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Haagの定理によれば、場の量子論は自由場の理論以外は無意味になってしまう様に思えますが、これを回避する方法はあるのでしょうか。

gooドクター

A 回答 (5件)

>Haagの定理は計量の正定値性は使ってないと思います。



ノルムの正定値性はかなり強い条件という第一感があるので、
え、本当?と言うのが、まず私の感想なのですが、
きちんと勉強していないのでひょっとしてそうなのかも知れません。
しかし、Haagの定理で「ヒルベルト空間」と言っているときに、
正定値内積を持つこともその定義に含まれていたりしませんか?
Wightman関数の諸性質の証明に使っているように思いました。
Haagの定理の証明はそれらに基づいているのではないですかね。
例えば、 Bogoliubovの「場の量子論の数学的方法」の
補題5.4.1は内積の正定値性を使っているように私には見えました。
ひょっとすると変なことを言っているかも知れません。
私の勘違いならご指摘下さい。


>Haagの定理は一般的な仮定だけから悲観的な結論が導かれることから衝撃的であったわけですが、このうちどの仮定がきつすぎるのでしょうか。

私も確信をもって言っているわけではないのですが、
まず、ゲージ理論を考慮すれば、上の正定値性の点が1つ、
また、
「ある時刻でψ1とψ2はユニタリ変換で結ばれる。」
のユニタリ変換は、「きちんと定義された」ユニタリ変換でなければならないわけですが、
通常、相互作用描像に基づく摂動論で考えているユニタリ変換は
U(t)=exp(iHt)exp(-iH_0t)で、t->∞
としたもので、そもそも、そんな演算子はHaagの定理が仮定している状況下で
「まともな」ものなのか?ということ、
さらには、繰り込み理論では、
HやH_0は∞の係数を持ったものなので、
こんなものは、おそらく、「きちんと定義された」ユニタリ変換ではないのではないか?
ということです。
「きちんと定義された」の意味を曖昧にして話しているので、
感覚的な議論になって申し訳ないのですが。

従って、中性スカラー場の場合のような正定値な場に限っても、
通常の相互作用描像に基づく定式化が無意味なものとなってしまうか否かは
どうなのかな?と言うのが私の感想です。
少くとも、Haagが考えた状況下では、否定的な結果が導かれるのだと言うことは
正しいのでしょうけれど。
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この回答へのお礼

御回答ありがとうございます。正定値性を使っていないと言ったのは私の不注意でした。補題5.4.1で∥jΨ∥=0からjΨ=0を導くには正定値性が必要だと思います。ただ、不定計量の理論でも物理的な観測にかかる部分は状態ベクトルのノルムが正になる様にするのではないかと思うのですがいかがでしょうか。江沢洋、新井朝雄「場の量子論と統計力学」によると「無限体積極限をそのまま取ったのでは発散しうまく行かない。これはHaagの定理と関係している。」というようなことが書いてあり、これがヒントになるのではないかと思いますが、不勉強でよく分かりません。

お礼日時:2004/02/19 23:22

「この中間状態(Σ|All><All|)に負計量状態は<零ノルムでしか>現われない」



はちょっと意味不明ですね。

「この中間状態(Σ|All><All|)に負計量状態は<零ノルムになるような組合わせでしか>現われない」

に訂正しておきます。
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>ただ、不定計量の理論でも物理的な観測にかかる部分は状態ベクトルのノルムが正になる様にするのではないかと思うのですがいかがでしょうか。



正値計量空間をどのようにして作るかを考えると、
おそらくダメだろうと思われます。

まず、不定計量を扱う処方箋は大きく分けて2通りあると思います。

1つは、
適当なゲージ(例えばQEDで言うと coulomb gauge ▽・A=0)の下では、
ベクトル場の4成分のうち横波2成分のみを独立成分にとれ、
他の2成分をこの横波成分で表すことができるので、
理論をこの正定値計量をもつ横波のみで書き、それを量子化するというものです。
この場合、確かに正定値計量をもつ空間になるのですが、
ローレンツ不変性を壊すのでアウトです。

もう1つは、
共変的量子化であり、それは、BRS量子化と言い換えてよいと思いますが、
この場合、物理的空間を
Q_B|Phys>=0
で定義し、ヒルベルト空間をこの空間に制限します。
この場合、ローレンツ不変性は保たれますが、この|Phys>は、
<Phys|Phys>≧0
であっても、非退化ではありません。
つまり、零ノルムベクトルが存在するので、
<∀ PHYS|Phys>=0
でも|Phys>=0とは限りません。

BRS量子化についてもう少し補足しておきますと、
一般に、負計量をもつ状態ベクトルも含めて初めて完全系を成すので,
勝手にベクトル空間を制限したらユニタリー性が問題になるわけです。
例えば、理論を上の|Phys>で張られる空間に制限する場合、
S行列のユニタリー性
SS^+=1
が問題になります.
Sは、ハミルトニアンをエルミートにとれば
負計量を持つ部分も含めた全空間においてエルミート演算子になるので,
上の行列要素は,|α>|β>を物理的状態として,
Σ<α|S|All><All|S^+|β>=<α|β>
であるわけですが,
「この中間状態(Σ|All><All|)に負計量状態は<零ノルムでしか>現われない」
というのが、BRS量子化のミソです。

まず、非退化内積であることが壊れるだけでも
相当の制限になるのではと思います。
しかし、それが問題にならなかったとしても、
だからといって,公理論的な議論にこの結果を単に接ぎ木するというのは,
そもそも,公理論的場の理論の精神に反するのではないでしょうかね.
それに,BRS処方は一般に(非可換ゲージ場の場合)ゴースト場を含みますし、
グラスマンの場の関数空間というのが
数学的にしっかりした基礎づけがあるかも不明です.(あるのかもしれませんが)

公理論的精神をまっとうするなら,
不定計量をもつ場合に、
どのように正定値計量空間をとりだし、
かつ,それがなす部分空間においてS行列がきちんとユニタリーになることを,
公理論的立場から言わなくてはならないのでしょうが,
特定のモデルを持ち込まずに,ローレンツ不変性その他の抽象的,
かつ,数学的にrigorousな議論から
そんなことが言えるとはちょっと考え難いです。
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この回答へのお礼

御回答ありがとうございます。計量の正定値性はともかく、KENZOUさんへのお礼にも書いたことですが、ユニタリ同値でないとかなり困ったことになるのではないでしょうか。相互作用描像でいくら実験と一致する結果が得られてもそれがHeisenberg描像の理論と一致する保証はないということですから。無限自由度は本当に難しいと感じています。

お礼日時:2004/02/22 20:11

公理論的場の理論はほとんど実りがないままポシャった理論という先入観から


ほとんど勉強していないため、しゃしゃり出てくるのも気が引けるのですが、
下のKENZOUさんの回答にある

>Haagの定理の前提がきつすぎて(中略)
>前提が実際には成り立っていない

で、回答になっているのではないですかね?

Haagの定理の前堤はどれだけ「正しい」のでしょうか。
考えている関数空間がきつすぎるということはないでしょうか?
負計量空間でも成り立つのでしょうか?
くり込みも考慮している話なのでしょうか?
(繰り込み理論では,交換関係は繰り込まれた場に関して与えられ,
繰り込み定数は発散していますから,扱う場は非常にsingularな場です.)
もともと,ゲージ場の量子論等でやっている操作はいろいろとsingularな所があるので,
その性質を公理系が捕らえ切ってないということはないのでしょうか?
ざっとHaagの定理の話を読んでみてこの点が私には気になりました.
(#1のお礼に引用されている話が「回答」になっているかどうかは私には不明です.
むしろなっていないように思います.)

私としては,
量子電気力学やWeinberg-Salam理論やQCDで行われてきた計算が正しい
物理的予言を与えているのだから、
このことからむしろ逆に、Haagの定理が自然に対して不遜な仮定を施していると考えたいです.

ただ,QEDせよ,たとえ繰り込みにより摂動の各次数で有限にできたとしても,
それが収束するのかどうか等,数学的にまともなことをやっているのか否かに関しては
決定的な議論は未だなく,「なぜかうまくいっている」というのが現状だと認識しています.

p.s.
「Schwingerの作用原理と摂動論」では回答が尻切れになってすみませんでした.
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この回答へのお礼

御回答ありがとうございました。Haagの定理の仮定を書くと、
1. ヒルベルト空間H1, H2に属する既約な場の演算子ψ1, ψ2があり、理論は固有ポアンカレ変換の下で不変とする。
2. ポアンカレ変換の下で不変な真空がただ一つ存在する。
3. ある時刻でψ1とψ2はユニタリ変換で結ばれる。
Haagの定理は一般的な仮定だけから悲観的な結論が導かれることから衝撃的であったわけですが、このうちどの仮定がきつすぎるのでしょうか。Haagの定理は計量の正定値性は使ってないと思います。計量の正定値性を使うのはスピンと統計の関係の定理でしょう。

お礼日時:2004/02/17 02:07

ご質問がかなり深刻な問題のように思えましたので、以前少し御世話になったことのある先生に聞いてみました。

その返事をご参考までに載せておきます。尚、この件についての追加質問等はご容赦ください(←私自身よく分かりませんから^^;)。Bogoliubov et al. の「場の量子論の数学的方法」(東京図書)に「回答」も書いてあるようです。

    -----------引用-------------

Haagの定理の前提がきつすぎて、摂動論のベースとなる相互作描像の漸近場(=自由場)とHeisenberg場がユニタリ同値になってしまう、という問題だと思います。「回避」ではなく、前提が実際には成り立っていない、といった方が良いかも知れません。私が見たのは、Bogoliubov et al. の「場の量子論の数学的方法」(訳書が東京図書から出ています)ですが、そこに「回答」も書いています。今やユニタリ非同値の例は多く知られていますし、厳密に解ける相互作用のある場の理論も知られています。(現象論的にはおもしろくないですが。)
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この回答へのお礼

御回答ありがとうございます。お礼が遅くなって申し訳ございませんでした。ボゴリューボフの本から引用すると、
「相互作用する場の理論においても物理的真空を持つFock表現を取り出せると仮定できるかもしれないこの物理的真空は時間が経っても変わらないものでなければならない。ところが実際にはこのようなことは不可能であり、交換関係の奇妙な表現(無粒子状態が存在しない表現)を用いなければならないことをHaagの定理は示している。」
これは「場の量子論のすべてがダメではないかもしれないが、少なくともFock表現と相互作用描像を基にした通常の摂動論はダメである。」ということではないでしょうか。ユニタリ非同値な表現があると言うことは解決ではなくて、よけい深刻な問題を引き起こしそうに思えます。表現がユニタリ同値でなければ、表現によって物理的結果が変わる可能性がありますから、何らかの基準で適切な表現を選び出す必要があります。Heisenberg描像と相互作用描像のどちらが適切なのかと考えると、相互作用描像は自由場と同じになってしまうし、斬近的自由場と言う概念も怪しいから不適切なのは相互作用描像の方だということになるでしょう。すると、これまで量子電気力学やWeinberg-Salam理論やQCDで行われてきた計算は(格子ゲージ理論を除いて)すべてダメだということになりませんか。

お礼日時:2004/02/11 22:02

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