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マグネトロンスパッタリング装置で鉄(Fe)を飛ばそうとしています。
鉄は磁性を示すので放電が起こるかどうか心配していましたが、うまく起ってくれません。
Ar流量、放電パワーはどのくらいが必要なのでしょうか。

どなたかマグネトロンスパッタリングに長けた方、教えていただけないでしょうか。

A 回答 (7件)

ターゲット厚を下げても磁場が出ていないので、放電が立たないと思われます。


通常、シャッターやシールド類は非磁性のSUSで出来ていますので、装置改造などで、極端に極間距離を変えてない場合は放電電圧がちょっと変わるぐらいで、特に問題は起こしません。

磁性体ターゲットのスパッタで万全を期すには・・・
1)カソードの磁石をSm-Coか、Nd-Fe-Bに変える(現状はフェライトが入っています)。
2)バッキングプレートにヨークを備えたものを用いる(同心円状に軟磁性鉄コア)・・・手間がかかる
3)ターゲット製造時に冷間圧延で歪みを入れ、透磁率を下げる(目標20以下)。
→ 裏技として、ターゲット表面に斜めにスリットを入れ、見かけ上の透磁率を下げる。

1)、2)は結構、費用と手間が掛かるので、ちょっとスパッタする程度なら、3)+ターゲット厚さを薄くが現実的。

ターゲットの厚さを薄くするだけでは、鉄ではあっという間にエロージョン部に鋭い穴が開きます。
これはターゲットの厚みのためだけではなく、一旦エロージョンが生じるとターゲット=鉄のコアの一部が欠けることになり、磁場が集中するためです。
ちなみに1)+2)で純鉄ターゲットをスパッタした場合は、5mmのターゲットに半日で穴が開きました(切り目を入れたように鋭いエロージョンが発生)。
飽和磁化の低いNiでは、厚みを薄くするだけで使えましたが、鉄は透磁率を下げないと無理です。

ところで、UBMを使用とのことですが、この状態ではUBMの効果は全く発揮されません(単に装置がたまたまUBMということであれば問題ありませんが)
スパッタはDCですか、RFですか?(おそらくDCだと思いますが)
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この回答へのお礼

回答、どうもありがとうございます。
非常に参考になりました。
今後、検討していきたいと思います。

UBMSを用いているのはそれしか装置がないためでした。ご想像の通り、DCスパッタです。

お礼日時:2012/02/28 19:14

電圧が1000Vを示すのなら異常放電は起こってないようですね(放電そのものが起こっていないようです)。

シャッターを開いた状態ではどうですか?
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スパッタ装置に「トリガ(Trigger)」という機能はついてませんか。

トリガとは、パルス電圧を印加して主放電を誘発するものです。DCパワーが上がってこないとき、トリガを与えると放電が始まることがあります。そのような機能がついていないのなら、tanceさんの回答にあるように、最初だけガス圧を上げてみてはいかがでしょうか(2倍、5倍、10倍など)。

この回答への補足

inara1様

先程、Junyx様に回答させてもらったのですが、現状の装置では何らかの改良をしないと難しいような気がしました。今後の課題にしたいと思います。
色々とアドバイス、ありがとうございました。

補足日時:2012/02/28 19:17
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この回答へのお礼

inara1様

tance様へ回答させてもらったのですが、ガス圧を10倍にしても放電が起ちませんでした。
既にアドバイスいただいたシャッターの件。非磁性のシャッターにすること、またシャッターとターゲット間を広げてトライしてみようと思います。

ターゲット径はφ152です。放電電力は任意の値(0.1~3まで変化させました)で設定しているのですが、何れの設定値においても装置の画面上では電圧が1000V、電流が0Aを示します。過大電流が生じている様子は見受けられないのですが…。

また明日、トライした結果を報告させてもらいます。

お礼日時:2012/02/26 12:11

インピーダンスマッチングは大丈夫でしょうか。

放電開始前と後ではマッチング
条件が大きく違います。

放電開始時だけ一時的にガス流量を増やすと放電を開始し、その後にガスを
通常に戻すと、放電は維持している状態があり得ます。
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この回答へのお礼

確かに通常の金属ターゲットでは放電開始当初と終了間際では放電電圧に変化が見られていました。マッチング条件が変化している証拠なのですよね。

PCVD等で放電が消えてしまったときはArをドーンと投入すると放電が復活することを経験していました。仰る通り、Arを通常の10倍まで投入して確認はしたのですが、放電は起たなかったのです…。

お礼日時:2012/02/26 11:58

うまくいきませんでしたか。

新しいターゲットはそんなに短期間で入手できるのですか(うらやましい)。
シャッターを開けた状態でも放電しませんか?シャッターを開けた状態でも放電しないのなら、シャッターが原因でなく、ターゲットがまだ厚いのが原因ではないでしょうか。使用している磁石のが弱いとターゲットをかなり薄くする必要があると思います。

磁性体ターゲットではないですが、シャッターを閉じると放電が不安定になることはありました。シャッターが鉄だと磁力線の空間分布が変わる(シャッター側に磁力線が引き込まれることになる)ので、もし、シャッターを閉じたときだけ放電が不安定になるのなら、シャッターとターゲット間の距離を大きくするか、非磁性体のシャッターに取り替えるのがいいと思います。

シャッターとターゲット間の距離が20mmということはターゲット径は100mm程度でしょうか。放電が起こらないというのは、DC電圧を印加した瞬間に過大電流が流れ、保護回路が働いて、投入電力が上がらないという症状でしょうか。
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>使用しているターゲットの厚みもそのものズバリで驚きました


6mmというのは私が毎日仕事で使っている非磁性体のターゲット厚です。磁性体が3mmというのも実際にそういうターゲットを使っているからです。ターゲットの直径が小さくても大きくてもその厚さです。この質問はこのままにしておいて、実際に試してみたら結果を知らせてください。
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この回答へのお礼

inara1様

早速ターゲットを薄くしたものを用意して再トライしてみました。
結果はNGでした。放電が起ちませんでした。

私の使用している装置はUBMSです。放電を起てるためにトリガーとなりうるものがあればいいのですが…。1つ気になっていることが、『シャッター』です。鉄製で、ターゲットから20mmくらい離れたところに位置しています。ターゲット表面を軽くプリスパッタ(20秒ほど。設定次第では0秒にすることも可能です)してからシャッターが開く構成です。磁場を考慮すると、このシャッターが何らかの影響を与える可能性があるでしょうか。

お礼日時:2012/02/25 10:50

マグネトロンスパッタではターゲット裏面の磁石から出る磁力線を利用して、ターゲット前面の電子密度を高めているので、FeやNiなどの磁性体をターゲットとすると、磁力線がターゲット内部に閉じ込められてしまうために放電が起こりにくくなります。

それを回避するためにはターゲットを薄くします(ターゲット寿命が短くなりますが)。通常のターゲット厚が 6mm 程度なら、2mm~3mm とすれば大丈夫なはずです。
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この回答へのお礼

回答、どうもありがとうございます。
通常使用しているターゲットの厚みもそのものズバリで驚きました。
早速、薄めのターゲットを作製しようかと思います。

非常に参考になりました。ありがとうございました。

お礼日時:2012/02/22 07:25

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