
シュロモー・サンド『ユダヤ人の起源』という本を読んだところ、「現代のユダヤ人はユダヤ教徒の末裔ではあっても古代ユダヤ人の末裔ではない」と書かれていました。「ユダヤ民族」とは近代の創作だというのです。とても説得力のある論説と思ったのですが、背景となる知識にとぼしいのでいまひとつ自信がありません。
反論が得たくてユダヤ人歴史家の本など読んでみたのですが、聖書の逸話と史実がごっちゃになっていてまったく役に立ちません。
研究者のあいだでどのように受け止められているか、ご存じの方がいらしたら教えていただけないでしょうか。
No.9ベストアンサー
- 回答日時:
シェロモー・サンドの様にユダヤ人は血族的に聖書に出てくるダビデ、ソロモン王国の末裔ではないという説は、実はよくでてきます。
結論を言えば、それを支持する人はほとんどいないし、「キリストは実は存在しなかった」という説と同じくらいばからしい話です。ユダヤ人の団体は彼の説を激しく非難します。そのような説はまわりまわって、ナチスと同じようにユダヤ人迫害につながりかねません。
学術的に言えば、DNA分析から、ユダヤ人の同一性は強く支持されます。
すべての集団の中で地理的にはもっとも広範囲に拡散していた7つのユダヤ人集団(アシュケナジ、ローマ、北アフリカ、クルド、近東、イエメン、エチオピア)が、お互いに隔離されていたにもかかわらず、著しく高いレベルで遺伝的に類似していることが発見されています。さらに、7つのユダヤ人集団のそれぞれは、地理的 に最も近隣の人々より、他のユダヤ人集団との間により高度な遺伝的類似性を持っていました。これらの結果は、ユダヤ民族が単一の先祖集団に由来するもの であることを示唆しています。
しかも、その起源はというと、エチオピアやイエメンのユダヤ人などは間違いなくソロモン王国のころにさかのぼるものであります。
エチオピア系ユダヤ人などは外見ははっきり言って黒人です。アシュケナージと同じ民族とは到底思えません。が、DNA分析をすればこの両者は兄弟のような類似性を示すのです。
ユダヤ人は歴史的になるべく混血を避けるよう教えられているので、このような特徴が保持されたのでしょう。
このようなトンデモ話はよくよく調べてうのみにしないほうが良いですよ。
回答ありがとうございます。
やっと質問にズバリと答えていただける方が現われました。
DNAが同一性を保証しているのならまちがいないと思いますが、可能でしたらその典拠など教えていただけないでしょうか。
あまり無理も申せませんが、できましたらお願いします。
No.10
- 回答日時:
先ほどの回答者です。
先の出典は
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC18733/
などから読むことができます。
とはいっても細かいところはあまり読む必要はなく、「Evidence for Common Jewish Origins.」のところと「abstract」のところを読めば十分でしょう。
ご教示いただき、ありがとうございます。
いまのところ斜め読みしかしておりませんが、異なる民族集団の流入があったとしても部分的なものにとどまるのだと了解できました。
シュロモー・サンドの見解は問題提起にはなっても結論信じるには足りないのだと納得です。
ありがとうございました。
No.8
- 回答日時:
「民族とは何か」を理解していないためにおきる疑問です。
民族とは、社会的集団であり、血族ではありません。
「古代ユダヤ人の末裔ではない」ということと、「ユダヤ人」という民族はいない」ということは、一致しません。
このユダヤ人と言う概念は、ヘブライ人が国を追われた後にできた民族です。
民族とは、血族ではなく、同じ環境、同じ処遇にあっている人達により、形成されるものです。
故国を追われ、放浪生活するなかで、ユダヤ教の教えに従い、ユダヤ教の教えだけを頼りに生活するうちに、形成されていったものです。
民族として、中央アジアに、メスヘティア人という民族がいます。
そのメスヘティア人は、第二次大戦まで、影も形も無かった民族です。
スターリンが、グルジアのメスヘティア地方にいた住民を、中央アジアに強制移住させて生まれた民族です。
トルコ人、アルメニア人、クルド人、グルジア人などからなります。
強制移住させられた人達が、現地のウズベク人やキルギス人との対立の中で、団結し、ごく短期間で形成された民族です。
血縁関係にはない者がほとんどです。
両親共日本人の親であっても、ブラジルで生まれ育った者は、日本民族ではありません。
逆に、両親とも日本人てなくても、日本で生まれ育ち、日本的な考え方をする者は、日本民族となります。
民族は、社会的集団であり、血統は民族とは無関係だということを知っておく必要があります。
ご回答ありがとうございます。
しかし、失礼ながらわたしが知りたいのはシュロモー・サンドの論説が具体的に研究者のあいだでどのように受け止められているのかという情報や、わたし自身が判断するための異なる見解であって、一般的な意味での「民族」の概念をお尋ねしているのではないのです。
どうも書き方が悪かったのかとも反省しております。お手を煩わせてしまって恐縮です。
でも、これはこれで勉強になりましたので感謝!
No.7
- 回答日時:
シュロモー・サンドの『ユダヤ人の起源』も読んでおりませんし、回答する知見資格はりませせんが、常識的に考えても古代ユダヤ人や民族的に人種的にその子孫である人がいま存在するということは考えられませんね。
しかしそういうアイデンティを伝えて来ている方々は、おられるのでしょう。
60年前読んだロマン・ロランの本には、彼がユダヤ系の方にあったときの感想をかいております。
つまり一定の民族的特徴の系統を伝えている方々でしょう。
それも古代という上流から現代という大海原に近い大河では相当に混血し混合しているでしょうが。
しかもそれ以外の側面としては、自己の或いは自己たちという集団のアイデンテティのために、伝えている思考している方々が居られるのですね。
ともかく立派なご回答からのヒントですが、やはり人種、そして民族という文化と言語。そして宗教というような区別したカテゴリーの中で、考えていくことも必要だと痛感しています。以上蛇足ですがご参考に。
No.6
- 回答日時:
ユダヤ人という民族はいます。
鼻高く鷲鼻で、肌浅黒く・・といった特徴を
備えています。
しかし、現在では混血が進み、ユダヤ人と他民族
の区別をつけるのが困難になっています。
それでユダヤ教の信者をユダヤ人と呼ぶように
なったのです。
こういうのは、珍しいことではありません。
日本でもアイヌという民族は存在しますが、
現代では混血が進み、区別をつけるのが困難に
なっています。
EUで話題になっているギリシア人も、昔の
ギリシア人とは民族が違います。
同じ場所に住んでいる、というだけです。
それでも、当人はギリシア文化がどうのこうの
と自慢しています。
中国もそうですね。
漢民族5千年の歴史と威張りますが、そもそも民族も違って
きているし、文化も断絶しています。
No.5のお礼欄にも書きましたが、ちょっと意味が違うのです。
イスラエル共和国の建国理念は、ディアスポラによって失われた故郷に二千年の時を経て帰って来た、というものであり、長大な時を経過してもユダヤ民族はユダヤ民族でありつづけたことを前提としています。
これをたてに彼らはパレスティナの地に建国(征服とも言いますが)したのですから、これが「神話」にすぎず歴史的根拠がないというサンドの主張は、イスラエルにとっては大きな問題提起です。
で、わたしとしてはとても妥当な見解と思えたのですが、その妥当さを客観的に測りたいと思って質問にいたっております。
でも、ご回答は感謝です。ありがとうございます。
No.5
- 回答日時:
まあ日本語の問題ですが、ユダヤ民族が居ないと言うより、ユダヤ人とユダヤ民族は別の言葉と認識するのが適当だと思います。
ユダヤ人はユダヤ人をユダヤ教徒と定義しています。
そういう意味ではあなたもユダヤ教に改宗して受け入れられれば、ユダヤ人です。
一方我々がユダヤ民族と呼ぶ場合血統的な意味ですから、ユダヤ民族の血をひいていれば(古代ユダヤ人の末裔であれば)ユダヤ民族です。
よってユダヤ民族の大半はユダヤ人ですが、ユダヤ教を捨てたユダヤ民族はユダヤ人ではありません。(まあそうなるとユダヤ人はユダヤ民族とさえ認めないのでしょうが。)
一方ユダヤ教にはアラブ系がかなり増えており、彼らはユダヤ人ではありますが当然ユダヤ民族ではありません。
サンドが主張しているのは、現代のユダヤ民族は過去の時代から続いているわけではない、という歴史的な話です。
たとえば中東欧系のユダヤ人はフン族が建国しユダヤ教を国教としたハザール王国の末裔であり、イベリア半島系はフェニキア人を介してユダヤ教を受け入れたベルベル人たちに由来する、というのです。
そして、わたしがもっともおどろいたのは、古代ユダヤ王国の住民たちは王国崩壊後もその地にとどまり続け、ながい歴史のなかで四散流入・混血をくり返しながら、その大多数はイスラム教を受け入れた、というものです。この意味するところは明瞭です。
という主張なので、興味を持たれたらご一読をお奨めします。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
ユダヤ人という民族(人種)はいますよ。
私が留学していたアメリカの大学は学生の4分の1がユダヤ人でした。
生粋のユダヤ人は背格好や顔に特徴があり一目で分ります。もちろん彼等は自分がユダヤ人であることを公言していました。
2000年も世界各国を放浪しながら、ユダヤ人という民族を維持してきたことは驚異的ですが、一方で混血が進んでいるのも事実であり、見た目はユダヤ人に見えないユダヤ人も沢山います。
しかし、彼等はダヤ教を信じて、その教義に基づいて生活している限りは自分達をユダヤ人と認識しています。
ユダヤ教はかなりユニークな宗教で、他の民族がユダヤ教を信じることはほとんどないと思います。
ユダヤ人のすべてがユダヤ教徒であるとはおもいませんが、ユダヤ教徒のほとんどはユダヤ人でしょう。この特殊な宗教のおかげでユダヤ人のアイデンティティが維持出来たとも言えるでしょう。
ユダヤ人を理解したければ、ユダヤ教を勉強してください。どうしてユダヤ人が迫害され、ユダヤ人が生き延びてきたかが分るはずです。
「4分の1」がユダヤ人ですか。それはまた多いですね。
わたし自身は現実の世界でユダヤ人と知り合ったことがありませんので、回答者様の体験がうらやましいです。
ご回答ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
かなり前の読書で得た知識ですので、発音は不確実ですが、一世を風靡したイザヤ・ベンダサンもしくは故・山本七平さんの著作を読むと、ユダヤ教徒=ユーダイオス、ユダヤ人=ユーダイオスで、まったく区別がないそうです。
ですから、山本さんの言い方を借りれば、「現代のユーダイオスはユーダイオスの末裔ではあっても古代ユーダイオスの末裔ではない」という話になって、意味がないということになりそうです。ユーダイオスの末裔ならユーダイオスでしょう。
イスラエルに行って見れば分かると思いますが(私は写真で見ただけ)白人もいるし、黒人もいるし、日本に来たユダヤ人人類学者は「ユダヤ人の顔をした人間がたくさんいる!」と驚いたそうですので、黄色人のユダヤ人もいるのでしょう。
まあ、それも聖書に書いてある話だということになるかもしれませんが、ユーダイオス12部族のうち10部族はパレスチナを去って東へ行ったそうですので、そこで混血してれば当然黄色人種の血が濃くなっていることでしょう。
興味があるなら山本さんの本を読んで確認して頂きたいですが、20世紀になってエチオピアでハッキリとした黒人のユダヤ人を「ユダヤ人」とイスラエルが公認したのは事実のようです。
そんな具合ですから、「血」というかDNAというか、肌の色、顔つきなどから、「ユーダイオス」を限定することも、古代ユーダイオスとの判別も困難だと思います。
まあ回答者の考えを詳しく述べろというご質問ではないので、「山本七平さんは、現在のユーダイオスは古代ユーダイオスの子孫だと考えていらっしゃったと思う。彼の著述は客観的なものだったように覚えていますので、ぜひご一読ください」と書いておきます。
ただ、モーゼの時代のような事を書こうとすると、どうしたって聖書などに書かれている話を元に、史実らしいもの(史実を示唆するもの)とそうでないものを選り分けるという作業を欠かせません。
それを「逸話と史実がごっちゃになっている」と言われると、韓国人のように、史書もなにもないところから好きなように史実を妄想するしかありません。
モーゼやキリストも韓国人の血が混じっているとか、漢字も日本の武士も韓国人の祖先が作った、という話にならざるをえません。記録・束縛がないからなんとでも言える。
しかし、日本の古代を研究しようとすれば魏志倭人伝や古事記などの束縛を免れませんし、ユーダイオスの古代を研究しようとすれば聖書類の束縛を免れません。
そのあたりは覚悟の上、ご一読ください。
なお、ベンダサンの「日本人とユダヤ人」は一読の価値があると信じております。
ご回答ありがとうございます。
山本七平はこれまでずっと避けておりました。しかし、ひとつの時代を築いた方ですから、これを機会に読んでみます。
機会を下さり感謝です。
No.1
- 回答日時:
「現代のユダヤ人はユダヤ教徒の末裔ではあっても古代ユダヤ人の末裔ではない」は常識ですけど。
現代イスラエル国民は必ずしも全員が古代イスラエルの末裔とはいえないという意味です。古代イスラエルと無関係なユダヤ教に改宗した諸民族も混じっているという意味です。ただそれは歴史的に明らかにされたのではなくて遺伝子研究によって、そう推定できるといった話です。というのはユダヤ人は、あちこちの都市にコミュニティを作って生き延びてきたけど統一国家を近代に至るまで形成できなかったので、ユダヤ人のまとまった歴史書は何も存在しないからです。ユダヤ人歴史家といってもユダヤ人の通史を研究対象とすることは無理がある。どうしても聖書の時代から、いきなり近現代にジャンプしてしまう。何よりもナチスによるホロコーストを研究し、イスラエル建国を正当化しようという政治的目的が歴史研究の最大テーマとならざるを得ないというわけなのです。このテーマは歴史学ではなく、遺伝子学や政治学のテーマであるといっても間違いではない。というのは、「現代のユダヤ人はユダヤ教徒の末裔ではあっても古代ユダヤ人の末裔ではない」を強調してしまうと、それはイスラエル建国の正当性を否定してしまうことになるわけです。『ユダヤ人の起源』は必ずしもそれを主眼とした論文ではないが、そう受け取ってしまう人もいるわけです。シュロモー・サンドが現れるまでのユダヤ人歴史家の主眼は、ユダヤ人古代イスラエル末裔神話を唱えてイスラエル建国を正当化することだった。しかし、それは歴史学といえるのだろうか。そういう問題提起をしたのが『ユダヤ人の起源』なのです。質問に対する直接の回答にはなっていませんが、背景となる知識として、そういう風に理解したほうが良いのではと思います。
この見解が常識化しているとは知りませんでした。わたし自身は20年ほど前に聞いたのですが以来やりすごしておりまして、このたびちゃんと読んでみたらおどろいた、という次第です。
>どうしても聖書の時代から、いきなり近現代にジャンプしてしまう。
→二、三冊しか読んでいませんが、これはほんとうにそうみたいですね。
サンドの本は一ユダヤ人の歴史にとどまらず、「民族」を考えるうえでなかなか考えさせられるところの多い好著だとは思いました。
ご教示いただきありがとうございます。
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