。
結論:主語「私は」
述部「気がついた」
補足:1文節で「主ゴ」と「述ゴ」にこだわるならば、先生のおっしゃる「気が」が主語で「ついた」が述語で間違いではない。
No.1
- 回答日時:
化学が専門ですが、参考になればと・・・。
「気がつく」の「つく」は自動詞ですから、目的語となるべき名詞句を取ることが出来ません。また「気がつく」というという動詞もありません。
よって主語は「気」、述語は「ついた」となります。
ただし、「私は気がついた」は誤りではありません。
「私は」という部分の「は」は必ずしも主語を示すものではなく、話題の提示などに使われる事があります。
この回答への補足
先生と同じご意見ですね...
だけど「私の腹わたは煮えくり返った」の「腹わた」と「気がついた」の「気」は、どうしても私の頭の中では同じグループの語として理解できません。
市民権を得た単語として「気がつく」という動詞を新規に辞書に載せるべきだと、勝手に思い込んでいます。
だけど、おっしゃるとおり、辞典や文法を調べても、絶対に「気」が主語、「つく」が述語というのが「正しい」らしいのですよね...
私の意見にご賛同くださる学識者さんは、いらっしゃいませんか...
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