推しミネラルウォーターはありますか?

塩基の場合はアルカリ金属とアルカリ土類金属の酸化物が強塩基でそれ以外は弱酸だそうですね。
酸についてもこのような決まった性質もようなものはありますか?
見分け方がよくわかりませんので困っています。
ご回答よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

ご期待に応えられるような、一目でわかるような『決まった性質』とは言えないかも知れないのでご容赦を。



強酸の定義は『水溶液中でほぼ完全に電離してH+を放出する物質』なのですが、
実は強塩基の定義はいくつかあります。質問文のように、水中での電離度に着目する場合、
『強アルカリ』の方が適切です。これについては後述します。
『強アルカリ』についてはアルカリ金属・アルカリ土類金属の水酸化物で正しいでしょう。

まず、強酸の特徴は何かと言うと、『H+を送り出す力が強い』と言う性質です。
硫酸(H2SO4)を例にとって、考えやすいように言い換えると、
『H+とHSO4-の結合が弱い』ことと『H+を放出した後のHSO4-が安定である』ことが原因です。
他の分子についてもこの2つを考えることで強酸なのか弱酸なのかを判別できます。

有名な強酸として、
HCl、HBr、HI(ハロゲン化水素)
HNO3、H2SO4、HClO3、HClO4、HBrO3、HBrO4、HIO3、HIO4、HMnO4(オキソ酸)
H[BF4]、H[PF6]、H[SbF6](フルオロ錯体の酸)
CF3COOH(トリフルオロ酢酸)、HCB11Cl11(カルボラン酸)
が挙げられます。

ハロゲン化水素の場合、H+とX-(一般的にハロゲン化物イオンをX-と書きます)の結合距離は
HCl < HBr < HIの順で大きくなります。距離が離れるとクーロン引力が弱くなるので、
HIのH+はHClのH+よりも電離しやすくなります。また、電離後のI-はCl-よりも半径が大きく、
表面積が大きいため、より多くの水分子と水和することで安定になります。
この『結合の弱さ』と『ハロゲン化物の安定性さ』のせいで、同じ強酸でも
HIはHClよりも強い酸として働きます。
ハロゲン化水素でもHFだけ弱酸なのは、
H+とF-の距離が近いためにクーロン力が強く働き電離しにくい
HとFの間の結合がイオン結合と言うより共有結合に近いために電離しにくい
F-のイオン半径が小さいためにあまり水和せずあまり安定になれない、と言うのが原因です。

オキソ酸の場合、中心元素の周囲を電気陰性度の大きな酸素が取り囲んだ分子になっています。
例えばHClO4(過塩素酸)の場合だと、Cl原子を中心に正四面体型に4つの酸素が囲んでいて、
その酸素のうち1箇所にHがくっついている、という構造になります。
電気陰性度の大きな酸素がClを中心に電子の引っ張り合いをしているような形になっており、
H-Oの周辺の電子は他の3つのO原子によってCl方向に引っ張られた状態になるため、
H-Oの間の電子はかなり薄くなる、つまり結合が弱くなります。
また、H+が解離したClO4-は分子半径が大きく表面積が大きいために水和しやすいだけでなく、
電子の非局在化という現象によっても安定になります。
ClO4-の電子はもともとH+がついていたO原子に留まっているのではなく、ClO4-イオン全体を
満遍なく行き来するようになります。このため分子全体がほんのりと負電荷を帯びた状態になります。
この状態は安定性が高くなります。もし仮に電子がどこか1箇所のO原子上にだけ留まると、
他の分子やイオンがクーロン力に引き寄せられて結合しやすくなります。
電子(負電荷)がイオン全体に満遍なく分布することで、他の分子と反応しにくい安定な状態になります。

フルオロ錯体の酸もオキソ酸にかなり似ています。
中心の原子の周りを電気陰性度最強のFが取り囲むことによって、陰イオンの負電荷が
イオン分子全体に非局在化するために安定な状態になります。

有機強酸の例として挙げたCF3COOHの例では、HとOの結合が弱くなるために強酸となります。
CF3COOH(トリフルオロ酢酸)というのは、CH3COOH(酢酸)のHをFに置き換えた分子です。似た分子に、
CH2FCOOH(モノフルオロ酢酸)
CHF2COOH(ジフルオロ酢酸)というものもあります。
この分子の場合、Cに結合しているFの数が多いほど強い酸となります。
電気陰性度最強のFが分子全体の電子をF原子の方向に引っ張るため、H-O結合の電子が減り、
結合が弱まってH+を放出しやすくなります。

カルボラン酸は三中心四電子結合という大学で習う難しい結合で出来ていますが、
負電荷を非局在化することで陰イオンが安定になることを利用しています。

このように、『Hと陰イオンの結合が弱い』『電離した陰イオンが安定』という2つが
共産か弱酸かを見分けるポイントになります。


さて、『強塩基の定義が複数ある』と言うのがどういうことかというと、
塩基の定義がいくつかあるためです。
一番初めに登場したアレニウスという人の定義では
『酸=水中でH+を出すもの、塩基=水中でOH-を出すもの』でした。
でも、アンモニアは水がなくてもNH4Clという塩を作れるじゃないか、といった反論から、
ブレンステッドという人が
『酸=H+を出すもの、塩基=H+を捕まえるもの』と改めて定義しました。
『酸の強さ=H+を送り出す強さ』だったのと同様に、
『延期の強さ=H+を捕まえる強さ』と言えます。
これは『捕まえたH+が新しく作る結合の安定さ、頑丈さ』に由来します。

アレニウスの『水中でOH-を出すもの』と言う定義では
アルカリ金属とアルカリ土類金属の水酸化物を強塩基として定義できます。
水中でOH-を放出した状態で安定に存在できますから。
しかし強塩基の中にはあまりに塩基性が強すぎて水と激しく反応するものもあります。
ブタン(CH3-CH2-CH2-CH3)という分子から無理矢理H+を引っこ抜いたような分子があります。
ブチルリチウム(LiC4H9)と言う物質です。種類によっては水や空気に触れると燃え出します。
つまりそんな分子では水中でどれだけOH-が出来たかなんて計れないので、
『H+を受け取って出来た結合が、元の状態よりもどれだけ安定か』というような定義しかできないのです。
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この回答へのお礼

詳細なご回答ありがとうございます。
非常によくわかりやすく助かりました。

お礼日時:2015/02/08 00:58

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