A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
こんばんは夜分遅くに失礼します。
先日の追記になります。「白文」といっても、史料の原本には返り点などが振られていないケースも多々あります。日本の史料に返り点が送られたのはいつ頃からかと申しますと、注釈本の誕生を待つことになります。つまりは古くは奈良時代の末期から平安時代であり、殆どは鎌倉時代以後の話になります。
それはなぜか。『律令』の官選注釈書が『令義解』であるなら、民間の注釈書は『令集解』である。そしてこの後者は様々な注釈書を網羅する性質の書物であり、テクストとしては『朱記』『古記』『穴記』などの諸本が当時既に流布していたこともわかる。
そしてそれらの諸本ならびに注釈書群を更に整理し編纂したのは鎌倉時代の『法曹至要抄』や『類聚符宣抄』などのやはり注釈書ということになる。
注釈書はあるテクストに対する検証を行うとの性質から始まることを鑑みるならば、先ずは「原史料をどう読むか」との作業から全てを始めることになる。
となれば、この時点で返り点を編纂者が校訂作業の一貫として始めることと同じである。こうした形で刊本として刊行されている史料を読む時に「この史料の編纂者はオリジナルをこの様に読んだ」「それを活字本として刊行した人物はその一次翻訳を手掛かりとして、オリジナルを読み返してみた」。この時点だけで「一つの史料に対し」既に三人の読み方があることになります。そして質問者様を含めれば、オリジナルに対し最低限四人の読み方があることとなり、「何れが正しいのか」などは準備段階以前の問題となります。「こう読んだから、この様な解釈になる。したがって、この史料から自分が問題提起するのは以下の問題になる」とり論理構造を有する形となります。「正しい」などは「答は一つしかない」と考えている紋切り型の学校秀才の発想でしかなく、それは学問を探究する者にとっては害毒でこそあれ、本質的な学究姿勢からは対極の位置にあるといえます。
最初から白文を読みこなすのは骨の折れる作業です。しかも中国漢文のルールをそのまま適用するなら、日本漢文の殆どは読むことなどできません。それは白文を読み下す時点で、既に翻訳作業を試みているからとの前提になります。
所謂「漢文」は漢語を和語で読む時に、どーすりゃいいのとの話です。日本語で読まねば意味もありません。『唐詩選』の作品群を平仄抜きで読むことと、平仄に重点を置いて読むのでは、この文芸作品群を研究することと恃むとの違いも生じます。
史料の言葉ならば、記載する段階で多少のルールを無視していても問題はありません。その史料がたとえば法令等だったならば、規範や通達としての意義を伝えることでその役割を十分に果たし終えていることになります。それをテクニックや技法に重点を置いて読んでしまうと、肝腎な部分を見落としてしまう可能性も十分にあり得る話です。
幕末、ペリーが浦賀に来航する前年、彼は琉球で同じく開国を求めてきました。その時の通訳が板良敷朝忠という人物です。でも琉球言葉と英語の間で、よくコミュニケーションを取ることができたと疑問をお感じになりませんか?
この板良敷朝忠は清国との交易関係の窓口を務めていた人物でもある。つまり彼は当時の中国語で遣り取りするだけの素養もあった。そして清朝はアヘン戦争で開国を余儀なくもされ 、それ以前からも西洋列強との交渉窓口もある程度は開けていた。そうした状況下で、「琉球語←→日本語」「琉球語←→中国語」「中国語←→英語」といった語学のチャンネルを持ち合わせることにもなっていたとの前提があることにも気付きます。
漢文でも「教典」は元々サ古代インドのンスクリット語を漢語として理解し易いことを意図して、わざわざ漢語だけの文章で置き換えようとした。それを今度は漢語←→日本語に翻訳した形で、日本国内で通用させるように工夫しただけの話になります。耳から入る音声記号から、読む時の記号へと漢字の意味も変化します。この部分を頭の片隅にでもおいておくことをお勧めします。聴いて解ることと読んで解ることでは言語の意味が異なります。意味を伝えるための手段の一つが音声でもある。
そうした部分に少しだけ枠をとっていただければ、幾分かは読みやすくもなるはずです。
No.1
- 回答日時:
こんばんは夜分に失礼します。
院試の出願領域(専攻)はどちらでしょうか。日本史学ならば、史書を読むためのトレーニングが必要です。そのためには吉川弘文館から刊行されている『日本古代史を学ぶための漢文入門』池田温著をお勧めできます。また漢文の基礎的な講読であれば、明治書院の『新訳 漢文大系』から『戦国策』などをお読みになっていても損はありません。
もし質問者様が日本文学や中国文学の領域を志し、学部時代に心許なかったのであれば、受験参考書として定評のある、洛陽社刊『漢文研究法』をお勧めします。70年代半ばに大学受験を経験した僕の頃からのロングセラーとして定評のある参考書です。
また前出の明治書院は漢文教科書の版元としても知られていますので『漢文訓読入門』もお勧めできます。院試がんばってください!
経済学を専門としたものの、その後は捻れに捻れて社会人枠で文学部に学士編入し、その後も歴史学(日本中世史)の道に脚を踏み入れ、企業勤務と歴史教育の二足草鞋にズブズブになっている、ヘンなおっさんからの茶飲み話でした。
なお漢文はリズムで読むことも大切ですので、音読されることもお勧めします。
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