個人間(素人間)での金の貸し借りでも出資法、利息制限法が適用されますが、
よくある話の
「来週の給料日になったら倍にして返す。だから今すぐ○○万円貸してくれ。借用書も用意してあるから。」と、借りる側から条件を提示し、双方合意の上でも、貸し付け、請求、弁済の受領をすれば、貸した方が一方的に罰せられるのでしょうか?
普通に考えて、そんな状況で金を貸すようなお人よしのど素人が、出資法、利息制限法を理解しているとはとても思えません。(民法の条文すら読んだ事がないでしょう。)
利息制限法の規定の上限を超えた利息は払わなくても良いのでしょうが、借り手側が提示した条件が結果的にあまりにも酷い利息(暴利)である場合は、出資法違反として元本すら返す必要が無く、逆にお金を用立てた親切な人が、刑事罰を受けるのでしょうか?
極端かもしれませんが、
借りた人→被害者、貸した人→犯罪者
となってしまうのでしょうか?
詳しい方、お暇な時にでも回答願います。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
まず刑事。
出資法違反の罪は成立しうる。知らないことは情状には影響するが、金利が法令に違反し罰則を受けるものであることの認識は故意の内容としては不要である。であるから、金利が出資法に違反していれば出資法違反の罪は成立しうる。ただし、単発的な日常的な少額の個人的貸借関係で実際に起訴はおろか捜査対象となることもまずなかろう。まして、借りる側が条件を決めたとなると、悪質さがほとんどないので、理論上、犯罪の成立を否定すること自体可能かもしれない(その理論的根拠をどう考えるかは問題であるが)。
利息制限法には罰則がないのはよいだろう。
次に民事。
制限利息を超過した場合は、超過分が無効となるだけである。決して、金銭消費貸借契約自体が無効となるのではない。よって、法定の上限金利は受けることができるし、元本も当然返してもらえる。
元本が返してもらえないのは、極めて悪質な場合に、不法原因給付として返還請求を否定するだけなのであって、単発的な日常的個人間の少額の貸し借りでしかも借りる側の条件提示に従っただけで貸す側に違法性の認識すらないような場合に不法原因給付として元本の返済義務を否定することなどない。
専門的な回答がいただけて感謝しております。
ネットを見ていると、グレーゾーン金利、過払い金返還ブーム(既に下火?)のせいか、素人丸出しの上っ面だけの知識が蔓延しているように感じたので、このような質問をさせて頂きました。
金銭問題となると、やれ、出資法違反だ、あなた(貸主)が罰せられる、ヤミ金とみなされ無効、借主には当然に返済義務は無い、と言うようなウソ情報が目につきます。
当たり前の話ですが、大事なことは如何にして正確な知識を身につけるかですね。
このような質問にわざわざお付き合い頂きありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
ちなみに、貸し手に出資法違反の罪が成立する限り、借り手は間接正犯にはならない。
せいぜい、教唆犯、共同正犯である。もし仮に貸し手の犯罪の成立を否定すれば、間接正犯が成立する余地がなくもないが。なお、借り手の犯罪の成否を検討するなら、出資法違反の罪の保護法益が何かを考える必要がある。もしも単なる個人の財産権の問題だけならば、法益侵害を受ける借り手自身には、犯罪は成立しない(例えば嘱託殺人罪で自己を殺すことを依頼した被害者には犯罪は成立しない)と考えるべきだろう。公益的な目的があるのなら、被告人等による偽証教唆のように理論上、教唆等の成立を考えることはできると思う。もっとも、この段落については、ちゃんと検討していないので話半分に聞いて欲しい。
回答ありがとうございます。
No.1様へのお礼の後、間接正犯について考えてみましたが、保護法益の点で、yamato12O8さまがご指摘なさったところに私も疑問を持ちました。
今回の質問は、金貸しを業として行っているならまだしも、素人間(一方は詐欺師かもしれませんが・・・)であるにも関わらず、出資法違反→即犯罪、のようなことが常識(?)であるかのような意見を耳にしたことがきっかけです。
細かい論点は私の様な素人には出る幕はありませんが、非常に参考になる回答でした。
ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
法格言に「法の不知はこれを許さず」というものがあります。
法に反した者が法を知らないと言い訳するのは許さないという意味に解釈されています。もし、知らないなら法律違反は問わないとすると、法律を勉強すると逆に罰せられる可能性が高まってしまうため、法律を知ることは無益だということになってしまうでしょう。それでは秩序が保たれません。
出資法は刑事罰が規定されており、理論的には、出資法の規定を知らない人が相手の言うがままにお金の貸し借りを行ったとしても、同法違反として罰せられることになります。
しかし、検察官が起訴しない限り罪責を問われることはありません。初犯で反省していれば、通常、起訴されることはないと思います。ですから、貸した人が罪に問われることはないでしょう。
もっとも、借りた人が、出資法に反することを知りながら敢えて出資法を知らない人の不知に乗じてお金を借りたような場合、刑法上の間接正犯の理論により、借りた人が犯罪を犯したことになり、貸した人は罪に問われないと解釈することも可能ではないかと思います。
間接正犯の理論については、ご自分でお調べください。
詳しい回答ありがとうございます。
>法格言に「法の不知はこれを許さず」というものがあります。法に反した者が法を知らないと言い訳するのは許さないという意味に解釈されています。
もし、知らないなら法律違反は問わないとすると、法律を勉強すると逆に罰せられる可能性が高まってしまうため、法律を知ることは無益だということになってしまうでしょう。それでは秩序が保たれません。
基本中の基本を忘れていました。まだまだ勉強不足ですね。
間接正犯が成立する余地があるとはいえ、質問文に掲げた様な例は、日常的に行われているでしょうし、額も少額であるため、警察、検察が動くことは稀でしょう。
無知ほど恐ろしいものは無いと改めて感じました。
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