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高校の物理で習うma=Fというニュートンの第2法則ですが、
これを微分方程式m・d^2r/dt^2=Fで解くと何がより分かるように
なるのでしょうか?
またこれ以外にも微分方程式で解くことによる利点を教えて
頂けないでしょうか?

よろしくお願いします

A 回答 (6件)

 高校物理では等加速度運動に限定するため、ma=Fという式をよく用いますが、ご承知の通り、それは微分方程式m・d^2r/dt^2=Fの特別な場合です。



 m・d^2r/dt^2=Fは、実は物凄い式です。Fも時刻変化するため、m・d^2r/dt^2=F(t)と書いておいた方がいいかもしれません。また、速度vも考えると、m・d2v/dt=Fです。なお、vもrもベクトルです。

 その式が何を意味しているかといえば、「質量mの物体と位置、物体にかかる力の関係式」ということです。つまり、どんな時刻でもいいので物体の位置が分かり、物体にかかる力がどんなものか分かれば、物体の運動を無限の過去から未来永劫に渡って知ることができる、ということです。

 物体にかかる力は、直接の接触、重力、電磁気力しかありません(ただし、ニュートン力学や電磁気学のマクスウェル方程式が最終的な真理と思われていた19世紀末頃の知見)。それらは、質量や電荷が分かればどれだけかは厳密に確定します。つまり、どんなときにどれだけの力を及ぼすかは分かるわけです。

 そうすると、「どんな時刻でもいいので、全宇宙の粒子の種類と位置さえ分かり、無限の計算能力があれば、宇宙全体を無限の過去から永劫の未来に渡って知ることができる」ということになります(そうできる存在を想像して「ラプラスの悪魔」と呼んだりする)。

 そのことを言い換えると、この宇宙で起こることは全て確定している、宇宙のどこでも、いつでも、どんなことが起こるかは、宇宙が誕生したときに全て決まっている、ということになります。

 こうして回答を書いているのも、質問者様が疑問に思って質問されたことも、宇宙誕生のときから決まっていた、ということです。そうなっているという考え方を「決定論」と呼びます。

 微分方程式m・d^2r/dt^2=Fは、そういうことまで言っている式なのです。

 微分方程式による物理学は、電磁気学で威力を発揮しました。電荷の間に電磁気力が働く、という考え方を遠隔作用説と呼びます。微分方程式ではない簡素な式で物理現象を記述できます。それを「電荷の周りに電磁気的な場ができる」と考えるのを近接作用説といい、微分方程式による記述になります。

 遠隔作用説では説明できないことがあったり、電磁波の数学解も出て来ませんでした。近接作用説に則り、微分方程式で記述し直すと、電磁波の数学解が出てきて、実験してみると電磁波が発見されました。重力もニュートンの式は遠隔作用説の記述ですが、アインシュタインが近接作用説で書き直し、重力に対する理解が非常に進んで、今まで説明不能だったことが説明できるようになりました。

 遠隔作用説の微分方程式でない数式は二つ以上の物体を不可分として扱わねばなりません。数式は簡素でも、物理学的には複雑なことを表しています。一方、近接作用説で考えて出てくるのは微分方程式という見た目は複雑な数式ですが、数式が表しているのは一つの物体についてであり、内容的には簡素です。近接作用説は物理現象を、遠隔作用説より細かく分解して記述しているといえます。

 物理学では、物理現象を調べるときに、できるだけ細かい要素に分けて、一つ一つの要素を調べます。一つ一つが分かったら、元の形に組み直していき、ようやく「分かった」となります。細かく分解できるほど、正確に、精密になるというのが、経験的な事実です。微分方程式による記述は、もっと正確に、より精密にということの顕れです。当然、物理学として進歩します。

P.S.

 決定論は間違っていることが既に判明しています。量子力学の成果です。量子力学は「物理現象の根本は不確定で確率的である」としています。何事も100%の精度で知ることはできず、サイコロの目の出方次第で変わってしまうのですから、たとえ宇宙全体を観測できて、無限の計算能力を持っていても、ラプラスの悪魔にはなれないわけです。
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この回答へのお礼

詳しい回答ありがとうございました。
理解できました。
過去から未来全て決まっているって不思議な感じですね。

ところで、高校物理学では微分・積分は使いませんが、
出てくる関係式は全て微分方程式で書き換えることができるのでしょうか?

例えば、理想気体の状態方程式pV=nRTやオームの法則I=V/Rなどです。

よろしくお願い致します。

お礼日時:2014/10/07 16:29

分かる=理解、なら分かるようになるころはありません。



ただ、微分記号を使うことにより、演算が機械的にできます。
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>ところで、高校物理学では微分・積分は使いませんが、出てくる関係式は全て微分方程式で書き換えることができるのでしょうか?



 必要になれば書き換えますし、そうでなければ扱いやすい形の式のままです。電磁気の遠隔作用説の式も、使って問題ないときはどしどし使います。

>例えば、理想気体の状態方程式pV=nRTやオームの法則I=V/Rなどです。

 これらも同様に、そのまま使える問題であれば、そのまま使います。

 微分方程式で得られるメリットは「場」という考え方ができることです。電荷が二つあって、その間に働く力だけを考えてよいのであれば、近接作用説に基づく微分方程式にする必要はなく、遠隔作用説の式を使ってしまえばいいのです。近接作用説の微分方程式で関係式を作って、微分方程式を解いたら遠隔作用説の式が出てくるだけです。

 しかし、力学なら振動の時々刻々の変化を考慮するとか、電磁気学なら交流を扱うときは、場の概念を用いない場合でも微分方程式になります。pV=nRTも同様です。

 I=V/Rだとメリットはありませんが、コンデンサやコイルだと直流電源であっても、定常状態になるまでの間の変化を記述するときは、時間変化Δt(Δ:デルタは小さい変化を示すときによく用いる)の間に、電圧変化ΔV、電流変化ΔIがあるとして式を作り、Δt、ΔV、ΔIが微分のdt、dV、dIになるとして式を作ります。それも微分方程式になります。交流だと複雑になりますが、やはり微分方程式を立てて解いていくことになります。

 微分方程式を使うのは、二つの物体の間に働く力を、一つの物体の周りの場と考えられるようにする場合と(これは対象となる分野の物理学の書き換えになる)、状態が時々刻々変化する場合の、二つの場合に主に用いられます。後者は、解くときに単純に積分するだけのことも多いです(それも、一応は微分方程式の解き方です)。

 どちらも必要ないなら、単純でそのまま計算できる、微分方程式でない式を用いるのが普通です(練習問題として、近接作用説の微分方程式のが、対応する遠隔作用説の簡素な式と一致するのを確かめることはあるけれど、実用で用いることは事実上ない)。
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この回答へのお礼

非常に分かりやすい回答ありがとうございました。

ベストアンサーに選ばさせてもらいます!!

お礼日時:2014/10/22 13:54

 もう、これまでの回答者さんで答は出ていますが、追加で一言。



 ma=F を m・d^2r/dt^2=F で解くと書かれていますが、運動量 「mv」を使って、

  F = d(mv) / dt

と書く方が分かりやすいと思います。

 外部から力が働かなければ、つまり F = 0 であれば、

    mv = 一定

つまり「運動量保存の法則」ですし、短時間 ΔTのあいだ一定の力 F が働いていれば、

   F・ ΔT = Δmv = m・Δv

という「力積」の式(運動量の変化、速度の変化)になります。

 高校の物理では、「微分方程式」としての「全てのパラメータは関数である」という状態の中から、「特定のパラメータを一定、あるいはゼロとしたときの特殊な場合」を個別に取り出して説明しているわけです。
 おおもとの微分方程式を理解すれば、高校物理で別々に説明しているものが、実は同じ原理から導き出されたものであることが分かると思います。

 そういった意味で、アインシュタインなどは、「全ての物理現象は一つの原理から導き出せるはずだ」と考えて、相対性理論などの体系を構築しているわけです。(ニュートンの力学、マックスウェルの電磁気学などを統一的に説明できる理論を作り出した)
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
微分方程式から運動量保存則も導けるんですね。

>高校の物理では、「微分方程式」としての「全てのパラメータは関数である」という状態の中から、「特定>のパラメータを一定、あるいはゼロとしたときの特殊な場合」を個別に取り出して説明しているわけです。

非常に分かりやすい説明ありがとうございました。

お礼日時:2014/10/07 16:33

多分質問者はFが重力だけのとき



F=mg

a=g

v=gt+v0

r=gt^2/2+v0t+r0

のような解の場合、考えることはないだろうということを言いたいのでしょうが

物体にかかる力は多種多様です。

ばねの先におもりがついていて、重りを少し引っ張って手を放すと重りは振動しますが

この運動を記述する場合は、ばねからの力がばねの伸びに比例しF=-kx

となります。ここでxはつり合い点を原点にとった座標で、kはばね定数です。従って

m(d^2xdt^2)=-kx

という運動方程式となり

d^2xdt^2+ω^2x=0

ω=√k/m

と書きなおすとこれは、単振動と呼ばれる運動を記述する式となり

解は

x=Asin(ωt+α)

v=ωAcos(ωt+α)

a=-ω^2Asin(ωt+α)

となります。

多分質問者の考え方で言うと

教科書にある

T=2π√k/m

を覚えておけばいいだろうということでしょうが

その論理的な根拠をしっかり把握するにはこのような微分方程式論に立って

計算していく必要があります。

さらに実際は振動はいずれ減衰して止まってしまう。

これは主に空気抵抗という別の力が働いた結果で、そのような抵抗は速度に比例すると考えることができ

d^2xdt^2+pdx/dt+qx=0

という微分方程式を解くことに帰着します。

質問者が理系の大学に入ることがあれば1年生の時にこのような勉強をするとがあるでしょう。

数学でも微分方程式の一環として習います。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。
微分方程式を解くことで、出てくる公式をきちんと理論的に
理解することが大事なんですね。

ところで、高校物理学では微分・積分は使いませんが、
出てくる関係式は全て微分方程式で書き換えることができるのでしょうか?

例えば、理想気体の状態方程式pV=nRTやオームの法則I=V/Rなどです。

よろしくお願い致します。

お礼日時:2014/10/07 16:31

高校で習うF=maでは加速度aが一定の場合にのみ適用可能です。

aを速度の微分あるいは位置の二階微分としてF=m(d^2r/dt^2)と一般化することにより、位置rの時間変化が関数としてわかっているれば等加速度運動でなくても取り扱うことができるようになります。利点はそれだけですが、世の中等加速度運動ばかりではないので微分を取り入れざるを得ないというのが現実です。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。

お礼日時:2014/10/07 16:23

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