A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
とりあえず、ある程度の医療知識がお有りとの前提でお話しさせていただきますが、説明がわかりつらい点につきましてはその都度ご質問いただければ幸いです。
さて、まず構造的な違いについてですが、ジャクソンリースとアンビューバックの違いは、自分で膨らむか膨らまないかという点にあります。アンビューバックは外気を吸い込んで自分で(勝手に)膨らむような構造になってます。これは、酸素の供給が無くても(空気で)人工換気ができるという点では優れた方式です。一方、ジャクソンリースのバックは、酸素(や、酸素混合ガス~いわゆる「フレッシュガス」)の供給が無ければ膨らみません。で、通常は患者の呼気とフレッシュガスが合わさってバックが膨らむのですが、マスクの保持や気道の確保(下顎挙上など)が上手く出来ないと(呼気の漏れがあると)、フレッシュガスのみでバックの膨らみを充分維持することが困難な状況になります。しかし、これは裏を返すと自分の換気が適切かそうでないかが一目瞭然になるわけで、ジャクソンリースはその点で使い手を選ぶデバイスといえます。
さて、器具を用いた用手人工換気においては、空気を単に押し込むだけでなく、その時の圧力(抵抗)や、呼気の戻り具合が病態に対するひとつの大きな情報となります。しかし、アンビューバックではそれらの情報はほとんど得られません。バック自体の厚みもあって感覚がわかりづらいですし、また自分で膨らむというシステムも足かせとなっております。一方ジャクソンリースのバックは麻酔器のバックとほとんど同じものですので、そういった(重要な)情報が余すところなく得られます。使い方によってはPEEPをかけた用手人工換気を行うことすらできます。
使い分けですが、重症の呼吸器疾患の場合は、ジャクソンリースの方が良いと思います。アンビューバックもリザーバー(袋だったり管だったり)を装着して、充分なフレッシュガス流量が流れていれば吸入酸素濃度自体は比較的高く保たれる傾向がありますが、ジャクソンリースの方がより高濃度の酸素を供給できます。また、肺や気道の状態が悪くて換気に高い圧を必要とされる時に、リリーフバルブの付いたアンビューバックでは押し込んだ吸入気がリリーフバルブから逃げて、実際には換気が出来ないという事もありえます。その点、ジャクソンリースの方は吸入気を押し込む圧力を(出来る人は)自分の手で確認できますし、呼気の戻り具合を感じることでどれだけ吸気をさせられているか(いわゆる一回換気量)も判ります。逆に使い手や使用状況の条件を整える事が出来ない救急の現場では、アンビューバックの方が確実に使用できると思います。
以上、先ずはご参考まで。
この回答へのお礼
お礼日時:2004/05/12 21:01
大変細やかな解説をありがとうございました。
教科書にも詳しい違いが載ってなくて困っていました。また、初歩的な質問をさせていただくとは思いますが今後ともよろしくご指導下さい。
ありがとうございました。
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