民事訴訟で、訴状の中に記載する「請求の原因」の中に、法的根拠として、民法第〇〇〇条の権利を害すると入れる場合、複数の法的根拠を記載して構わないでしょうか?
例: 住宅の奇抜な外壁塗装が隣家に何らかの好ましくない影響を与えているような場合、原告が請求の趣旨に(1)塗り直し、及び、(2)損害賠償請求を求める場合、
1、人格権の侵害・・・・・・としての不法行為、と
2、建物所有権(民法第〇〇〇条)の妨害・・・・・としての不法行為
の二つ(複数)の法的根拠を請求の原因の中で主張してよいのでしょうか。それとも、ひとつの条文による法的根拠(単独の法的根拠、上記1又は2のどちらかに絞って)、主張した方が良いのでしょうか?
実際の訴訟ではどうなのでしょう?
回答、よろしくお願いいたします。
No.1
- 回答日時:
法務部で民事を沢山経験し個人でも民事を3件経験した者です。
1と2は彼方が上申書や告訴状で主張するなら それはそれで良いと思います。
ただ、どれだけ近隣の皆さんも迷惑しているかの実態を別の「陳述書」で何枚用意出来るかも
裁判の判決に左右して来ます。
つまり裁判長は、個人の意見よりどれだけ奇抜な塗装が近隣の住民に被害を与えているか・・
そちらの方も重視してきます。
何故なら「住宅の奇抜な外壁塗装」とは主観でしかないのです。
例えば、毎日全身ピンクの服を着ている人に着換えろと言っても「主観」でしかなく如何に迷惑や精神的被害を
受けているかを立証せねばなりません。
賛同してくれる人が多ければ多いほど効果はあると言う事です。
それとその件で有名な裁判は「梅図かずお氏」の自宅の塗装変更や改築裁判が有名です。
その中で近隣の住民がどのように戦いどの様に和解して行ったかが非常に参考になります。
同時に同様の裁判は日本全国で起きています。
暇を見つけて傍聴に行くのが必勝法だと思います。
No.2
- 回答日時:
>複数の法的根拠を記載して構わないでしょうか?
かまいません。
ただし正確に書くと、結論(請求の趣旨)があって、理由(請求の原因)があるわけでなく、理由があって結論があります。そのため、本来理由が複数あれば複数の訴訟になるところ、便宜的に1つの訴訟で行うだけであり、これを「訴えの客観的併合」といいます。
訴えの客観的併合には種類があり、両立しうる複数の請求を単純に併合し、すべての請求について判決を求める場合を「訴えの客観的単純併合」、複数の請求のうち、どれでもいいからどれか一つを認めて欲しい場合を「訴えの客観的選択的併合」、両立しえない複数の請求に順位をつけ、優先してほしい請求が認められない場合に、次順位の請求をする場合を「訴えの客観的予備的併合」といいます。
例えば、Aの所有する動産甲を、Bが無断で利用し利益を得たとします。この場合、AはBに対して、民法709条に基づく不法行為による損害賠償請求もできますし、民法703条に基づく不当利得返還請求もできます。
そして、これらはそれぞれ要件もちがいますし、その効果も異なります。前者であれば、相手方に故意又は過失が必要であり、裁判所に認めてもらうのは後者よりも通常困難のはずですが、その代わり、損害賠償の金額は恐らく大きくなるはずです。(細かい話をすれば、時効の期間もかわる)
質問文の例ですが、住宅の奇抜な外壁塗装が隣家に何らかの好ましくない影響を与えているような場合に、人格権の侵害及び建物所有権の妨害による損害賠償請求をするのであれば、訴えの客観的単純併合であり、前者については●万円、後者については●万円、合わせて●万円を支払え、ということになるはずです。
(ただし、当該事例において、人格権の侵害又は建物所有権の妨害が認められたとする判例は存じ上げませんが・・・。景観利益の侵害を求めるのが通常ではないかと思います)
この回答への補足
>人格権の侵害又は建物所有権の妨害が認められたとする判例は存じ上げませんが・・・。景観利益の侵害を求めるのが通常ではないかと思います
人格権の侵害を法的根拠と考えたのは・・・・・
他の例えを出すならば、近隣の騒音被害とか、ペットの悪臭・鳴き声、迷惑行為としての野良ネコへの餌やり、「模図かずお邸」のような塗装等がそれに該当するのでは?というのがあったからです。
一方、質問の事案(事例)では、被告の建物の外壁の色、塗装仕様が原告の店舗に太陽光で反射し異様な色に染め上げ、なおかつ、商品の売り上げ低迷につながった・・・という事案があり原告勝訴した判例が過去にありました。
建物所有権の侵害(妨害)でいうと・・・・・
太陽光パネルの反射光が隣家住人の生活妨害になっており、それが所有権を侵害していると第一審で認められた事例(事案)です。
「・・・・・・・とする判例は存じ上げませんが・・・。」とありましたので参考まで。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>実際の訴訟ではどうなのでしょう?
と言うことですが、元々、請求原因は、事実関係を記載すればよく、法的根拠の記載は必要ないです。
法的根拠は裁判所が判断することなので、原告の主張すべき性質ではないです。
例えば、貸したお金の返還訴訟で、その請求の原因は、
1、原告は被告に対し次の約定により金銭を貸し付けた。
(貸金日、貸金額、返済日、利息等省略)
2、被告は、上記返済期日を経過したが返済がない。
3、よって、請求の趣旨記載のとおり判決を求める。
とすればいいので、「民法597条に基づいて返済を求める。」
と言うような法的根拠の記載は必要ないです。
なお、裁判所の判決は、事実関係を認定し、その認定により法令に照らし判決するのです。
この回答への補足
少し疑問が残ったのですが、
回答にあるように、貸金とかのように契約書など書証があるような争いのない事案なら、「民法597条に基づいて返済を求める。」と書かなくても良いというのは良く分かったのですが、犬の鳴き声騒音とか、迷惑な野良猫への餌やりを止めさせ、且つ、損害賠償も同時(同一訴訟)に求めるような判決を望む場合、
請求の趣旨の内容としては・・・(1)709条不法行為に基づく損害賠償の請求と、(2)平穏・円満な生活における迷惑行為(犬の鳴き声騒音、野良猫への餌やり)に対する生活妨害排除請求(犬の飼育場所移設、野良猫への餌やり禁止)になるのでは?と思うのですが・・・。請求の原因の中では、特に「民法〇〇〇条に基づいて・・・」という法的根拠を引き合いに出さなくてよい、ということですよね?
また、損害賠償請求については、上記に述べた<A>709条と、条文には見当たらなさそうな<B>人格権、この二つが考えられると思うのですが、
質問の趣旨である、「複数の法的根拠」を書かなくても、それも、
●裁判所が判断することなので、原告の主張すべき性質ではない
●裁判官が事実関係を認定し、その認定により法令に照らし判決する
ので、<A>or<B>どちらも引き合いに出して主張しなくてよい、ということでしょうか?
お世話になります。
忙しい折、早朝よりお時間頂き恐縮です。
>元々、請求原因は、事実関係を記載すればよく、法的根拠の記載は必要ないです。
法的根拠は裁判所が判断することなので、原告の主張すべき性質ではないです。
質問趣旨への明瞭な回答、有難うございます。
(No.2様の補足へ「模図かずお邸」と記載しましたが、誤字でした。この場を借りて「楳図かずお邸」に訂正します。失礼いたしました。)
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