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問題

[1] [A] 圧力1.01×10^5Pa下での沸点が、69℃のnx[mol]のヘキサン(成分X)と、98℃のny[mol]の
   へプタン(成分Y)の混合溶液の場合、それらの気体の状態を理想気体とみなせば、ある温度
   での成分X と Yのそれぞれの分圧をpx および pyとすると、混合気体の全圧 pは p=px + py
となる。px と pyは、同じ温度でのそれぞれの純粋な液体の蒸気圧pºx と pºyを用いて、この
   溶液の蒸気圧pは次の式となる。

   p=nx/(nx + ny)×pºx + ny/(nx + ny)× pºy (1)

   (i)溶液の蒸気圧が外気圧と等しくなると沸騰が始まるが、(ii)このとき生じた混合気体を
   理想気体とみなし、これを凝縮できるとすれば、混合溶液の分留の原理を理解することが
   できる。

問1 1mol のヘキサン(成分X)と2mol のヘプタン(成分Y)を混合した。
    この溶液を1.01×10^5Pa下で全物質量の50%まで蒸留した。
文章[A]の式 (1)および(i)を参考にして、正しい記述を下の(あ)~(か)からすべて選び、
   記号で答えよ。(それぞれ理由を書いて下さい。)

   (あ) 溶液の蒸気圧は純粋成分の蒸気圧より小さいので、沸点は98℃以上である。

   (い) 溶液の蒸気圧は純粋成分の蒸気圧より大きいので、沸点は69℃以下である。

   (う) 沸点は69℃と98℃の間であり、蒸留開始から終了まで沸点は変化しない。

   (え) 沸点は69℃と98℃の間であり、蒸留を続けると沸点が上昇していく。

   (お) 蒸留開始時に比べ、蒸留を続けるにつれて、沸騰により生じる混合気体が凝縮した
       液体中のヘキサンの割合が増加していく。

   (か) 蒸留開始時に比べ、蒸留を続けるにつれて、沸騰により生じる混合気体が凝縮した
       液体中のへプタン割合が増加していく。

問2 文章[A]の(ii)の例として、問1と同じ混合溶液の蒸留を開始した。沸騰開始直後に発生した
   混合気体中のヘキサンの分圧をpºxを用いて表せ。

問3 問2で発生した混合気体が凝縮した液体中のヘプタンのモル分率をpºx とpºy の両者を用いた
   式で表せ。


以上、よろしくお願いします。

A 回答 (3件)

■問2の解き方


生じた混合気体の物質量は混合溶液の物質量と比べて圧倒的に少ないので、混合液体中の物質量は初めの値に等しい、と考えることができます。

   px=nx/(nx + ny)×pºx

の右辺にnx=1mol,ny=2molを代入すれば、混合気体中のヘキサンの分圧が求まります。


■問3の解き方
凝縮した液体中のヘプタンのモル分率は、発生した混合気体中のヘプタンのモル分率と同じです。混合気体中のヘプタンのモル分率は、分圧の法則により、

   py/p

で与えられるので、これをpºxとpºyで表せばいいです。

■問1の解き方
式(1)からpºy<p<pºxとなることを示すことができます。pºxとpºyは温度によって変わりますけど、どちらも温度の単調増加関数です。69℃ではp<pºx=1.01×10^5Pa、98℃では1.01×10^5Pa=pºy<pであることと、pが温度の単調増加関数であることから、p=1.01×10^5Paとなる温度が69℃と98℃の間にあることが分かります。これから、(あ)と(い)が間違っていることが分かります。

pºy<pºxに注意すると、問3から、混合気体中のヘプタンのモル分率はつねに混合液体中のヘプタンのモル分率より小さい、ということが分かります。ということは、蒸留を続けると、混合液体中のヘプタンのモル分率がどんどん大きくなる、混合液体中のヘキサンのモル分率がどんどん小さくなる、ということです。このことをもとに少し考えると、(う)と(え)のどちらが正しいかと、(お)と(か)のどちらが正しいかが分かると思います。
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この回答へのお礼

どうもたいへん丁寧に説明して頂きありがとうございました。
この問題は北海道大学理系の過去問題です。
難しくて悩んでいました。
お二人の解説と赤本の解説、計三つの解説を前にしてずっと考えていました。
そしてようやく今、理解できました。どちらの方にベストアンサーをあげるべきか、これでまた悩んでしまいました。
それで自分自身としては、貴方の方のほうが分かり易かったような感じがしました。
どうもありがとうございました。
私は受験生です。前期試験は終わりましたが、発表はまだです。
それで今、後期試験に向けて勉強中です。

お礼日時:2012/03/06 16:09

> #1ではp°x>p°yが成り立ちさえすれば(え)(お)が正しいことは出てくるとしています。


> pの表現は使ってはいません。

分かりにくくてごめんなさい。

問3の結果を使っていますので、式(1)は使っています。
問1の解説を後回しにしたのは、(う)~(か)の説明をするのに問3の結果を使いたかったからです。
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これは高校化学のレベルを超えているのではないでしょうか。



混合溶液の成分物質の蒸気圧px、pyの和で混合溶液と平衡にある混合気体の圧力を表すことができるというのはまあ、いいだろうと思います。p=px+pyです。
このpx、pyが純粋な時の蒸気圧とモル分率で表されるというところは特別な場合にしか成り立ちません。
px=p°xnx/(nx+ny)
py=p°yny/(nx+ny)
こういう性質が成り立つ溶液は「理想溶液」と呼ばれています。気体について理想気体が成り立つことを仮定すれば出てくるというものではありません。気体について「理想気体であるとみなせば・・・」というような断りを入れるのであれば「理想溶液」についても断りが必要です。高校の化学ですから「理想溶液」という言葉を持ち込むのは差しさわりがあるでしょう。そうであれば「この溶液の蒸気圧pは次の式となる。」ではなくて「この溶液の蒸気圧pは次の式になるものとする。」とか「ヘキサン、ヘプタンの混合溶液ではこの式がよく成り立つことが知られている」とか、少し表現を変えるべきだろうと思います。

問1 沸点は蒸気圧が外圧(1気圧)を超える温度として決まります。
 沸騰は「気体への状態変化が液体内部からの気体の発生を伴って起こる現象」です。泡が生じます。
 泡の内部の気体の圧力は外圧よりも大きくなっているはずです。境い目は その温度での蒸気圧が外圧に等しいところになります。それぞれの物質の沸点が与えられています。ヘキサンの沸点が69℃、ヘプタンの沸点が98℃ですからヘキサンの蒸気圧の方が大きいことが分かります。p°x>p°yです。蒸気圧の温度変化の特徴は物質が変わっても変わりませんのでこの大小関係は広い温度範囲で成り立っています。
混合溶液の場合、沸点はp=px+py=1気圧 で決まります。
p°x>p°yが成り立っていることを考えると p°x>p>p°y です。 沸点はそれぞれの沸点の間の温度になるでしょう。

沸騰が起こると混合溶液の中のxとyの割合はどちらに変化するでしょう。これが難しいです。
判断の手掛かりになるのは混合気体中(気泡中)でのx、yの割合です。物質量をn'x、n'yとします。
px:py=n'x:n'y
もし n'x:n'y=nx:ny であれば蒸発、沸騰が起こっても混合溶液の組成比は変わりません。

上にあるpx、pyの表現に戻って考えます。
px:py=nxp°x:nyp°y

p°x>p°yが成り立っていますので
n'x/n'y=px/py=nxp°x/nyp°y。>nx/ny

混合気体中のxの割合が混合溶液中でのxの割合よりも大きいですから混合溶液中でのxの割合は減少して行きます。
これでこの蒸気を集めて液体に戻した時のxの割合は元の溶液の中での割合よりも大きくなっていることが出てきます。pが大きくなっていくことも分かります。(え)(お)が正しいことが分かります。

#1ではp°x>p°yが成り立ちさえすれば(え)(お)が正しいことは出てくるとしています。
pの表現は使ってはいません。
でもこの式が成り立たない混合溶液であれば常にn'x/n'y>nx/nyが成り立つとは言えないのです。
混合気体中でのモル分率が混合溶液中でのモル分率と等しくなる場合が起こることがあります。蒸留で濃縮することがそれ以上できなくなります。その時の混合物を「共沸混合物」と言います。水とエタノールの混合物の場合であればエタノールの濃度が96%の時に共沸混合物になります。

上の考察から「理想溶液では共沸混合物は生じない」と言うことができます。
「水、エタノールの混合溶液は理想溶液ではない」と言うこともできます。
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この回答へのお礼

どうもたいへん丁寧に説明して頂きありがとうございました。
この問題は北海道大学理系の過去問題です。
難しくて悩んでいました。
お二人の解説と赤本の解説、計三つの解説を前にしてずっと考えていました。
そしてようやく今、理解できました。どちらの方にベストアンサーをあげるべきか、これでまた悩んでしまいました。
それで自分自身としては、もう1人の方のほうが分かり易かったような感じがしたので決めました。
これだけ丁寧に説明して下さったのに申し訳ありません。
しかし、たいへん感謝しております。

お礼日時:2012/03/06 15:57

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